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心の扉は2つある

最近知り合った友人と話していて気がついたことがあります。

人には「心の扉」があると言いますが、どうやら扉というのは2つあるらしいのです。第1の扉は、仕事や肩書きを背負った時のいわゆるONの自分と、プライベートな人付き合いで見せるリラックスしたOFFの自分との間を仕切る扉。第2の扉は、そんなOFFのさらに奥の内心の部分とを仕切る扉です。

つまり、人の心には3つの顔があって、「ONの顔」「OFFの顔」そして「素の自分」といったところでしょうか。SNSで例えると、公式アカウントと個人アカウントと匿名アカウントで表現することが違うようなイメージです。

そして、どうやらそれぞれの扉の厚みは人によって違っていて、ひとつめの扉が厚い人もいれば、ふたつめの扉が厚い人もいるようなのです。

最近知り合ったその友人たちは、組織に属さず個人で仕事をしていて、仲間もたくさんいて、その人間性が愛されている人たち。なので、会社員とかお堅い仕事をしている人に比べたら、少なくとも第1の扉は薄いのだろうと勝手に考えていたのですが、本人たちいわく「自分は人見知り」「怖くて素が出せない」「職業という肩書きをまとってるから人付き合いができている」のだとか。つまり第1の扉をしっかり立てることで、平常心を守って安定的な人付き合いができているらしいのです。たしかに個人で仕事をしていても「カメラマンです」「●●社の代表です」と名乗るのと「●●(名前)です」と名乗るのとでは、心のありようはかなり違っていて、ハタから見れば個人のキャラクターで生きているようでいても、自ら職業や肩書きをまとう工夫をすることで、生きやすくなる努力をしているのかもしれません。

それを受けて私はどうなんだろう?と考えてみたのですが、どうやら私の場合、第1の扉はかなり薄いようで、よく言えばわりといつでも自然体。はじめての人に会うのもそれほど緊張しないし、人見知りではないと思います。むしろ仕事のONとプライベートのOFFとの線引きが苦手なので、プロ意識に欠けるところがあるかもしれないほど。とはいえ、他の人より対人関係のストレスが少ないのだとしたら、それはありがたいことだと思います。

ただ、私が誰に対してもウェルカムな人間だとか、誰のことも信用しちゃうハッピーな人間かというと全くそんなことはありません。私の場合、たぶん第2の扉がかなりがっちり厚いので、一見自然体で人付き合いをしているように見えて、その奥の内心のところには、ひどく卑屈で、そのくせプライドが高くて、誰のことも信用しない、相当にタチの悪い自分がいます。そのおかげで、少なくとも人に騙されたり裏切られたりしないためのガードとしてはとてもしっかり機能しているのですが、一方で、自分でも「怖いなぁ」と思うくらい、表と裏があります。周りからしたら、すんなり受け入れられたかと思いきや、奥でものすごい硬い扉に追い返されるわけで、私に興味をもっても(そんな人はめったにいないけど)なかなか報われません。だから恋人や親友ができにくいのだなぁとも思います(原因はそれだけではないでしょうけど)。

「心の扉」ってよく聞く表現ですが、その中身っていろいろな種類があって、もしかすると人によっては2枚でもなく、グラデーション的にいろんなパターンがあるのかもしれません。逆に全くどこにも扉がない人もいるのかもしれません。ただ、どこか1〜2枚くらいは持っておいたほうが生きやすいのではないかな、と思います。上手に付き合いたいものです。



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