見出し画像

「女性活躍」の難しさ

皆様、ご無沙汰しております。
杉並区議会議員の小林ゆみです。

前回のSNSへの投稿からかなりの時間が空いてしまいました。
この間、出産・子育てで杉並区議会を何度か欠席してしまっており、公務である議会を欠席した状態でSNSの投稿をすることはあまり好ましくないことと判断し、投稿を殆どお休みしておりました。
それに加え、新生児の子育てでドタバタの毎日を送っており、産まれてから携帯電話をゆっくり見る余裕もありませんでした。
(化粧水を付ける暇も無いよ、と先輩から聞いていましたが、本当だったんですね…!)
現在は生後100日ほど経過したため、少し慣れてきたころですが、まだまだ新米の母親として修行中といったところです。

杉並区議会には産休・育休が制度としてあるわけではありませんし、私自身、選挙で選ばれたからには区民の皆様のためにも出来る限り仕事をしたいと思っているため、先月から議会にも復帰しましたが、長時間議会に出ることが難しい状況のため、一部の会議をお休みさせていただきながら仕事をしております。
不完全な形ではありますが議会に復帰したため、SNSへの投稿や、Channel AJERさんの番組・『深ゆみ!』の収録なども、今後少しずつ再開される予定です。
母親となり、今後は子育てをするなかで新しい視点で物事を見て、発信していけたらと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

さて、本日のnoteの内容は、「女性活躍」についてです。
短い言葉なのでタイトルにしやすいとうことで「女性活躍」と書きましたが、「いわゆる」という意味で「」(鍵括弧)を付しました。つまり、主に政府や自治体が想定し、提唱する「女性活躍」がそもそも大変難しいということです。政府や自治体が想像する「女性活躍」の姿は恐らく、「家庭を持ちつつ外に出て働く女性」なのかな、と、政策を見て感じることが多いですが、それがいかに難しいかということを、子育てしながらひしひしと感じています。
(私個人としては女性が子供を持つのも持たないのも、働くのも専業主婦になるのも、その人の自由だと思っており、『女性の活躍』の仕方には様々な形があると感じます)
今回、私は出産・新生児の育児を経験し、産後すぐの職場復帰の難しさを実感しました。
私の場合、その要因は大きく分けて二つありました。

一つ目は、大変私的な感情なのですが、我が子が愛おしいあまりに、離れ離れになるのが辛く、心配だということです。
産前は、「産後もバリバリ働くぞ〜。そのためには、産まれてすぐに保育園に預けないとな」と思っていました。
ところが、いざ我が子が産まれると、この上ないほど愛しく大切な存在に感じられて、「我が子を色々なものから守らなくては。片時も離れたくない。離れるのは心配だ」と思っている自分に気付きました。
母乳育児をしていることも相まって、1,2時間我が子と離れるだけでもソワソワして心配になります。
現在は、出来ることなら少なくとも2,3年は、保育園に入れず家庭で育てたいと考えています。(果たして本当に可能なのか、不安ではありますが…)
一時はバリキャリのワーキングマザーに憧れた私が、まさかここまで考えが変わるとは、思いもよらないことでした。
今思うと遅過ぎますが、ここで初めて「産後すぐの仕事復帰は難しいな」と実感します。

そのように思うきっかけとなった要素の二つ目は、やはり子育ての大変さです。
私は出産を経験するまで、「子育ては大変だ」ということは理解していたつもりですが、では具体的に何がいつどのように大変なのかということについて、出産するまではあまり想像がつきませんでした。
私が出産してから個人的に大変だと感じたことを以下にまとめました。

①分娩後の身体の回復に時間がかかる

出産後、帝王切開の傷跡に加え、後陣痛という陣痛並みの激痛(そんなのがあるなんて聞いていないよ…!)が何日も続き、まさに地獄の苦しみを味わいました。
そのうえ、私の場合は妊娠中にかかった病気の治療もしなくてはならず、身体がなんとか回復したかな?と感じたのは、出産から約3ヶ月が経過した頃になってやっとでした。

②出産直後からほぼ不眠不休の子守が始まる

①の身体の状態でありながら、ほぼ眠らない赤ん坊のお世話をする生活が始まり、身体を休める暇がありません。赤ちゃんは約3時間置きに目を覚ますので授乳しますが、母乳をあげるのもミルクを作って与えるのも、準備や後片付けを含めると一度につき30〜60分くらいかかることもあります。睡眠が取れないことで疲れも取れず、頭も常にボーッとしています。
また、赤ちゃんは起きている間、ずっと抱っこをしていないと泣く子も多く、仕事や家事は勿論、ママがトイレに行ったり食事を取る時間が無いこともしばしばです。

③授乳で栄養が吸い取られて栄養不足になるうえに、授乳するために前屈みになるため首・背中を痛める

母乳育児をすると、栄養満点のお乳を体内で作って赤ちゃんに与えることになるため、お母さん側は栄養不足気味に。
また、授乳するための体勢がどれも首・肩・背中などに無理を強いるもので、結構身体に堪えます。
かと言って、母乳を半日与えないだけで、乳房はカチカチに固くなり痛みます。
無理矢理仕事に出ても半日赤ちゃんから離れると、お母さんのお胸も、母乳に慣れている赤ちゃんも大変なことに。

④抱っこで腰と腕を痛める

赤ちゃんの体重は生まれてすぐは3kg程度ですが、すぐに大きく成長し、私の息子の場合ですと少し大きめなので生後3ヶ月の現在7kgほどです。
7kgというと、お米の袋より重く、1時間も抱っこしていると腕も腰もバキバキに固く、痛くなります。
赤ちゃんがいると、とにかく昼も夜も眠れないため、③、④の状態が回復しません。

⑤様々なストレス要因

赤ちゃんが泣き続けて眠らないことや、子育ての正解がわからないことへのストレスや不安を知らず知らずのうちに母親は感じています。
上記に加えて、赤ちゃんの身体が弱かったり、病気がちだったり、怪我を負ったり、障害を持っていたり、育てていくうえで様々な困難が立ちはだかる場合もあります。
職場でのハラスメント(『あなたが産休・育休を取ったことが、皆にとって迷惑だ』ということを伝えられるなど)など、仕事を続けていくなかで子育てへの理解が得られないことで悩む方も多いと聞いています。
また、これは大きな問題とは言えないかもしれませんが、産後の見た目への誹謗中傷を周りから受けることが多く、「太った」「女として終わりだ」「肌がボロボロだね」など、心無い言葉に落ち込み、明るく振る舞ったり社会に出る気力が削がれることも多々あります。

以上、子育ての様々な困難についてお話ししましたが、実際に出産・育児を経験してみてわかったことは「産後すぐ職場復帰するのは、色々なものを犠牲にしない限り不可能だ」ということです。
産後に回復しきっていない身体が痛む。
赤ちゃんが泣いて寂しい思いをするかもしれない。
親や周りの方々に負担をかけてしまうかもしれない。
そういった思いがありながらも職場復帰しなければいけない理由があれば、家族、会社、政府や自治体がサポートしなければなりません。
しかし、それが難しい、またはそもそも希望しない場合、お母さんが外に働きに出て行かなくても、生活していけるようにしなくてはならない。
キャリア形成の観点から職場復帰を望むお母さん達には、産休・育休制度の充実や、テレワーク・フレックスタイムでの勤務の実現など、様々な形でキャリア形成が達成されるように制度を整える必要があります。
経済的な問題、キャリアの問題、この2つの視点で産後の女性の職場復帰について改革をしなければ、この国の少子化は改善しないと感じます。

日本政府や自治体はいま、少子化対策として保育園を増やすような政策を全国的に推し進めています。
勿論、保育園も一定数必要ですが、「本当は自宅で子供を育てたいのに、経済的な理由から働かざるを得ない」というお母さん達が、そもそも保育園に預けて働きに出る必要が無いくらい、日本全体が豊かになる必要があります。
日本が豊かになるためには個人の所得が増加することも勿論一つの要因ですが、日本はあらゆる税金がとにかく高過ぎるため、同時に減税も必要です。税金が高い割には、北欧諸国のように医療費や教育費の殆んどが税金で賄われているとは言い難い。「働けど働けど税金の支払いでカツカツ」という状況下で、国民はどうして勤労意欲が湧きましょう。どんどん働いて、いい仕事をして稼ごうという気が湧かないような制度になってしまっています。これでは、いつまで経っても日本は本当の意味で豊かにはならないでしょう。「子育て支援=保育園を増やす」ことも確かに大切ですが、「子育て支援=世帯の可処分所得アップ」の方が直接的な支援になるのではないか、と感じる次第です。

長々と語ってしまいましたが…
私は杉並区議会に議席を頂いている杉並区議会議員ですので、杉並区議会において区政に対してこのような政策の方向性を提言することはできますが、国会議員ではないため、上記のような内容を国に直接提言することは当然できません。しかし、このようにSNSやインターネット番組などで発言をし、皆様と一緒に日本の政治や社会について具体的に考えることはできます。それは一国民として当たり前と言えば当たり前ですが、現代のようなインターネットを使える便利な社会になり、政治家も政治家でない方も一緒になって議論できるということは、政治や社会を変えるチャンスが多いということですよね。
これからも、皆様と同じ目線で政治・社会について考えていきたいと思っております。未熟者ゆえ、時には皆様からご教示いただいたりお叱りを頂いたりすることもあるかもしれませんが、いつでも真剣に取り組んでいきたいと思っておりますので、今後も小林ゆみを宜しくお願いいたします。

令和3年3月29日
杉並区議会議員 小林ゆみ

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?