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第三章 手続き編③(傷病手当金)

一人暮らしの独身の弟が意識不明で入院した。その時、家族は何を、どんな順序で、どのように手続きしていけばいいのか。遠方に住む場合はどうすべきか。療養を支える傷病手当金申請について。(家族が意識不明で入院した時しなければならないこと~倒れた弟は遠方で一人暮らし、独身、会社員~第6回)
第1回はこちら

7.傷病手当金の手続き  健康保険組合から支給

弟は現在、会社は休職中で無給だが、健康保険組合から「傷病手当金」の支給を受けている。

*無給休業4日目から最長で1年6カ月支給される。
*金額は給与のおおむね3分の2
*社会保険料(年金、健康保険、40歳以上は介護保険も)と税金は支払う
*振込先は家族名義の口座でもよい
*支給される時期は入院月の約1カ月後

連続で3日以上、業務外の病気やケガで休業し、給与の支払がない場合、4日目から最長で1年6カ月間、申請すると傷病手当金が支給される。派遣社員やパート・アルバイトでも、健康保険に加入していれば受給できる。
労災保険から休業補償給付を受け取っていると受給できないが、日額が傷病手当金より低い場合は、その差額が支払われる。

月額は「標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3」。ざっくり給与の約3分の2だ。日割り計算なので、31日の月と28日の月では金額が違う。
社会保険料は免除されず、休職する前月と同額の税金、年金、健康保険、介護保険料を支払わなければならないので、全額使ってしまわないこと。(社会保険料の額は日割りではなく毎月同額)

家族の生活を守るとして、以前は家族の口座も指定できたが、本人口座以外は受け取れないように変更された。この変更で困る家族も多くいると思われる。非常に残念である。

申請後、2週間ほどで指定口座に振り込まれる。第1回目は審査があり、申請してから最初の振込までに3週間~1カ月半(時期や健康保険組合によって違う)ほど。支払が決定する度に、振込金額と振込期日が書かれた「支給決定通知書」(葉書)が送付されてくる。2回目以降は協会けんぽは申請書受理後、10営業日で支給されるが、10日または20日または末日のいずれかに振り込まれる健康保険組合が多い。

【申請の仕方】

基本的に健康保険組合へ1カ月ごとに申請する。申請書は健康保険組合のホームページからダウンロードできる。出来ない場合は、電話連絡して郵送してもらう。

申請書は被保険者用2枚、事業主用1枚、療養担当者用1枚の計4枚被保険者用の申請書を記入する。事業主用は会社に、療養担当者の用紙は医師に記入を依頼する。転院した場合は、両方の病院の申請書が必要だ。それぞれが記入したものを一括して、毎月健康保険組合に郵送する。

入院していた期間について申請するので、1月の傷病手当金なら、2月1日以降に1月分の申請書を作成し提出する。実際に1月分の傷病手当金を受給できるのは、2月末から3月半ばになる。

被保険者記入用①(協会けんぽ申請書)

申請内容の傷病名、初診日、申請期間などは、療養担当者が作成した申請書と同じ内容を記載する。

被保険者記入用②(協会けんぽ申請書)

申請期間は会社の給与の締日の翌日~締日(※A)なので、会社の人事担当に問い合わせよう。例えば月の末日が締め日ならば期間は「1日~末日」となる。

事業主記入用(協会けんぽ申請書)


療養担当者記入用(協会けんぽ申請書)

【傷病手当金受給中に退職した場合】

万が一、傷病手当金を受給している1年半の間に会社を辞めることになっても、以下の条件を満たせば残りの期間も受給できる。健康保険組合を任意継続せず、国民健康保険に切り替えた場合も受給できる。

*健康保険に1年以上継続して加入している
*退職日に出勤していない

退職後に傷病手当金を受給する場合は、会社(事業主)の書類の記入は不要で受給できるが、1日でも途切れてしまうと、その後受給ができなくなるので注意が必要。
例えば前回6月28日まで受給していたら、必ず6月29日から申請する。
申請書は被保険者用と療養担当者の申請書(計3枚)だけでなく、記入されていない事業主用の申請書も併せて健康保険組合に送付する。

【弟の場合のスケジュール】1月分

※月末日が給与の締日
2月1日頃 入院先の病院の医事課宛に郵送で書類作成を依頼
2月15日頃 病院から「傷病手当金申請書(療養担当者)」が届く
2月25日頃 ①会社から1月分の「傷病手当金申請書(事業主)」が届く
      ②「傷病手当金申請書(被保険者)2枚」を記入し、全ての1月分の「傷病手当金申請書」(計4枚)を健康保険組合に郵送する
      ③会社に2月分の社会保険料と税金を振りこむ。
3月8日頃 健康保険組合から傷病手当金が振り込まれる(通知はがき届く)




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