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杉ちゃんの吸収力えぐい

Amazon Prime Video(以下Prime Video)にて独占配信中の、婚活サバイバル番組『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン1。本作は、日本で既に3シーズン配信されている『バチェラー・ジャパン』の「男女逆転版」作品。独身男性ならぬ独身女性が主役となり、多数の男性候補から未来の結婚相手を選び抜く、かつてない恋愛リアリティ番組。


何かを予感させる男“杉ちゃん”
35歳、画家、杉田陽平(以下、杉ちゃん)の成長が止まらない。

最初の紹介VTRでは「アーティストって世間にエントリーされていない。孤立している」とどこか自信なさげな印象だった。萌子さまについても「自分の隣にいるのが、正直今は想像できません。まぶしくて…直視できるか不安…」と気後れしている様子。

しかし、萌子さまとの初対面のレッドカーペットでは「不安」と口にしていただけに無難に終わると思いきや、ダークな色合いで描かれた萌子さまの肖像画の油絵を持参。「これから萌子さんの実物を知って、色を見つけていきたい」となんともロマンチックな演出。これには「あぁ、すてき…」と思わず顔がほころぶ萌子さま。

“不安がっている割には絵も用意してきて、掴みは良さそう。こういう大人しめな候補者が実は伏兵だったりするからな…。杉ちゃん、何かを予感させる…。”


メンバー全員がそろったウェルカムルパーティーで、少しでも萌子さまと2ショットに持ち込みたい男性たちの攻防戦を尻目に、部屋にポツリと1人映し出される杉ちゃん。

苦悩!?

「すごい、みんなのパワーに押され気味というか…情熱がありますね…」「行かなければダメなんだろうな…と思いながらも…葛藤の中にいます」。

あまりの戦力消失気味な姿勢に、先ほどの予感はどこへやら、正直に言おう、この時点で「あ、落ちた…」と思った。

だがパーティーの最後、みんなが見守る中、緊張で舞い上がる気持ちを必死で抑えながらも萌子さまと何とか喋ることに成功。終わった後は緊張が解けたのか涙ながらに「敵のはずの男性の方が…“今行かんと後悔するよ”ってメッセージくれたりして…」と感謝を口にする。35歳にして、このピュアさ。

一見したら「35歳にもなって、女性とうまく喋られず、思いが溢れて涙するって…」と引いてしまう視聴者もいただろう。しかし萌子さまは違う。「あんなにキレイな絵が描けて、こんなに感受性が豊かで、いろんなことを同時に頭の中で考えて、人のことを考えられる人ってなかなかいない。本当に素晴らしいと思います」「Your special!」と称賛。人を見抜く力と懐の深さ、現代のマザー・テレサですか…。

そして無事にローズをゲット。杉ちゃん、やはり何かを予感せざるを得ない。

予感は当たった。「杉ちゃん推し」が急増した#4の、そう、あの台湾デート。自らプランニングする2ショットデートに選ばれた杉ちゃん。他の候補者からは「サプライズローズを杉ちゃんが持って帰ってきたら、訳がわからない」と言われるほど脅威に思われていないようだったが…。

「二人の記憶の星座を作りたい」とランタン飛ばしをプランニング。「愛とは?」をテーマに、お互いにランタンに言葉を書きあう2人。


そこで杉ちゃんが書いたのが「花びら」。

「(愛も花びらも)強引につかもうとしたら、フワ~って(離れて)いっちゃう。だから、あっちかな、こっちかな、あっ離れていっちゃったな…て思って(待って)いたら、ヒューポン!って(手のひらの中に落ちてくる)」。

最初こそ、彼の中で「不安な気持ち」と「自信を持つ」という感情が交互に入り乱れ、いっぱいいっぱいになってしまう場面もあったが、それでも当初から萌子さまのことを「彼女は言葉がものすごくキレイで丁寧」「物事を単純に見ないでいろんな想像をする人」など、芯を着くような思慮深さは随所に感じられていた。

そして、ここへきて確信に変わった視聴者急増。「え?杉ちゃん、普通に推しだよね」。

西日が差す中、ランタンを飛ばす2人の姿はまるで映画のワンシーン。あの、ウェルカムパーティーで喋りかけられず苦悩していた姿は微塵もない。ラストシーンは、花火が上がる中、新たに色味の加わった萌子さまの肖像画を披露。感激のあまり涙する萌子さま…本当にこれが映画ならここで結ばれるでしょ!とツッコみたくなるほど視聴者を虜にした杉ちゃん“神回”であった。

旅を通してどんどん成長をみせる杉ちゃん。#6では、有力候補の黄皓と萌子さまを巡って言い合う場面も。

黄皓から「ぶっちゃけどうなの?好きなの?それともいけるところまでいけたらいいやって感覚なの?」とストレートをぶち込まれると「これ以上素敵な人いないと思っているんだよ。本当に」と必死のブロック。「ただ、現実に結婚に向いているのは黄くんみたいな、基盤があって頼りがいがある人」と一瞬のスキを見せた瞬間「じゃあ、ゆずってよ」右フックをくらう。ここでKOかと思われたが「…なんだけど!僕も譲りたくないわけ。こう見えても」まさかのボディブローで応戦。この熱戦に、「ここまで対等に言い合えるようになるなんて…ほんと、人間って何歳になっても成長ってできるんですね」と感極まる視聴者続出だっただろう。


気付けば母のような目線でみんなが応援している、不思議な魅力を持った杉ちゃん。彼はどこまで行ってしまうのか…。実は伏兵どころか、ラスボスだった!?という結末を迎える片鱗さへも見える。彼の成長とともに、旅の行方を見守りたい。

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