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僕が抱えた問題児は、いわゆるツンデレだった

〇〇:ふう…ついに今日からか…

〇〇は先日採用されたオズワル道に来た

〇〇:問題児って言われたけど、どのくらいなんだろ…

〇〇は恐る恐るドアを開ける

〇〇:おはようございます…

すると、1人の女の子が立っており

?:あ、もしかして今日から担当の人?

〇〇:は、はい、〇〇と申します

?:きゃ〜、超イケメンじゃん!

〇〇:えぇ…!?

?:あ、ごめんなさい、挨拶遅れました

美空:一ノ瀬美空です!み〜きゅんきゅん!

美空は可愛くポーズを決めた

〇〇:あ…よ、よろしくお願いします…

?:美空は相変わらずだね

〇〇:あの…あなたは?

アルノ:あ、中西アルノです。気軽に話しかけてください

〇〇:は、はい…

○○:(サバサバしてるぅ…)

すると、○○の後ろからドタバタと足音が聞こえ

?:やばっ、遅刻した〜!ごめんなさ…ってあれ?

アルノ:咲月も相変わらずか…

○○:あの、今日から担当します、○○です

咲月:あ、菅原咲月です!よろしくお願いします!

咲月:あ、あと、遅刻してすみません!

咲月は○○に対し深いお辞儀をした

○○:い、いえ…僕も今来たばかりなので…

咲月:そ、そっか…良かった…

○○:菅原さん、よろしくね

すると○○に対し、冷たい声で

?:あの…早くしてくれません?

○○:あ、ご、ごめんなさい!

?:いい時給もらってるんだし、ちゃんとしてください

美空:和〜、もっと優しくてもいいんじゃない〜?

和:美空は甘すぎるの。お金もらってるんだから、ちゃんとしてもらわないと困るの

美空:でも、教えてもらうんだし、少しは優しくしてあげないと…

○○:一ノ瀬さん、庇わなくていいからね?

美空:でも…

○○:あ、君の名前聞いてもいい?

和:井上和です

○○:和さん…

和:普通に井上って呼んでください

和:急に下の名前とか、キモいんで

○○:そ、そうだね…ごめんね、井上さん

和:はぁ…

○○:…

美空:和はいつもあんな感じなんです…

アルノ:別に○○さんのせいじゃないから、そこは安心してください

○○:そ、そっか…

○○:(井上さん…怖いな…)

○○の心は、不安でいっぱいだった

_____

○○:え〜っと、では改めて

○○:今日からこのクラスの担当となりました、○○と申します

○○:今は大学2年生で、乃木坂大学に通っています

美空:え、乃木坂大学!?名門じゃないですか!

○○:め、名門とは言っても、本当にギリギリ合格できただけで…

咲月:い、いや、自信もってください!すごいです!

○○:あ、ありがとう…菅原さん…

和:…

○○:(井上さんにめっちゃ睨まれてる…)

○○:と、とりあえず…みんなの力を試してもいいかな?

美空:はぁ〜い!

○○:じゃあ…用紙配布す…

すると、教室のドアが開き

?:すいませ〜ん、遅れました〜

○○:あ、そっか…5人いるんだった…

美空:桜〜、遅いよ〜!

桜:ごめんなさ〜い

○○:あ、今日からこのクラスの担当の、○○です

桜:川﨑桜です、よろしくお願いしま〜す

○○:(すごいふわふわしてる…)

○○:あ、今から腕試しのテストやるから、席ついてもらっていい?

桜:はぁ〜い

桜はゆっくり自分の席に向かう

○○:(あの子だけ時間の進み遅いのかな…)

○○:僕が「始め」と言ったら表にしてください

○○:では…始め!

5人は一斉にペンを取り、文字を書いていく

○○:(いくらやばいとは言っても、さすがに中学レベルはできてもらわないと…)

○○はそんなことを考えながら、みんなの様子を見ていると

和:っ…

○○:(井上さん…1問も解けてない…?)

○○:(てか、みんな序盤で止まってる…)

○○:(嘘だろ…こんなにヤバいの…?)

そしてテストを回収

案の定、結果は散々で…

○○:えっと…みんな赤点です

美空:○○さん、難しすぎます〜!

桜:何も分からなかった…

咲月:ま、まだできた方です!

○○:まあ、一応菅原さんが1番点数が高いかな…

○○:(言うて29点だけど…)

アルノ:先生!

○○:中西さん、どうしたの?

アルノ:ちなみに…1番点数低いのって…誰なんですか?

○○:あ、いや…それは…

○○:(これで井上さんの名前を出したら、井上さんのプライドが…)

和:どうせ私でしょ

○○:え?

和:私がこのクラスで1番バカなの

○○:い、いや…バカなんて…

和:バカなの、そういう気遣いいらないから

○○:ご、ごめん…

和:あと、そのすぐ謝るのなんなの?くせ?

○○:うん…多分…

和:別にあんたのせいじゃないのに謝ってるの、普通に考えて意味わかんない

○○:そ、そうだよね…ごめ…あ、うん

アルノ:あれは和なりの優しさですね

○○:あ、優しさなんだ…

○○:(嬉しいな…)

○○:ふふっ…

美空:○○さん、なんでニヤけてるんですか?

○○:え、にやけてた?

美空:はい、(⸝⸝⸝´ꇴ`⸝⸝⸝)、って感じで

○○:何でだろ…井上さんに優しくしてもらったからかな…

井上:え?

○○:この教室入ってから、ずっと井上さんの視線が怖かったんだよね…

桜:和、怖いらしいよ〜

和:な、そ、それは…厳しく指導してもらわないと困るからよ

○○:そ、そうだよね!ちゃんと厳しく指導していきます!

○○:じゃあ正直言います、みんなおバカです!

アルノ:え?

美空:キッパリ…

咲月:ガーン…

和:っ…

桜:ふわぁ…

ここから、僕の戦いは始まる

_____

次の日

○○:じゃあ今日は、数学やっていきます!

美空:うぇぇ…苦手だよぉ…

アルノ:まぁ…まだマシかな…

○○:ちなみに昨日のテストで、数学の点数が1番高かったのは、井上さんです

咲月:お〜、すご〜い

桜:和、すごいね〜

和:べ…別に何ともないわよ

○○:(あえて井上さんの成績がいい教科をやって、自己肯定感を上げてあげるのが、1番効果的かな)

○○:じゃあ、二次方程式をやっていきます

○○:まずはこの問題解ける?

美空:えぇ…

アルノ:わ、分からない…

咲月:ダメだ…分からないよぉ…

桜:?

4人は何が何だか分からない様子

○○:みんな…ん?

和:…

○○:井上さん、分かる?

和:x=3

○○:おぉ!正解!

美空:お〜!

アルノ:さすが和!

○○:井上さん、ナイス!

和:ふんっ…

○○:…こ、この問題は…ここをこうして…

美空:はぇ…なるほど…

咲月:わかりやすいかも…

○○:ははっ、そう言ってもらえて嬉しいよ

和:…

○○:(あ…また睨まれてる…)

○○:じゃ、じゃあ、次の問題行くね…

その後、何問か問題を出すも、みんな頭を抱えてばかり

しかし、和は何とか数問は正解

その度に

○○:井上さん、ナイス!

○○:そう、井上さん、正解!

○○:お、すごい、正解!

と、和を褒めることを意識した

しかし、当の本人は

和:…

○○:い、井上さん、すごいよ!自信もって!

和:そうですか

○○:あ…

美空:つ…次の問題行きましょう!

○○:そ、そうだね!次行くね!

○○:(だめだ…褒めちぎる作戦は失敗か…)

○○:(でも…何となく分かった気がする…)

_____

その翌日

○○:みんな、昨日渡した課題はやってきました?

美空:ちゃんとやってま〜す!

美空、アルノ、咲月、桜はしっかりとやってきていた

まあ、結構間違えていたが

しかし、和は

○○:井上さん、出した?

和:…

○○:あれ、忘れた?

和:…

○○:い、井上さん?

美空:和、忘れたの?

和:忘れたよ

○○:なんで忘れたの?

和:…

○○:井上さん、答えて?

アルノ:和、さすがに答えないと…

和:なんでよ、あんなのやって何の意味あんの?

美空:いや、一応出されたし…

和:別にやる義務なんてないでしょ

和:大学生の素人が考えた問題集なんて、たかが知れてるでしょ

○○:っ…!

和:やったって何の意味もないでしょ

そんな和の発言を聞いた○○は

○○:おい…井上

和:何よ…

○○:てめえ、まじでふざけんなよ?

和:は?

○○:厳しくしろ、って言ったのは誰だっけ?

○○:お前だよな、井上

和:何が言いたいのよ…

○○:だから俺は厳しくしてやるよ

○○は和の胸ぐらを掴む

○○:井上、今日出す課題やってこなかったら…どうなるか分かるか?

和:は?暴力?普通に訴えて勝つけど?

○○:俺は女の子に暴力を振るうつもりはない

○○:もし明日忘れたら…

「俺はお前に一切構わない」

和:は?それが仕打ち?

○○:ああそうだ、必要最低限以上の関わりをお前とは持たない、それだけだ

和:ははっ…そんなんでいいんだ

和:じゃあ一生出さないよ、課題なんて

○○:お前がそれでいいならな?

○○は掴んでいた胸ぐらを離し、元の場所に戻る

○○:ごめん…みんな怖かったかな?

美空:こ…怖いです…

咲月:うぅ…泣

○○:す、菅原さん、ごめん!

アルノ:咲月ぃ〜落ち着け〜

アルノは優しく咲月の背中をさする

咲月:ぜ…絶対課題忘れてきません…泣

○○:う、嬉しいけど…そんなに泣かないで…

和:…

_____

翌日

○○:昨日渡した課題、ここに提出してください

昨日のように、和を除いた4人は課題をしっかり提出した

美空:和、また出してないの?

和:言ったでしょ、私はやらない

○○:よし、出してくれたみんな、偉いぞ!

○○:じゃあ、今日は週の終わりの回なので、テストします!

○○:前より点数上がってると嬉しいな〜

○○はテスト用紙を配り終え

○○:では、始め!

○○の合図と共に、ペンを持ち解き始める

数十分後

○○:みんな、そこまで!

○○:これから採点するから、ちょっと待っててね!

○○は採点のため、隣の教室に

美空:○○さんのおかげでちょっと解けるようになったかも!

咲月:分かる!前だったら絶対解けないのも、何故かいけた!

アルノ:さすがだな…

桜:和、解けた?

和:え、ま、まあ

桜:そっか〜、すごいな〜

和:桜はどうだったの?

桜:え、全然解けなかった笑

和:桜らしい…笑

すると○○が戻ってきて

○○:じゃあ、今から返すね

○○:まずは一ノ瀬さん!

美空:はいっ!

○○:すごいよ、5点上がってる!

美空:○○さんのおかげですっ!

○○:あはは、ありがとう

○○:次は、中西さん

アルノ:どうかな〜

○○:1点だけあがってた…!

アルノ:1点かぁ…

○○:でも、凡ミスなだけで、実力は上がってる!

アルノ:お〜、やった〜

和:…

○○:次は菅原さん

咲月:だ、大丈夫かな…

○○:えっとね…5点下がったね…笑

咲月:あ、あれ?

○○:解答欄、すごいズレてる…笑

咲月:あぁ!やっちゃった…

○○:でも、ズレてなかったら、10点上がってる!

咲月:凡ミス気をつけます…

○○:次に、川﨑さん

桜:どうかな〜

○○:うん、現状維持!

桜:あれ〜?

○○:うん…勉強頑張ろう…笑

○○:頑張れば、伸びる!

桜:はぁ〜い

○○:で、井上さん

和:はい

○○:1点上がってました

○○:じゃあ今から、今回のテストで特にみんな解けてなかったところやります!

和:…

○○:井上さん、早く席戻って

和:あ、はい

○○:今回ね、特に問5の…

和:(な…何よこれ…)

和:(みんなと対応違いすぎでしょ…)

和:(これが課題忘れた仕打ち?)

○○:じゃあ、この答えわかる人

○○:井上、ぼーっとすんな

○○:ボケっとすんのは、この問題解けてからにしろ

和:っ…

○○:一ノ瀬さん、いける?

美空:えっと…x=4?

○○:そう、正解!できてんじゃん!

美空:やった〜!

○○:この問題はね、最初にやったこの方法で…

和:…

咲月:せ…先生…

○○:ん?

咲月:それ、x=2な気がします…

○○:あ、本当だ…

○○:菅原さん、ナイス指摘!まじで助かったわ…

咲月:えへへ

○○:菅原さん、後でお菓子いる?

咲月:え、くれるんですか!?

○○:まあ…考えなくもないかな?

咲月:欲しい欲しい!

和:…

和:(何でよ…私にももっと優しくしてよ…)

和:(美空や咲月みたいに…)

和:(もっと優しく対応してよ…)

○○:じゃあ、今日はここまで

○○:土日挟むから、すこし課題多めにします!

○○:大変かもだけど、やってきてね〜

○○は荷物を片付け、教室を後にする

○○:(井上さん、これで変わってくれるかな…)

美空:なんか今日の○○さん、和に冷たくなかった?

アルノ:あ、それ思った

咲月:なんか、ちょっと怖かったよね…

桜:和、大丈夫だった?

和:え、な、何が?

桜:○○先生に冷たくされてたけど

和:べ、別に冷たくされたからなんなのよ、って感じ

美空:本当に?

和:そ、そりゃそうでしょ

和:ただの大学生に冷たくされたからなんなのよ

和:(違う…そんなことない…)

和:(もっと優しくしてほしい)

和:(もっと褒めてほしい)

和:(もっと…私に構ってほしい…)

_____

数日後

○○:みんな、今週もよろしくお願いします

○○:じゃあ、まずは先週出した課題、提出してください

美空や咲月が提出していく中

和:…はい

○○:井上さん、今日はちゃんと出してくれたね

和:まあ…一応

○○:ふふっ、ありがとう、偉いぞ

和:っ…//

○○:今日は初めてみんな出してくれました!

○○:課題の作り甲斐があります!ありがとう!

○○:では、今日の内容入ります!

美空:なんかテンション高くない…?

アルノ:和が課題提出したのが嬉しかったとか…?

美空:有り得るね…

○○:(ついに井上さんが課題出してくれた…)

その翌日も

○○:課題ここに出し…

和:ここでいい?

○○:井上さん…今日も出してくれたんだね

和:まあ、頑張って作ってくれてんだな、って

○○:ありがとう…井上さん

和:べ、別に…当たり前のことでしょ…

○○:ううん、当たり前って、当たり前にあるんじゃない

○○:今日だって、当たり前に来るものじゃないんだよ

和:何、哲学?

○○:ふふっ、そうかもね

和:っ…何なのよ…//

そして金曜日

○○:さあ、待ちに待った週末です!

○○:その前に…テストです!

美空:やばい…来ちゃった…

アルノ:今週の内容はちょっとやばいかも…

和:…

○○:じゃあ配布しますね〜

そしてみんながテストを受け、採点が終わる

○○:ふぅ、採点終わった〜

○○:ふふっ…すごいな…

○○:みんな、採点終わったよ〜

美空:やだぁ、返さないでぇ!

咲月:きっと大丈夫、きっと大丈夫、きっと…大丈夫じゃない…

○○:よし、返すよ〜

○○:一ノ瀬さん!

美空:見たくないよ…

○○:うん…散々だね…18点

美空:やっぱりぃ…

○○:中西さん、20点

アルノ:美空よりは上…

○○:菅原さん、25点

咲月:30点行かなかった…

○○:川﨑さん、17点…

桜:あれ〜、もっと行ったと思ってたのに…

○○:そして、井上さん

和:はい

○○:すごいよ!46点!

美空:えぇ!?

アルノ:嘘…すごっ…

咲月:なんでそんな取れるの…

○○:井上さん、よく頑張ったね!

和:あ、ありがとうございます…

○○:井上さんが頑張ってくれて、すごく嬉しい!

○○:めっちゃ抱きしめたい!

和:は、な、何言ってんの…!?

○○:こんなに頑張ってくれるなんて思ってなかったんだもん!

和:そ、そんな大袈裟な…

○○:ねえ、ギュッてしていい?

和:か、勝手にしなさいよ…

○○:和ちゃん!すごいよ!偉いよ!ギュッ

和:…//

○○:いやぁ…本当に嬉しい…

和:な、長くない…?

○○:それくらい嬉しいんだよ!

和:もう…//

美空:和さん、満更でもないようですね?笑

和:は、はぁ!?

桜:和、顔すごい赤いね

和:こ、これは、○○の体温で体が暖かくなってるだけで…

アルノ:あれ、照れてる?

和:なっ…照れてないし!

咲月:確かに、○○先生に褒めてもらいたくて頑張った、となると辻褄が合う…

○○:え、そうなの?

和:はぁ!?ち、違うから!

和:私はただ、○○が頑張ってくれてるんだし、それに応えようと思っただけで…

○○:そっか…僕の熱意が伝わってくれたんだ…嬉しい!ギュッ

和:だ、だから、ハグ長いって!

美空:アツアツですな〜笑

和:み、見てないで剥がしなさいよ!

アルノ:本当に剥がしていいの?

和:えっ…?

アルノ:本当はこのままでいいんじゃない?

和:べ…別に無理に剥がす必要はないけど…

アルノ:じゃあおふたりでアツアツなハグとどうぞ笑

和:っ…//

この日を境に

和:…ギュッ


○○:ん?井上、どうしたの?

和:今日頑張ったから…エネルギーチャージ

○○:何それ、可愛すぎ

和:っ…//

○○:顔赤くなってんぞ〜ツンツン

和:むぅ…やめろ…

○○:いいよ、好きなだけ抱きついてて

○○:井上、最近すごく成績良くなってきてるから

和:成績落ちたらハグしちゃだめ…?

○○:うん、和が頑張ったご褒美だからね

和:じゃあ…頑張る…

○○:うん、僕も全力で教えていくから、一緒に頑張ろ!

和:○○となら…頑張れる…

○○:(まさか…井上さんがこんなに甘えただったとはな…)

○○:(ただ、まだ4人の問題児がいる…)

○○:(これからも頑張らないとな…)

ツンデレ問題児、井上和編、完

続く

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