【新規仕事を得るために】 第10期京都ライター塾(動画視聴コース)Vol.6 レポート

江角悠子さんが講師を務める、京都ライター塾。

これまで5回にわたって、
ライターとはなにか?という心意気から
文章作成のコツや添削など
実践的なアドバイスまで教えていただいてきた。

今回はいよいよ最終回。

「新規仕事を得るために」をテーマに
ライターの働き方や、仕事を獲得するための道筋、
見積書の書き方、さらには交渉の文言まで
事細かに伝授していただいた。


フリーライターの働き方

ライターには大きく分けて
フリーランスで専業に行う方法と
会社勤めをしながら副業として行う方法がある。

ご自身はフリーランスのライターである江角さんは、
フリーランスのメリットを挙げたうえで

これからライターを目指す人が、もし会社員なのであれば、
会社に属した状態で、小さく始めてみては?とおっしゃっていた。それは、フリーランスのデメリットでもある

・収入が不安定
・社会保障や年末調整、各種書類作成などの事務作業
・孤独感

などを回避できるからだ。


こうしたデメリットも、

・収入が不安定
→連載契約や年間契約を獲得したり、クライアントを複数持つ

・孤独感
→SNSなどでライター仲間を作る

といったように、対策はとれるのだが
大きなリスクを負って大幅なキャリアチェンジをせずとも、
会社からの恩恵にあずかれるのであれば
まずは小さな一歩から始めよう、という助言に納得した。

ちなみに専業フリーランスのメリットとしては

・自分の時間を自分で管理できる
・気に入った環境で働くことができる
・会社に依存しない心地よさを感じられる

などが挙げられた。

たとえば、ある案件がうまくいかなかったとしても
こっちはだめだった。
じゃあまた次に行こう!と切り替えたり、
前向きに行動したりしなくてはならない場面が必然的に起こるので
「生きる力」がつく、ともおっしゃっていた。

これらは、同じく現在フリーランスの私も大いに賛成する点だ。
会社勤めだったらきっと知らなかっただろう、
様々な手続きや書類の作成、交渉などを通して
七転八倒しながら生きている実感を味わっている。
手痛い失敗も、大いなる学びになるし、
金額の大小に関係なく、お金の大切さが身に染みて感じられるようになった。

ライターという仕事は、柔軟な働き方ができるので
最終的に自分に合った方法で取り組めるのはいいところだと感じた。

新規仕事を得るためのコツ

さて、ライターとして活動しようと思っても
どこに仕事があるのか。新参者には試練の場である。

講座の中で江角さんは、
仕事は「人を通してやってくる。だから、人とつながっておくことが大切」とおっしゃっていた。

まじめに仕事をして、目の前の仕事をきっちりしておくと
必ず誰かが見てくれている。
仕事はどこに転がっているかわからない。
だからこそ、出会えた人に
また一緒に仕事をしたいと思ってもらえるように準備したり
気を配っておくことが重要だ、と。

たとえば、ただ文章が書けるライターよりは
楽しく仕事が進められるような配慮ができたり
リサーチ力や提案力などがあったり
媒体を上手に宣伝したり、と
相手の立場に立って
人のために行動できるライターの方が声がかかりやすいだろう。

また、自分の公式サイトを持ち
過去の実績だけでなく
これから自分の書きたい内容をアピールしておくことも

他のライターから紹介されたり、
クライアントの目に留めてもらったりするのに有効だ。

選ぶ側は、そのライターが発信していることを手掛かりに
自社の媒体と合うかどうかを見きわめる。
過去の実績だけを紹介していては、
どうしてもそれに倣った類似案件が引き寄せられていく。

しかし、それが自分の本当に書きたい内容と食い違っているとしたら、
そのギャップに疲弊してしまう可能性があるので
これから書きたい分野を積極的に発信していく必要がある。

そういった希望が実際にかなうまでには
年単位の時間がかかることがあるが
少なくとも言葉に残しておくことは有意義だ。


実績を作るためには、
前回の講座でも紹介された

・実績ファイルを作って出版社を訪問する
・企画書を作成して出版社に提案する
・クラウドソーシングを活用する

などの方法がある。

クラウドソーシングは、安価な案件も多く
江角さんからは
「安すぎる仕事はライター業界全体の単価を下げることにもつながる」
という指摘があった。

しかし、講座の受講生からは
クラウドソーシングを使って実績を「買う」つもりで、10件こなす。
その実績を持って出版社に営業に行く、というアイデアが出た。

ある程度で見切りをつけ、
自分からステップアップしていく前提で
上手に活用していくにはいい方法だと感じた。

いざ、仕事をするとなったら

特にフリーランスの場合、
時間と費用に対してシビアでなければならない、という話が出た。

たとえば、
メールで案件を大まかに打診された場合。

では打ち合わせをしましょう、と別日に場を設けたところ
「では、検討します」で終わってしまった。
これでは、時間も労力もかけたのに
自分には一円も入ってこない。

そうではなくて、メール上でできる限りの詳細を聞き出し、
双方ですり合わせられるところまですり合わせる。

「自分が動いたらお金が発生する」くらいの心意気で
自分の労力に対する対価を自覚しておく。

この話に私はショックを受けた。

もし今までの私だったら、
打ち合わせのために時間も労力もかけて出向き、
話がまとまらなかったとしても
まるで無駄になったと思わないだろう。

声をかけてもらって、
打ち合わせのために時間を作ってもらえた、という満足感と
なんとなく得られる達成感に浸りそうだからだ。

しかし、冷静になってみれば
自分の時間も労力もかけておいて
私への報酬はまったくない。
この満たされたような気持ちには、お金が発生しないのだ。
(ちなみにこの場合の相手はおそらく会社員。
彼らの収入は、打ち合わせの成果に関係ない。
ここが、フリーランスとの大きな違い)

フリーランスで働く、ということは
いかに自分の時間と能力を生かして
対価に変えていくかが大切。

とんでもない勘違いの上に、意味のない行動を繰り返していては
身も心も消耗してしまうことにつながりかねない。

もう一度自分のふるまいに気を付けなくては
長く働いていけないぞ、と気づいた。

見積書の出し方

仕事を得る際に、見積書を求められる場合がある。

その時は、

・自分がする作業が具体的に何なのか
(取材にはお店のリストアップも含まれるのか、試食も行くのか。
写真撮影も行うのか、原稿の体裁や写真の加工を行うか、など)

・その作業をするには、どれくらいの時間がかかるのか
(自分の作業スピードを把握しておく)

・時給(あるいは日給)どのくらいほしいのか

以上の3点を抑え、先方に伝える。

対価の具体的な金額は、
先輩ライターが提示している金額を参考にすることを勧められた。

こんなに請求していいのか、
公表していいのか、という葛藤も理解できるが、

自分が受けられないほどの安価な仕事を断る手間が省ける。
希望額に届かないのに無理して受注していると
自分が消耗してしまうので、
理想金額は持っておく必要があるとおっしゃっていた。

ただし、交渉の余地がないと思われると
仕事が受けにくくなるのも確かなので

「ご予算があれば教えてください」などと添えると好印象だという。

交渉の仕方

金額交渉には、希望単価と、その根拠を合わせて伝えることが大事。

例として

1件5000円というご提案につきまして、
ご予算もおありのところ、恐縮ではございますが
最低8000円からでお受けしています。
撮影も込みということであれば、1件10000円が平均価格です。

スケジュール的には問題ありませんので
一度ご検討いただけると幸いです。

京都ライター塾 資料より

このような形で、簡潔に伝えると良いそうだ。

大切なのは、自分で自分の金額を勝手に高い、安いと判断しないこと。
クライアントによってその感覚はまったく違うので、
まずは自分の対価を明確に示すこと。


以上が、6回にわたって行われた
京都ライター塾の、最終レポートだ。

すべてを視聴してきて、
正直なところ、テクニックの面では100%理解し、
実践できるとは言い難い。
話を聞けば、なるほどそうか、と納得しても
それを自分の糧にして、技術を使いこなし、
文章にするのはまるで大違い。

しかし、この講座を通して
フリーランスとして働く上でのマインド、
人とのつながりの大切さを学んだ。

成功をおさめ、第一線で活躍されている江角さんから
仕事を長く続けていく上での心づもりや考え方を
直接聞くことができたことが一番大きなことだった。

また、江角さんを通して
行動してみることの大切さを教えていただき、
軽やかに人生を楽しんでいる先輩の姿を見せてもらって
私の背中を押してもらえたような気がした。

江角さん、ありがとうございました。




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