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釣り上げた人魚との、刺激的な日々の記録

〇〇:はぁ…のどかだな…

僕は今、釣りをしている

釣りは、何も考えずにひたすら海を眺めていられる

世間のつまらないことから離れられる

まあ、楽しいこともそれなりにはあるけどね

〇〇:…今日、全然釣れないな

今日は何か、調子が悪い

〇〇:場所変えよっかな

そう思い、立ち上がった瞬間

〇〇:っ!?

釣り竿の糸がピンッと張った

〇〇:来たっ!

〇〇:うっ…重っ!?

これは経験したことのない大物だ

〇〇:うぅ…おりゃ〜!

そして釣り上げたのは

〇〇:え?

?:うぅ…

〇〇:お、お、女の子?

?:あれ…ここは…海の外?

?:やった…ついにやった!

〇〇:あ…あのぉ…

?:あ!あなたが釣り上げてくれたの!?

〇〇:あ、まあ、そうですね…

?:ありがとう!

女の子は僕の腕を掴んでブンブンと振る

〇〇:え、あの…

?:あ、自己紹介まだだったね

和:私の名前は、和です

〇〇:…

和:あれ、聞こえてる?

〇〇:あ、うん

〇〇:え、君は人間…?

和:ううん、人魚!

〇〇:に、人魚…?

和:そう、深海に住む、人魚!

和:いや〜、ついに人間の世界に出れた〜!

〇〇:そんなに、人間界に出たかったの?

和:そうだよ〜、人魚界つまんないし…

和の話を聞くと

和は、海底神殿の王の娘らしく

神殿の歴史やら何やら、勉強漬けの日々らしい

そんな退屈な日々から逃げ出したく、人間界に興味を持ったらしい

〇〇:はぁ…

和:これも何かの縁だし、人間界の色んなところ連れてって!

〇〇:いや…さすがに海に帰った方が…

和:だめ…?

〇〇:い…いいよ

和:やった、ありがとう!

〇〇:(なんか大変なことになりそう…)

和:あ、これ外しとこ

和が尾ヒレを外すと、人間らしい足が出てくる

〇〇:え…?

和:あ、これ、着脱式なんだ

〇〇:あ、そう…

_____

和を釣り上げた翌日

とりあえず、和を家に住まわせた

〇〇:和、おはよう

和:んん…おはよ

〇〇:眠そうだな

和:だって人魚は普通10時間寝るもん…

〇〇:大谷翔平みたい…

和:誰?

〇〇:あ、この世界の有名な人なんだ

和:そういうの、もっと知りたいかも

〇〇:分かった、これから教えていくね

和:うん、ありがとう!

〇〇:まずは、朝ごはん食べよっか

和:うん!

僕な和と一緒にリビングへ

〇〇:ご飯、もう用意できてるから

〇〇:一緒に食べよ?

和:なにこれ…

〇〇:え、朝ごはんだよ?

和が人魚ということで、魚中心の食事にした

和:人間って…魚食べるの…?

〇〇:え、人魚って食べないの?

和:食べないよ!怖いもん!

〇〇:(人魚って魚に恐怖心あるんだ…)

〇〇:(…よく海の中で生きられるな)

〇〇:大丈夫だよ、動かないし、美味しいよ?

和:〇〇がそういうなら…

和は恐る恐る焼き魚を掴み

和:…パクッ

〇〇:どう?

和:あ…美味しい

〇〇:でしょ!

和:〇〇、すごく美味しい!

〇〇:良かった、和の口にあって

和:パクパク

〇〇:あ、そんなに焦って食べなくても…

和:くぁw背drftgyふじこlp;@:「」

〇〇:ちゃんと飲み込んでから喋って

和:ゴクンッ…すごく美味しい!

和:〇〇、ありがとう!

〇〇:いえいえ

和:人間って、こんなに美味しいもの食べてるんだ…

〇〇:羨ましい?

和:うん、すごく…

〇〇:じゃあ今日は、外に出よっか

和:え!いいの!?

〇〇:うん、和の服とか買わなきゃいけないし

〇〇:あ、でも1人で行動しないでね?

和:はいっ!

和にはとりあえず、高校時代のジャージを着せて外に出た

和:うわぁ…家がこんなに…

〇〇:海の中に家はなかったの?

和:う〜ん、家というか、洞窟?

和:あ、でも私は神殿に住んでたけど

〇〇:あ、そりゃそっか

和:そういえば、今どこに向かってるの?

〇〇:ショッピングモールだよ

和:しょ…しょっ…?

〇〇:色んなお店が集まってる場所なんだ

和:へぇ〜

〇〇:あ、着いた

和:でかぁい…

〇〇:ははっ、新鮮な反応だな〜

和:レッツ、モール!

和はモールに駆け出した

〇〇:おい、和!

和:うわぁ〜、ひろぉい!

〇〇:和、1人で行動すんな!

和:す、すみません…

〇〇:はぁ…はい

和:?

〇〇:手繋げ、何するかわかんねえから

和:はぁい! ギュッ

〇〇:(なんか妹みたいだな…)

僕は和と手を繋ぎ、モール内を歩く

〇〇:とりあえず、ここで和の服買うか

和:うん!

和:♪♪

和は鼻歌を歌いながら、色んな服を見ている

〇〇:(連れてきたはいいものの、ファッションに疎いんだよな…)

和:〇〇、これ欲しい!

〇〇:とりあえず試着してみれば?

和:しちゃく?

〇〇:サイズが合うか、1回着てみなよ

和:え、そんなことしていいの?

〇〇:だって、いざ着てみて似合わなかったら嫌だろ?

和:確かに…試着してくる!

和はさっきの服を持って試着室に入る

〇〇:あ…着方分かるかな…

そんな不安を抱えていると

試着室のカーテンが開き

和:〇〇、似合ってる?

〇〇:かわいい…

和:え、可愛い!?

〇〇:あ…うん

意識せずとも口から出てきた「可愛い」という言葉に戸惑う

和:えへへ〜、私可愛いんだ〜

〇〇:(喜んでるからいいか)

〇〇:じゃあ、それ買うか

その後、他にも数着を試着し、何着かを選んだ

店員さんに頼み、最初に選んだ服を着たまま会計を済ませた

和:ルンルン♪

〇〇:和、お腹空かない?

和:あ、空いたかも〜

〇〇:じゃあ、パン買うか

和:パン?

僕はモール内にあるパン屋に、和を連れていく

和:美味しそう…

〇〇:食べたいのある?

和:ん〜、これ!

〇〇:おっけ、それ買うか

さすがにそれだけでは足りないので、もう何個かパンを買って帰った

和:ただいま〜

〇〇:和、手洗うよ〜

和:はぁい

手を洗い、さっき買ったパンを一緒に食べる

和:パクッ

和:ん〜、おいし〜!

〇〇:本当に美味しそうに食べるんだな笑

和:だって美味しいもん!

和:ずっと〇〇の家にいたいな〜

〇〇:じゃあ…いる?

和:え、いいの!?

〇〇:うん、和といると楽しいし

和:やった〜!

それから、和との生活が正式に始まった

_____

翌日

〇〇:…

和:〇〇〜、起きて〜

和:〇〇ぅ〜

〇〇:んん…なぎぃ…!?

和:〇〇、起きて?

〇〇:あ、うん…//

和:〇〇、顔赤いよ?

〇〇:え、あ、そう?

和:風邪でも引いた?

〇〇:ううん、てか、風邪の概念はあるんだね

和:そりゃあるよ〜

〇〇:(和ってめちゃくちゃ可愛いんだな…)

〇〇:あ、朝ごはん作るね

和:うん、あ!

〇〇:どうした?

和:〇〇と一緒にご飯つくりたい!

〇〇:お、いいよ

今日の朝は、和と朝ごはんを作ることに

〇〇:じゃあ、人参切ってくれる?

和:こ、これで切るの?

〇〇:うん…って危ないな

和:どう持つの?

〇〇:こうやって…

僕は和を後ろからハグする形で教える

〇〇:(やべっ…近い…)

和:お〜、こうやるのか〜

〇〇:…ギュッ

和:ふぇ?

〇〇:あ、ご、ごめん…

和:どうしたの?

〇〇:ごめん、和が可愛くてつい…

和:何それ…//

〇〇:ごめんな、作ろっか

和:う、うん…//

少し気まずくなりながらも、朝ごはんを2人で作った

和:上手くできた…

〇〇:うん、よくできました ナデナデ

和:…//

〇〇:あ、嫌だったか?

和:ううん…もっとして?

〇〇:お、おう… ナデナデ

和:へへっ…

〇〇:(やばい…めっちゃ可愛い…)

_____

また翌日は

和:ほぇ…

和はテレビを見ながらぼーっとしている

〇〇:和、何見てるの?

和:ねぇ〇〇、りゅう、って何?

〇〇:空想上の生き物だね

和:空想なのに生きてるの?

〇〇:人間はそういうのが好きなんだよね

〇〇:なんて言うんだろ…伝説とかが好きなの

和:そういえば、海にも伝説とかあるな〜

和:アトランティスって知ってる?

〇〇:ああ、人間界でも有名だよ

和:アトランティスすごい…!

和:あ、〇〇!

〇〇:ん?

和:りゅうの服ってある?

和:私、りゅうになりたい!

〇〇:あるかな…あ

僕は記憶を頼りに、押し入れを漁る

すると、奥の方に、何故か龍の服が

〇〇:あった…

〇〇:和、これでいい?

和:うん!

和は部屋で着替えると

和:がお〜

〇〇:…

和:な、なんか言ってよ

〇〇:やべ…可愛すぎる…

和:あ、ありがとう…//

〇〇:ギュッてしていい?

和:え、あ、うん…

〇〇:…ギュッ

和:…//

〇〇:やばい…和が可愛すぎて辛いわ

和:えへへ…何それ笑

〇〇:はぁ…好きだわ、和のこと

和:私も好きだよ、〇〇のこと

〇〇:なぁ…ずっと一緒にいてくれるか?

和:え…

〇〇:俺、和とずっと一緒にいたい

和:うん…私も一緒にいたい

〇〇:やった…!ギュッ

和:〇〇、ハグしすぎ…笑

〇〇:だって和のこと好きだもん

和:まあ、嬉しいからいいけど…//

和へ思いを伝え、無事結ばれた僕の和

これから幸せな日々を過ごせる

そんな楽しい、幸せな未来を描いていた

でも、人生は上手くいかないものなんだな

_____

〇〇:ん…

〇〇:あ、もう朝か…

〇〇:和起こしにいかなきゃ

僕は布団から出て、和を起こしに行く

〇〇:和〜、そろそろおき…あれ?

和のいるはず場所には、無造作に置かれた布団だけがある

〇〇:え…和?

〇〇:まさか…

僕の頭の中には、1つの考えが浮かんだ

〇〇:海に…帰った?

そう思った瞬間、僕の身体は勝手に動いた

〇〇:はぁ…はぁ…

〇〇:和…何も言わずに出ていくなんて…!

着替えることも忘れ、パジャマのままにとある場所に走り続ける

〇〇:和…行かないでくれ…!

〇〇:はぁ…着いた…

僕は、和を釣り上げた海に着いた

そこには

和:…

和は海に向かって歩いていた

〇〇:和…!

和:あ…

〇〇:和、帰らないでくれ!

和:…

すると、海からものすごく大きな音が鳴り

?:貴様は誰だ…

〇〇:え…?

和:お父さん…

お父さんと呼ばれる人は、ものすごく大きかった

ああ、これが王か…

父:私の娘に何か用か?

〇〇:っ…

〇〇:和を…返してください

父:何故だ?

〇〇:俺は…和のことが好きです

〇〇:和も、俺のことを好きだと伝えてくれました

父:だから何だ?

父:人魚と人間は、本来関わりを持ってはいけない関係なんだ

父:人間は、我々人魚の世界を荒らし、何事もなかったように生きている

父:我々は、それが憎くて仕方がない、だから…

〇〇:だから…なんですか?

父:なんだと?

〇〇:だから何だって言うんですか!

〇〇:人間が全員、そんなひどいやつじゃないです!

父:口ではなんとでも言えるのだ!

〇〇:口だけじゃないです!

〇〇:俺は…和のためなら、命だって投げ捨てる覚悟です

父:ふふっ…そうか

父:なら、命を投げ捨ててもらおうか

〇〇:は?

王は僕に向かって、三又の槍を向け

〇〇:(あ、死ぬやつだ…)

父:さらば、口だけの人間よ

僕は目を瞑り、死を覚悟した

〇〇:…

〇〇:…あれ?

目を開けると、目の前には

和:やめて!

〇〇:和…?

父:和、何をしている

和:〇〇は…私の大切な人なの

和:私はやっぱり…〇〇と一緒にいたい

和:お父さんに、お母さんに反対されても…私は〇〇と一緒にいたい…!

父:和…

〇〇:和…ありがとう

和:ううん、こちらこそ、私を追いかけてきてくれてありがとう

〇〇:…ギュッ

和:〇〇…愛を誓おう?

〇〇:え?

和:…チュッ

僕は、和に唇を奪われた

〇〇:え…

和:私は、本気だよ?

〇〇:お、俺だって…チュッ

父:…本気、か

和:お父さん、私はこのまま人間界に残りたい

〇〇:和のこと、絶対守ります、だから…

父:ああ…託そう

〇〇:え?

父:初めて、和を託してもいいと思える男に会えたよ

父:ありがとう、〇〇くん

〇〇:え…あ、ありがとうございます…

和:〇〇、やったね

〇〇:あ、あぁ…

父:さぁて、どうしようかな

和:え?

父:和が人間界に行くとすると、神殿の跡取りをどうしようか、と

和:あ、それなら!

〇〇:あれ…なんか嫌な予感が…

和:〇〇、王になってよ!

〇〇:やっぱり…

_____

数日後

〇〇:…

和:〇〇、王になる覚悟は?

〇〇:あ、ある…のかな

和:しっかりしてよね、旦那さん?

父:〇〇よ、これからそなたに王の称号を継承する

〇〇:はい…

父:そして、和を永遠に守ることを誓う

〇〇:はい

和:〇〇、よろしくね?

〇〇:こちらこそよろしく、和

和:へへっ…かっこいいよ、〇〇 チュッ

〇〇:んっ…//

父:誓いの時までイチャイチャするなんてな…笑

そして僕は、海底神殿の王となり

王妃として、和を迎え入れた

和:〇〇、しっかりね?

〇〇:ああ、任せろ

今まで、刺激のない人生だったけど

毎日が刺激だらけの、大変だけど楽しい日々が待っているのだろう

僕は、和への永遠の愛と、王としての責務を果たすことを、民に誓った

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