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君が見せてくれた景色

決勝トーナメントの第1試合は
引き分けのままPKへ
大事な場面で出番が無い

1人目、2人目、3人目、4人目...
互いに譲らない
5人目がキックしたボールが
キーパーグローブに当たり
勝ちが決まったと同時に
歓声と拍手とハグやハイタッチで
キーパーが囲まれている

私もヤッターと声に出してみたが
君が心配で探した
あの湧き立つ輪に入らず
静かに立ち上がり
控えテントに帰ろうとしていた

背中を丸めて涙を拭う君
誰にも気付かれずひっそりと

悔しくて悔しくて
胸が締め付けられた
こんなにレベルが違う悔しさがあるのだ

第2試合も出番が無かった
この試合に勝てば決勝戦だ
わずかな望みは決勝戦での出場か

だが決勝戦も君がベンチに座っていた
後半だけでも出場できるのか?
と思うのも束の間試合が終わった
準優勝だった

どこかで納得する私がいた
君はずっと笑顔が消えたままだ
大好きで大好きで仕方ないサッカーなのに

「今日、予定ある?無ければ今すぐスポーツ用品店に行って、キーパーの道具を揃えたい!次の練習の時にコーチに見せるんだ!」と勢いがハンパない君
瞳の奥に強い強い決意を感じた
すぐに店に連れて行き、道具を揃えると、満面の笑みを浮かべていた

あれから1年半、正キーパーとして
いくつもピンチを乗り越えて来た

キーパーを見守る覚悟が足りず
試合観戦はしないままだったが
ナイスキー!と声かけてもらう君を見て
試合観戦をするようになって半年余り

キーパーの勉強もして
君と話が出来るようになった
君も生き生きとして楽しそうで
キーパーをやりたいと決める前日まで
情熱が感じられなかった事が嘘みたい

その君が最後の瞬間にベンチにいた

笑顔が消えたままメダルをかけてもらい
写真には悔しさの滲んだ顔が残った

帰り道、2人で泣いた
思い切り泣いて、愚痴をこぼして
この悔しさは忘れないでいよう
そして、この先へのエネルギーにしよう
そう誓った


















































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