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山田家物語 第5章 「税務課勤務」


(注)これは #ペクトラジ  の続きです。
 
 
金一は、長い観光課勤務を終え
税務課に転属した。

税務課は、帳簿の計算のみならず
「差し押さえ」業務までこなした。

公営ギャンブルで破産し、税金を払えなく
なった家庭から、家具など金目の物を
差し押さえて、それをリヤカーに積んで
運送トラックまではこぶのである。

差し押さえられた側は
「お願いだからもっていかないでください」
と懇願したが、それでも持ち去らねばならない
しまいには足にしがみつき
「持っていくな!。この鬼!」と叫ぶ始末

文武にたけた金一ではあったが
優しい心根を持ち合わせていた。
そのような任務に耐えられず
次第に、心が病んでいくのである
そして鬱がつづき、市役所も休むことは
無いが、勤務が上の空になっていく。
そんな様子をみた市民は
「なんだその態度は、この税金泥棒が」
とさらに追い打ちをかけられた。

悩んだ末、上司に転属願いを申請した。
そして、転属願いは受理され
比較的「ゆるい環境」の「港湾課」に
配属されたのである。


冒頭の写真は市役所近くの唐戸市場で港湾課はもう少し下関駅よりにあった。


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