吾亦紅

ー ワレモコウ ー

心揺らぐシチュエーションには
必ず花があるのだそうです
花は何も言わないけれど
言葉で言い尽くせぬ感情を伝えてくれるから

自由で奔放で何でも話しているようで
一番肝心なところで何も言えないのです

貴方の心が一瞬にして奪われてしまったこと
認めたくはないけれど分かってしまったの
相手を責めたところで人の気持ちの移ろいを
誰が止めることができるでしょう

大事なことは言葉がなくても
感じてしまうものだから
理屈や道理を超えての感情
私も止められないように貴方も責められない

せめて、この花を手向けさせてください
ささやかな抵抗に過ぎないけれど
言葉以上の思いを届けることが出来るなら

吾亦紅
バラ科であっても薔薇の華やかさには程遠く
我もこうありたいと願うだけの花

手からこぼれた砂はすくうことはできないけれど
私は私なりに精一杯
貴方が好きだった
そんな自分を好きでいたいから