第0018撃「妖気を放つアパートの一階!!」の巻

1989年、芝嶋中学1年の2学期が始まった頃でした。
我が家のあるマンション「フォーエバー」内の郵便局のそばの坂を下りて、
細い車道をはさんだ向かいのローソンの右隣りの
4階建てのアパートの1階は店舗スペースでした。
そのスペースが改造されて禍々しい空間となってました。
夜21時頃から早朝5時頃まで「開店」するようで、
自動ドアも手動ドアもなく、
天井から緑色の分厚そうな「のれん」が垂れ下がっているのみで、
外界を遮絶していました。
手前の歩道を通るとき、
「ブーーーーーン」という重い振動がみぞおちに響いてきました。

あるとき好奇心から少し腰を低くして歩道を通ってみたのです。
コンクリート壁の仄暗い店内に、
自販機が5台ほど設置されており、
自販機にはジュースではなく、
見よ! エロ本かエロビデオだったかが陳列されているのを小生は目撃しました。
「ブーーーーーン」というのは複数の自販機の重なりあった唸り声でした。
店員はまったくおらず、
これまで客が出入りするのを見たこともありません。
その異界のような暗がりで、
おぞましい姿をした不可視の異形の化け物が、
客の入店するのを息をひそめて、
いまかいまかと待ち伏せしていたのでしょう。

数年ほどで店は跡かたもなく消え失せました。
結局、小生がその自販機で「買い物」することはありませんでした。
学校の同級生でも買った買ってないどころか、
自販機の話題じたいが起きませんでした。
皆んな、実はこっそりお忍びで「買い物」していたんだろうか(?)

Wink「淋しい熱帯魚」
Spotifyで聴く https://spotify.link/GfluyAqxiDb
YouTubeで観る https://youtu.be/iBDnRK9ACTY?si=Ie5sS2b8xkNCl_V5

続く。果てしなく続く……。

ここから先は

0字

昭和50年代に大阪市に生まれた男が描く、 すぐに読めるライトエッセイ(軽い読み物)を お楽しみいただけると幸いです。 平成時代の穏やかな…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?