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マイライフ:第3章:「電電公社勤務」

東京出張所は、
設計1部が「電電公社」関係を担当し
設計2部が「道路公団橋梁部門」を担当しました。
設計部のほかに「土質調査部」もありました。
土質調査部は設計にあたって
どのような土質か調査するため
地質調査のボーリング探査をするのが
主目的です。
これなくして設計は出来ないのですが
自社処理は無理なので
ボーリングは全て外注
社員は監督するのみという状況でした。
 
私は設計1部に配属されました。
電電公社部門の設計に驚きました。
東京の地下40m~50mにシールドトンネル
を配置するため、1kmごとに
シールド用立坑を設計するのが
主業務です。

シールドの設計は電子計算機が
必要だったので、これは電算センターに
外注しました。

立坑の設計は、「たわみ角法」という
手計算で、パソコンなら1時間でできるものが
当時は丸1日かかりました。

部材の設計に伴い、次は「鉄筋コンクリートの
応力度計算」ですね。
当時は、ノモグラムという図表を用いていましたが
これが試行錯誤法で、正解に近い値に
収斂するには少なくとも3回、ヘボは5回と
1つ計算するのに1時間以上かかりました。
パソコンなら1分ですね。
 
設計の道具は
計算は「タイガーの計算機」


ひどい人は、有効数字2桁の「計算尺」
でやっていました。
部長はよく言ったものです。
「有効数字は2桁で十分じゃ、
あとは安全率3倍みとるので
構造物がこわれることはなか」

材料表の計算は、そろばん隊が5~6人
読み上げ係1名、読み上げチェック係1名
集計後、1人でも合わないと、全員で
やり直しというペナルティーつき
 
作図は、構造図や配筋図
それを製図版にトレース用紙を設置
ドラフターという製図機器で
鉛筆ホルダーを使って作図。
間違えると、消しゴムで消すのですが
あまり間違うと、真っ黒なり使い物になりません。
中には、T定規と三角定規で作図するベテランもいました。
 
立坑1本の設計費は当時の価格で
1000万、配筋図1枚20万円以上だったと記憶しています。
それを部長が下請けに15万で外注していたようです。
私の給料が3万2000円なので
外注費が給料の約4倍以上というのも
驚きました。
当時の手書き時代、下請けのベテランで
1枚描くのに6~7日かかったので
月に1人の書ける枚数は4枚程度で60万です。
尤も会社経費などもかかるわけですから
下請け社員の給与は私たちより
少し多い程度にすぎないようでした。
社長がぼろもうけしたのですね。
そのような時代的背景から
下請け起業家もたくさんでました。
設計1部の担当だけでも
個人経営に近い下請けが
4社誕生しました。
 
これは後年の話になるのですが
CADという電子製図システムが
パソコンに搭載される時代になり
外注費は1枚3万円に削減されました。
いくら電子製図とはいえ、1枚描くのに3日は
かかります。
下請けは休みなしで働いても月に30万しか
かせげません。
その時の私の給与は軽く40万は超えていたと思います。
 
添付写真は最近の橋梁の設計から
拝借しています。

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