気づかせる罪　気づく罪

何も知らないとでも思っているのね
嘘が上手くなったと自分で思っているうちはダメよ
その、スムーズさが貴方にすれば不自然で
香りたての石鹸が、反対に危険なサインを醸し出すことすら気づいてないでしょう

車の座席の微妙な角度
洗濯ものの出し方ひとつ
無造作に、置かれていた新しい歯ブラシ
たばこの吸い殻の長さまで
あなたより雄弁に情景を語ってくれるのよ

いつもの愛用のリップに
微かな薄紅色グロスの跡を見つけたの
私が決して選ばない色
そうね、最近いつも遠い目をしていたもの

浮気ならそれでも良かった
私もそれなりに遊んでいるもの
あなたのその不器用なくらい脇が甘いところ
嫌いじゃなかったはずなのに、
貴方がその娘に本気にならない自信があったから無邪気に微笑んでいられたのに

分かりすぎるのです
こころが私に無い事がストンと胸に落ちた
もう喧嘩をする気もおこらない

99％の真実があったとしても
分からない1％の希望的観測にすがって
このまま曖昧にしておくことも考えた
だけど見えてしまう自分にやっぱり嘘はつけない

知らないままのバカな女がよかった
今夜だけはこんな自分が嫌になる