別に。
朝起きたら、家にいたはずの家族達がみんな消えていて。
外に出ると、いつも賑わっているはずの交差点が静まり返っている。
町を見渡すと、誰一人見当たらない。
そこには無機質な人工物がただ有る、だけだった。
まるで時が止まっているかのように、鮮やかなはずの町は、灰色へと変色していた。
独り。
何処まで走っても、何かを叫んでも。
いつだって独り。
寂しさと焦燥と、そして何故か安心感も。
私の耳元で囁く声はずっと私の名前を呼んでいる。
まるで私を探しているかのように、小さく叫ぶ。
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またこれか。
私は目を閉じたとき、この世界を一瞬見ることが時々ある。
一人にして欲しいと切に願うことがよくあるが、それが原因なのだろうか。
誰もいない場所に行って、時間を気にせずに一人だけで遊ぶ。そんなことを私は夢みていたりするのだが、そう思うたびにどこまでも虚しさが募る。
人と会うたびに微笑んで。
周りの空気を吸って染まってしまうまで、そこで。
そのとき、昔の記憶がフラッシュバックした。
いいことも、そうでないことも、全てが鬱陶しい。
自分という存在さえも時折鬱陶しくなる。
全てを飲み込んで、乗り越えて。
私は今ここに居るんだ。
そう思いたいが、それはただの願望。
自分の考えていることのバカバカしさに呆れて物も言えない。そんなこと考えてなんになる?
ほんとにくだらないことばかり。
学校にも行かず、どうでもいいことばかり反芻して。そんなことする暇があったら他のことに時間を使えという話だ。
でも、どうせ私は明日も。きっと今日と同じことをするだろう。
また目を閉じた時、
私はあの世界を観るのだろうか。
もういいや。別に。
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