ふたつのダイヤモンド
2023年、10月1日。
私は、この日初めて、SEVENTEENさん以外の公演へ赴いた。
それはSHINee先輩のコンサートだ。
SHINeeとは、2008年にデビューした韓国の男性アイドルグループである。「光る、輝く」という意味の「shine」に、接尾語(〜する人)の「ee」を組み合わせた「光り輝く人」という意味のグループ名を持つ。ファンダム名は「シャウォル(Shawol)」。日本でも2011年にデビューしており、2017年には日本単独公演数が通算100回を超え、2014年からは5年連続で東京ドーム公演を開催している。先日にはメンバー全員が兵役を終え、デビュー15周年を記念し8枚目のフルアルバム「HARD」を持ってカムバックを果たした。
そして、SHINee先輩は、私にとって最後のアイドル、ホシくんの
その道を志すきっかけとなったアイドルだ。
彼は、これまで幾度もSHINee先輩のことを言及しては、その10時10分の瞳をキラキラと輝かせ、こう語る。
このように話すホシくんは、私にとって輝きそのものだ。
憧憬という感情は、「誰かのために」と自己を犠牲にするよりも、ずっとシンプルで真っ直ぐで生まれたままの感情で、純粋で何にも代え難いものだと私は思う。
そして、自分が何をしているのか、何をしたかったのか分からなくなった時にも、道標となってまた初心を思い出させてくれる。本能から湧き出る、本心の感情。
私は、好きな人にはただ心の底から好きなことをしていて欲しいという願望もあり、ホシくんがその感情を持ち合わせていることが本当に、本当に喜びなのだ。
出張15夜のEP2-2の16:27~より、イントロクイズでSHINee”Sherlock”を楽しそうに踊るホシくんは、まるで少年そのもの。こんなに愛おしいことがあるのか……。
彼にそう思わせてくれた、憧憬を抱かせたアイドルが一体どのような人たちであるのか、死ぬまでに絶対に一度はこの目で見て確かめたかった。
だから、行って来た。見て来た。この目で、しかと受け止めて来た。
結果については、あまりに良すぎて長くなってしまうため大方割愛するけれども……。
本当に素敵だった。本当に。
本当にホシくんが出逢ったのがSHINeeさんで良かったし、SHINeeさんだからホシくんが出逢ったのだと、本気で思う。
そして、ほんとうに感謝をしている。ありがとう。ありがとう……。
5年ぶりに日本の地に君臨したSHINeeのお三方は、圧巻のオーラを纏っていて……。あまりに神々しさに言葉を失った。現実世界なのに現実世界に思えない。この人たちが、ホシくんにとっての最初のアイドルなのか、と……。
オープニングから怒涛のパフォーマンス。あまりに激しすぎて、見ているこちら側の情緒が全く追いつかない。ホシくんが「あんなに大きなステージでも全然疲れを見せない」と話していた理由が痛いほど伝わって来た。2曲目に披露された"Dream Girl"はまさにホシくんが番組で箒をマイク代わりにして踊っていたほどSHINeeを代表する曲で、「これがSHINeeなのだ」という実感を覚えた。
そして、その勢いは15年経っても衰えることはないことを思い知らされた。一人ひとりの魅せ方があまりに良くて、途中からただただ本能的に、本心から魅了されていた。曲の良さと癖になる踊りに、表情に、歌声に、全てに骨抜きにされる。この衝撃を、小学生だったホシくんは目の当たりにしたのか。彼らの姿を見て、こんな風になりたいと思わせられることがとても自然なほど、眩しかった。そして本当に手を伸ばすホシくんもまた、眩しいと思った。
ダンサーさんのYoutubeを見ている中で、「SHINeeの曲を練習曲として使用することがよくある」という話があった。ホシくんもきっと、彼らの曲を聴きながら体を動かしてダンスの基礎を築いていたのだと思う。ホシくんのSEVENTEENが、ここからまた始まっていたのだという実感が、彼らのステージをもって私に降りかかっていた。
15年という月日は伊達にならないようで、彼らのMCは全て日本語で行われていた。「雨降っているんですかー?」という質問に、「ちょっとー!」と答えるファンと、ああちょっと降っているのね、と話す彼ら。本当に、生きたコミュニケーションを図っていた。ここまでの過程がどれほど途方もないものだったのか、想像するだけで気が遠くなりそうだ。それほど、シャウォルに魅せる舞台に対して真摯に向き合っているのだと感じた。キー君が絶えず私たちを笑わせてくれるから、まるでここはお笑いライブか?と錯覚する場面もあった。あまりに新鮮で、ちょっとくすぐったくて、幸せが過ぎる空間だった。
MCが明けても圧巻のステージは勢いが衰えることを知らず、観客にいる端から端まで、たった3人で(でも5人分の力で)魅了し続けた。一度見たら忘れることができない。感情がそのまま乗っている歌は、覚悟であり魂の叫びだった。どこまでもこの人たちはステージと音楽を信じ、真っ直ぐ伝えようとしているのだ。15年という月日は、その意志の表れだと感じた。キー君が「久しぶりのツアーだけど、やっぱりこれだね。昔みたいにいっぱいライブしたいからもっと頑張るね」と言ってくれたことが、あまりにアイドルめいていて、ちょっと泣いちゃった。
名残惜しい終演間際に発表された、東京ドームでの公演の開催決定のお知らせ。テミンさんが「さらにレベルアップしたものをお見せします」と話していたことが、本当に忘れられない。本当に今回の公演は、私にとってあまりに衝撃的すぎていて。それを、セットリストも刷新してまた新しいものを見せよう、だなんて……。2年ぶりのカムバックで見せた姿が「HARD」であることも合わせて、彼らの貪欲さがいかほどのものなのか、思い知らされた。
ホシくんが小学生の時に出逢ったSHINeeが、15年の月日を経て、未だにこうしてステージに立ち続けているということ。あの頃の純粋で真っ直ぐな感情を思い出させる存在が、あるということ。その姿は今もなお輝きを増し続けているということ。そして、ホシくんは彼らを「憧れ」に止めることなく、彼自身の力で夢を叶え、今やお互いの存在が共鳴しあう存在となっていること。そして、そんなホシくんの姿がまた、誰かの祈りとなり、人々の背中を押し、新しいアイドルの目標となっていること。すべての出来事と連鎖が、あまりに大きな営みすぎて、私には当分受け止めきれそうにない。
なんて壮大で、なんて愛おしい循環であることか。
小学生だったクォンスニョンさん。
あなたがかつて憧れを抱いたアイドルとあなたは、今や横に並んで一緒に曲を踊っています。それぞれのペンライトを、あなたのファンである私は並べて抱きしめることができています。そして、そんなあなたが、また誰かの夢になっています。そんな連鎖を、奇跡を、私は今目撃しています。
ここまで走り続けて来てくれて、本当にありがとう。
これからも、ふたつのダイヤモンドが照らすステージの数々を、私は本当に楽しみにしています。ふたつの光の関係性が、どこまでも大切で愛おしいです。
どうか、その真っ直ぐな「好き」や「憧れ」の感情が底尽きることなく、
描く世界が生き生きとあり続けられますように。
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