程よい未練

3月で引退する、ということで
2月中にほとんどの表としての仕事を終える。

最後の収録だから、とお祝いに
スタッフさんや共演者さんが贈り物をくれる。
テーマカラーだったグリーンベースの花束
どこかで好きだと言ったお菓子やお茶
すべて私のことを考えて選んでくれた、
時間とお金と気持ちを使ってくれたものばかり。

私はもらってばかりでなにも返せない、
会って返すタイミングももうめったにない。
そんな気持ちで涙が出そうになる。
嬉しさ、優しさに触れた心の解けによる涙であり、私もひとりひとりお世話になった方にお手紙とか贈り物をしてまわりたいのに出来ていない、という不甲斐なさが染み出す。こんなにしてもらったのに私はいつかお礼が出来るんだろうか?


この仕事を引退した後の私にできること、は
ここでもらったお返しができるように、
その人の人生にまたクロスできるように頑張ること。
贈り物や思いやりへの十分にお返しできてない未練って、次また会いたい、の理由になる。
あー、こんなにしてもらったのに私は何ができたの、という凹んだ気持ちを凸らせて、
次会える時までにお返し、恩返しできるようになっていないとなと考え直す。


"ごはん食べましょうね"
"また一緒にお仕事できるように頑張ります"
"困ったことがあったら呼んでくださいね"


このお仕事に未練はないし、
できるだけのことをやりきったと思う。

だけど、周りにもらったものが多すぎる。
それをいつか返さなくちゃ、という程よい未練を引きずって、もっと大きくなれるように誓う。

"また、すぐ会えますよね"
その気持ちで、いつものようにカラリとロケバスを降りる。


一線を行く人と併走できていれば、
また会える、またすれ違える。
速度を落とさずに頑張ろう。

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