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自分に自信満々な彼女と、兄以外見えていない妹

大学生の〇〇には、彼女がいる

名前は賀喜遥香

文武両道、才色兼備という言葉が似合う、〇〇の同級生

周囲から「パーフェクトウーマン」と称され、本人はそれを自慢に思っている

〇〇はそんな遥香に惹かれ、猛アピール

遥香は〇〇の純粋な気持ちに惚れ、告白を承諾

付き合ってから数ヶ月、周りからは「The美男美女カップル」という太鼓判

そして〇〇には、妹もいる

名前は小川彩、高校1年生

The妹という可愛らしさを持ち、同級生からは「赤ちゃん」と呼ばれている

しかし、年齢以上に肝が据わっており、〇〇よりもしっかりしている

兄である〇〇のことが好きすぎて、未だに「お兄ちゃんと結婚する」と言い張っている

そんな2人がバチバチの関係になることを

〇〇含め、誰も知らない…

_____

〇〇:おはよ、遥香

遥香:あ、〇〇おはよ

〇〇:あの…朝から大変申し上げにくいんですが…

遥香:何、課題?

〇〇:あ、はい…

遥香:もう、仕方ないな〜

遥香は〇〇に、課題のプリントを渡す

〇〇:まじでありがとう!

遥香:私の彼氏はどうしようもないな〜

〇〇:ねえ、ごめんて〜

遥香:ま、完璧な彼女がいるから安心しなさい!

〇〇:遥香が彼女で良かったわ

遥香:ははは、もっと誇れ〜

〇〇:遥香様〜!

遥香:もっともっと

〇〇:神様仏様遥香様〜!

〇〇:って、課題やらないと!時間ねえ!

遥香:頑張れ〜

〇〇:…

遥香:あ…

〇〇:ん?

遥香:そういえばさ、〇〇って妹いるよね?

〇〇:うん、いるけど?

遥香:〇〇の妹に会ってみたいな

〇〇:あぁ…まじ?

遥香:なんか不都合ある?

〇〇:いや、いつかは遥香のこと紹介しなきゃいけないんだけど…

〇〇:俺の妹…ブラコンなんだよね

遥香:ブラコン?

〇〇:うん…かなり重度の…

遥香:あ〜、私に嫉妬しちゃう系?

〇〇:まあ、そうだね

遥香:安心して!こんな完璧な彼女はいないから!

〇〇:確かにそうかもな笑

遥香:うん、大丈夫だよ!

〇〇:じゃあ、今日行く?

遥香:うん、行く!

〇〇:おっけ、なら彩に連絡するわ

〇〇L:彩、今日家にいる?

彩L:いるよ〜

〇〇L:彩に会わせたい人がいるから、夕方予定空けといて

彩L:分かった!

彩L:お兄ちゃん、大好きだよ!今日も頑張って!

〇〇:ふふっ…

遥香:ん〜?あらあら〜

〇〇:ちょっ、見るなよ…

遥香:お兄ちゃん大好き、ねぇ

〇〇:可愛いんだよな、彩

遥香:むぅ…私より?

〇〇:あ、それはもちろん、遥香が1番だよ?

遥香:ふふっ、だよね?

遥香:あ〜、彩ちゃんに会えるの楽しみだな〜


そして学校終わり


〇〇:遥香、準備できた?

遥香:バッチリよ!

〇〇:じゃあ、俺ん家向かうぞ

遥香:あ、手土産何か買った方がいい?

〇〇:いや、いいよそんなの

遥香:あ、そう?

〇〇:遥香の真面目が出ちゃってるのよ笑

そんな会話をしていると

〇〇:あ、家着いた

遥香:ここが〇〇の家なんだ〜

〇〇:ただいま〜

彩:あ、お兄ちゃんおかえり!ギュッ

〇〇:ただいま、彩 ナデナデ

彩:えへへ…

遥香:あ、君が彩ちゃん?

彩:そうですが?

遥香:(すごい睨まれてる…)

〇〇:あ、紹介するね、彩

〇〇:俺の彼女の、賀喜遥香

遥香:賀喜遥香です、よろしくね

彩:ねえ、なんで?

遥香:ん?

彩:なんでこんな人がお兄ちゃんと!?

彩:絶対釣り合わないって!

遥香:そ、そうかなぁ…

遥香:で、でも、〇〇にはたくさんいい所あるんだよ?

〇〇:彩、そういうことは言わな…

彩:え、何言ってんの?

彩:お兄ちゃんがあなたと釣り合わないんじゃないの

彩:あなたが、お兄ちゃんと釣り合わないの!

〇〇:は?

遥香:え?

彩:そりゃ当然でしょ!

彩:お兄ちゃんみたいな超絶紳士でイケメンな男の子が

彩:あなたみたいに出っ歯な人と釣り合うわけない!

遥香:で、出っ歯…

〇〇:彩、それは言うな…

〇〇:遥香、結構気にしてるんだから…

遥香:い…言ってくれるわね、彩ちゃん

彩:なんですか?事実ですよね?

遥香:こんな子が妹なんて、〇〇が可哀想だわ

彩:はぁ?

遥香:人を見た目でしか判断できない、こんなガキンチョが妹なんて…

彩:なっ…!?

遥香:ま、〇〇に愛想つかれるのも時間の問題かもね、ブラコンさん?

彩:お、お兄ちゃんと結婚するのは彩だもん!

遥香:あははっ、本当に発言が子どもね

彩:彩は本気だもん!

〇〇:彩、本気だったんだね…

彩:お、お兄ちゃんは違ったの…?

〇〇:まあ…遥香がいるし…

遥香:ほぉら、〇〇は私のことを好きなんだよ?よくわかった?

〇〇:でも、彩は大切な妹で、家族だから

〇〇:俺は、彩のこと、大好きだぞ?

彩:お兄ちゃん…彩も大好き!ギュッ

〇〇:可愛いな〜、彩は

彩:お兄ちゃんに褒められた〜

遥香:〇〇!彼女を放っておくな!

彩:べ〜っだ!

〇〇:彩、俺の彼女にそんなことするなら、もうハグしないぞ?

彩:そ、それは嫌だ!

〇〇:なら、さっきまでの発言、ちゃんと謝って?

彩:ご、ごめんなさい…

遥香:ぷぷっ…ガキンチョ…

〇〇:遥香もだからな?

遥香:え、私も?

〇〇:当たり前だ

〇〇:俺の大切な妹のこと、ガキンチョなんて言われて怒らないわけないから

遥香:そ…それは…ごめん

〇〇:俺じゃなくて、彩に謝って?

遥香:彩ちゃん…ごめんなさい…

〇〇:はぁ…困った2人だ…

彩:でさ…お兄ちゃん

〇〇:ん?

彩:結局、彩と遥香さん、どっちの方が好きなの?

〇〇:え?

遥香:確かに、どっちの方が好きなの?

〇〇:どっちの方が、って…

〇〇:好き、のタイプが違うからな…

彩:お兄ちゃん!ハッキリして!

遥香:私は、〇〇の1番がいいの!

彩:ほら!お兄ちゃん!

遥香:〇〇!

〇〇:そんなの、決められねえよ…

彩:なら…

遥香:バトルだ…

〇〇:え?

彩:絶対こんな出っ歯よりも彩の方がお兄ちゃんに相応しいもん!

遥香:こんなガキンチョに〇〇を取られてたまるもんか!

〇〇:おい、2人とも…

彩,遥香:お兄ちゃん(〇〇)は黙ってて!

〇〇:えぇ…

すると、彩と遥香のバトルが始まる

彩:遥香さん、料理できるんですか?

遥香:なっ…りょ…料理は…

〇〇:そういや、前に遥香の料理食べてお腹壊したな…

彩:料理できないお嫁さんとか、ありえないですから!

彩:彩は毎朝、お兄ちゃんの分のご飯まで作ってますから!

〇〇:彩、いつもありがとう ナデナデ

彩:へへっ、どうだ〜!

遥香:じゃあ、彩ちゃん、頭の方はどうなの?

彩:あ…頭は…

〇〇:彩、前やった数学のテストの点数は?

彩:さ…35点…

〇〇:赤点ギリギリだったね

彩:に、苦手分野なだけだもん…

遥香:ははっ、頭の方はダメみたいね

遥香:ま、私は高校時代オール5だし

遥香:〇〇が講義でついていけなかったところは、基本的に全部教えてあげてますから

〇〇:遥香、本当にいつも助かってます…

遥香:ははっ、どうよ?

彩:くそっ…

〇〇:あ、あのさ、2人とも

彩:ん?

遥香:どうしたの、〇〇?

〇〇:2人にはさ、たくさんいい所あるんだから

〇〇:ネガティブ要素引き出して、落とし合いするのやめよ?

〇〇:俺は、2人には仲良くしてほしいな

彩:お兄ちゃん…

遥香:〇〇…

〇〇:彩、お兄ちゃんは彩が大好きだ

〇〇:いつも美味しいご飯作ってくれるし

〇〇:お兄ちゃんなんかよりもしっかりしてるし

〇〇:だけど、お兄ちゃんに甘えて、ちゃんと可愛いところもあって、最高の妹だよ

彩:うぅ…お兄ちゃん…

〇〇:そして遥香は、俺の最高の彼女だ

〇〇:俺にはもったいないくらい、才色兼備な女性だよ

〇〇:頭はいいし、みんなに優しくて、何よりすごく美人だし

〇〇:だけど料理がド下手なところがあって、それがまた可愛くて

〇〇:俺は遥香と付き合えて、幸せだよ

遥香:うぅ…〇〇…

〇〇:だから、2人には仲良くしてほしいな?

彩:お兄ちゃ〜ん!ギュッ

遥香:〇〇ぅ〜!ギュッ

〇〇:ちょっ…苦しいな…

彩:お兄ちゃん大好き!

遥香:〇〇大好き!

〇〇:2人とも、お互い仲良くしてくれる?

彩:…

遥香:…

〇〇:ふ、2人とも?

彩:それは別の話かな

遥香:彩ちゃんとは相容れないな

〇〇:え、嘘でしょ…?

彩:絶対にこの人が彼女なんて認めない!

遥香:こんな奴が〇〇の妹とか信じられない!

〇〇:ねえ…仲良くしようよ…

〇〇が好きすぎる2人に、手を焼く〇〇であった

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