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杉並区議会、紛糾。

皆様、こんばんは。こんにちは。
杉並区議会議員の小林ゆみです。

今回のnoteでは、杉並区議会に関し現在テレビ番組や新聞の報道によって話題となっている、杉並区長の「緊急事態宣言下における群馬県への移動・酒類を伴う会合出席」、また、区民生活部長、杉並区産業振興センター事業担当課長の「会合翌日のゴルフコンペ参加」について取り上げたいと思います。

まず、経緯ですが、今年の7月14日、かねてから東京商工会議所杉並支部が群馬県のゴルフ場で会合を行うということを決定していたそうで、区長、区民生活部長、区産業振興センター所長、同センター事業担当課長が参加したようです。
会合の日の夜は酒類が出されたとのことで、当然ですが飲む際はマスクを外して、お話をしながら大勢で飲んでいたことが予想されます。

翌日7月15日はゴルフコンペが開催されました。
区長はゴルフ好きで有名ですが、この日は何日か前に手を怪我していたようで、これが原因かはわかりませんが、ゴルフコンペは欠席をしています。
ただ、区民生活部長と杉並区産業振興センター事業担当課長はプレーしており、昨日の委員会の質疑によると、区民生活部長は後述の「ある会社の代表取締役」と一緒に回ったそうです。
そこで新たな疑惑が生じています。

まず、以下に9月14日のヤフーニュースのリンクを貼ります。

杉並区長が宣言下で越境宿泊 区側は酒食も 「不要不急ではない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/8d42e5bf69fa51ddc9febcfa346d2cc93ceb9b0e

このニュースで取り上げられている9月14日は、杉並区で第3回定例会(一年のうちの大きな会議の塊の、今年に入って3回目)が開かれており、一般質問(区政一般に関する質問)をする日でした。
つまり、杉並区(区長はじめ行政側)から提出されている議案の内容に関係無く、杉並区政に関することなら何でも議題にできるという日です。
そこで、ある議員が上記のニュースの内容を区に問いただしました。

しかし、総務部長をはじめとする区の幹部が質問に答えるだけで、議員に指名されても口調は頑なに答弁に立たず、だんまりを決め込んでいました。
それに対し当然ヤジも飛んでいました。

区の幹部が答弁した内容を簡単にまとめると、「会合は公務ゆえ、不要不急ではない。公務ゆえ、税金も使った。そして群馬県では当時、緊急事態宣言が発令されていなかったから大丈夫」という内容でした。
…この答弁に、一体どのくらいの区民が納得できるのでしょうか。
区民がウイルス感染に怯え、感染対策に苦労し、更にワクチン接種に関しても、他自治体のようにスムーズには予約できない状況のなか、このような発言が区のトップ、幹部から為されたら…区民は落胆、失望、怒りをおぼえても仕方ありません。

ただ、この日までは、私は「区長は緊急事態宣言発令中に県境を跨ぎ、酒類を伴う会合に参加するなど、道義的責任を欠いている。」と感じるに留まり、「確かに自治体の長としてはけしからんことだが、う〜ん、違法ではないな…」と思っておりました。

が、その日の夜、産経新聞のネット版でこんな記事があがっておりました。

東京・杉並区長ゴルフ場問題、区幹部も同席 酒類を伴う会食も
2021/9/14 22:28
https://www.sankei.com/article/20210914-HXVPZLJAZJOURGRHMDMJG4K7DA/

「区幹部も同席?」
と疑問に思い、記事を読むと、区民生活部長、杉並区産業振興センター所長、同センター事業担当課長も参加していたとのこと。

「ん?
今回群馬で開かれたのはそもそも、東京商工会議所杉並支部の会合だったな。
東京商工会議所杉並支部といえば、会長は杉並区内の造園会社の代表取締役が会長を務めているな。」

ここで、群馬での会合の日付をもう一度確認すると、7月14日となっています。
そして、区民生活委員会の委員(私含む)に配布された資料を見ると、そこには杉並区が選んだ事業者として、先程の造園会社の代表取締役の名前が。

「あれ…?」

今回、区長率いる行政側から提出された議案の中に、「議案第73号 杉並区阿佐谷地域区民センター外3施設の指定管理者の指定について」というものがあります。
区議会議員は立法の立場にありますから、行政から出されたこの議案におかしなところがないか、通して良いか、じっくりと審査します。

こちらの議案は、杉並区内の4つの施設の指定管理者(管理、運営を行う業者)を決めるもので、そこには令和4年4月1日から5年間、4施設を運営することが決まった事業者として、群馬での会合やゴルフコンペに参加した東京商工会議所杉並支部の会長が代表取締役を務める会社の名前が記載されていたのです。

しかも、委員会の資料を見ると、7月14日は「第一次審査実施」となっている…。
そして、「選定委員会の構成」の欄には、「区民生活部長」の名前が。

「あれっ!」

杉並区の事業を担当する会社を選ぶ為の第一次審査を実施した日に、それに応募し、後に結果的に運営することが決定した会社の社長と、区長と区民生活部長は群馬県の同じ会合に出ていて、一緒にお酒を飲んで、更に区民生活部長は杉並区で行われた肝心の第一次審査を欠席。
そして次の日、その社長と区民生活部長(当該事業者決定の審査員)は一緒にゴルフ…。

これでは、仮に全くやましいことが何も無くても、契約の公平性、公正性を疑われても仕方ありません。
今回の騒ぎは、区長のコロナ禍における行動など、単なる道義的責任の問題かなと思っていたら…杉並区の契約案件に疑義が生じる事態に発展してしまいました。

当然ですが、本来、自治体が指定管理者を選ぶ際、公募に応募してきた企業と過度に接触してはいけません。
A,B,Cという会社が応募してきて、B社とのみ首長や自治体幹部が仲良くしていれば、B社が選ばれてしまうのは自然だ、と周りには思われます。
実際は公平な目で見て選んだのだとしても、周りから「怪しいぞ」と疑われる時点でアウトです。
応募して落ちてしまったA社とC社、そして事業に使われる税金を支払い、サービスを受ける区民に大変失礼です。

小林ゆみは、杉並区議会において今年度は区民生活委員会に所属しています。
そこで区民生活に関わる議案(複数)を審査するのですが、先述の議案第73号を、9月15日開催の区民生活委員会において審査することになりました。

私はまず質疑において、7月14日の区民生活部長のスケジュールを確認(第一次審査を欠席して会合に出席したと区は答弁)し、また、杉並区は今回事業者として区に選ばれた造園会社の代表取締役(群馬での会合に参加し、ゴルフも行った東京商工会議所杉並支部の会長)が、応募してきた複数の事業者の中に候補者として入っていることを知っていたかどうか確認しました。

杉並区としては、「その事業者が応募者の中にいたのは知らなかった」とのこと。
応募資料は企業名が黒塗りされているから、と。

しかし、第一次審査では応募してきた複数の会社の業務実績が書類で示されるのですが、それを見れば、「あ、この仕事を担当しているということは、Aはあの会社だな」と、杉並区側はわかるはず…。(杉並区も、確かに資料を見て、ある程度どの会社なのかわかることはある、と質疑において認めていました)

怪しいけど、まぁ、彼らの言う通り、知らなかったというのならば知らなかったのだろう…。

「でも、事業者側はどうだろうか?」

実はこの事業者選定というのは、所管部長(例えば区民の生活に関わる施設を運営する業者を選ぶのであれば、区民生活部長)が必ずそのメンバーの中に入ることが慣例となっています。
今回、事業者側は「自分達が応募した、杉並区の事業をこれから5年間担当する会社を選ぶメンバーに、区民生活部長が入るぞ」ということはわかっていた可能性が高いです。

そこで私は質疑の中で、今までに杉並区において、事業者を決める際の選定委員会のメンバーに所管部長が入らなかったことはあるのか確認しましたが、案の定そのような例はないという内容の答弁がありました。

やはり、事業者側は選定委員を務める部長が誰なのかを知っていてもおかしくはない。
そして、その部長に事業者側が接触したら…。

と言っても、これは可能性(そうであってもおかしくないぞ)の域を出ませんので、選定委員会に区民生活部長が入ることを事業者側が知っていたか、本来であれば議会が事業者本人にきちんと聞いて事実を確かめる必要があります。

ということで、私は人生で初めて動議を提出し、「当該事業者の参考人招致」を求めました。
しかしながら、その直後に行った採決で、参考人招致に賛成した委員は私含む3名のみであり、賛成派は少数の為、参考人招致は叶いませんでした。

区の言うようにはっきりシロであるならば、疑念を晴らす為にも、事業者を議会に呼んで説明させ、議会のメンバーを納得させるのが筋であると思います。

ただ、参考人招致が叶わず、クリアーな判断材料が無いと判断したため、私は本議案には結果的に反対といたしました。

議案第73号と群馬の会合・ゴルフの関連性が疑われ、議会は紛糾。
73号についての審議が、午前から始まり18:30ごろまで続きました。
その後は他の議案審査をし、区からの報告を聞き、終わったのは夜の22時近く。
育児中・授乳中の身体には、少しキツかったです。

区民生活委員会における杉並区長の発言が、委員会開催中に産経新聞ネット版に取り上げられていましたのでご紹介いたします。

ゴルフ場問題で杉並区長、自粛は「あくまで要請」
2021/9/15 15:40
https://www.sankei.com/article/20210915-73GJVUNX7BJQVLX4CINLBE6URI/

また、昨日になって、ニコニコニュースにも取り上げてられていましたのでご紹介いたします。

緊急事態宣言中に飲酒会食の杉並区長 「躊躇(ちゅうちょ)なく堂々と行った」
2021/09/16 10:05TOKYO MX+
https://news.nicovideo.jp/watch/nw9888327

以上二つの記事における区長からの答弁は、杉区民生活委員会において私が行った質問に対するものでしたので、よく覚えております。

私が議会で問題視した区の契約の透明性も勿論大きな問題ですが、そもそも緊急事態宣言発令中に自治体の長が越境してお酒を飲んで、公務なので…と開き直ることは、常識的に考えておかしいと言わざるを得ません。

区民からも、疑問の声が上がっています。
オンラインで対応できなかったのか、というごもっともなご意見が多く寄せられているそうです。
杉並区からの議会への答弁では、「オンラインでは真意が伝わらないこともあり…」という発言がありましたが、委員会での質疑によると、今回のこの会合に参加したメンバーのうち、3名の方はオンラインでの参加をしていました。
その3名の方は、真意が伝わらなかったとでも言うのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、民間も行政も、日本中、否、世界中が現在、慣れない「オンライン営業」「オンライン研修」「オンライン授業」など、試行錯誤を重ねているところです。
私もオンラインの会議や授業を経験しましたが、確かに音声が聞き取りづらいということもあります。
会議中に画面が止まってしまうことも。

それでも、1人でも感染者を増やさないために、慣れないオンライン⚪︎⚪︎に国民が一丸となって取り組んでいる最中です。
杉並区が「オンラインでは真意が伝わらないことも…」などと言っていては、例えコロナが関係無くとも、今後の教育のデジタル化(電子黒板やタブレットを活用した授業など)、オンライン授業(不登校児童や病気や怪我で休んでいる子供達に必要だと思います)を積極的に進めていくことはできないのではないでしょうか。

23区の他の区を見ても、港区や渋谷区など、教育のオンライン化、効率化を意欲的に進めている自治体は多数あります。
子供達のより良い学びや健康の為にも、その子供達の家族の健康の為にも、自治体はしっかりと取り組んでいかねばならないはずです。
それを全否定するかのような発言に、私はショックを受けました。

長くなりましたが、今、杉並区議会で起こっていることを文章にしてみました。
杉並区民の方々がより幸せに生きられるよう、また、税金が無駄に遣われず、現在と未来のより良い杉並区を作るために遣われるよう、杉並区議会はしっかりと行政を監視する義務があります。
それが区民の皆様とのお約束なはずです。

今後も、区民目線で区政をチェックし、必要な提言をしてまいりたいと思います。

令和3年9月17日
杉並区議会議員 小林ゆみ

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