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#10 三種のチーズ牛丼よりもカッテージチーズを塗ったフランスパン

「スポーツが世界を繋ぐ」

皆さん、こんにちは。大島優磨です。

夏が近づくにつれ、湿度と温度が上昇しています。本当に風呂に入ったんかってくらい、娘たちの髪をドライヤーで乾かすほどに、汗が止まらなくなる季節がやってきました。また、筋肉の分解を防ぐために3時間おきに摂る食事のたびに、Tシャツが汗でびしょびしょになり、洗濯の回数が増えます。洗濯は好きですが、梅雨のあいにくの天気で洗濯物が乾きづらいのは苦手です。この季節、洗う、干す、畳む、片付ける、そして天気予報を確認するまでが洗濯の一連の流れですからね。

さて、今日は、「スポーツが世界を繋ぐ」というテーマで、心温まるエピソードを2つお届けします。

使われなくなった柔道衣が
世界を巡る旅


ある日、タイで一般企業に勤めながら柔道教室の指導をしている大学の同期から、柔道衣を着た女性の写真が届きました。続けてもう一枚、名前の刺繍がアップされた写真を見ると、そこには妻の名前がありました(旧姓)。

大阪出身ではない私が思わず「なんでやねん。笑」とツッコミを入れてしまったことをお許しください。

NPO法人 JUDOs

友人によると、日本からこの柔道衣が寄付で届いたそうです。すぐに理解しました。井上康生先生が理事を務める「NPO法人 JUDOs」を通じて、使われなくなった柔道衣を世界へ届ける活動の一環だったのです。妻は結婚と出産を機に柔道を引退し、MMAの道を歩み始めました。

以前のnoteでその話をしましたが、その時に綺麗な柔道衣を1〜2着残して、東海大学の井上先生の元に寄付したことを思い出しました。その柔道衣が海を渡り、カンボジア代表選手のもとに届き、私の大学の同期の目に留まり、写真が送られてきたのです。

こんな感動的で素晴らしいエピソード、他にありますか?

柔道衣や帯には魂が宿ると言われますが、その魂が世界中で新たな物語を紡いでいるのです。妻が柔道を続けられなかった想いを背負い、その思い出が詰まった柔道衣が遠い海を越えてカンボジア代表の選手に届きました。彼女が柔道を愛し、汗を流している姿を想像すると、私も感慨深く、心から嬉しくなります。

NPO法人JUDOsは、

『 使われなくなった柔道衣を世界へ
世界に柔道を広げたい
柔道の輪 世界の和』

NPO法人JUDOs Instagram

という美しい言葉を掲げ、柔道を通じて世界に和を広げる活動を続けています。柔道が生み出す絆は、小さな一瞬の積み重ねから大きな世界の和へと広がり、その美しい輪が世界中で目に見える形で実感できたことは、とても嬉しく、素晴らしい経験になりました。

国士舘高校・国士舘大学の同期

対戦相手から友達へ

数日前、アメリカでの試合を終えた妻が帰国しました。そんな妻が試合当日の朝、私に変なことを言うんです。「謝らないといけないことがある」と。試合前の緊張感の中、私も言葉を選びながら、その理由を慎重に尋ねると、4ヶ月前にRIZINで対戦したクレア・ロペス選手が日本を訪れ、妻が帰国した翌日から、我が家に10日間滞在するとのことでした。話を聞きながらも、10日間の滞在を知った瞬間、驚きを隠せませんでした。そんな大事なこと、もっと早く言えよ!と思いましたが、彼女と息子さんが到着すると、その人柄にすぐに不安は消え、温かい歓迎の気持ちに変わりました。

クレアはMMAファイターでありながらも、10歳の息子を育てる母親としての一面も持っています。妻の試合前、彼女はXの投稿でこのように書いていました。

「女性として、母親として、ファイターとして、私たちはお互いを応援し、友達になれる」

クレア・ロペス X

この言葉から、彼女の温かい思いやりと懐の深さに感動しました。

一緒に10日間の時間を過ごして、さらに彼女のファイターとしての姿勢、また同じ親としての凄さを何度も感じています。

アスリートとして

まず食事面に関して、彼女は我が家に滞在していても、自身の食事のルーティンを崩すことなく、健康的な食事管理を徹底しています。日本食に挑戦することもありますが、基本的にはオートミールやフランスパン、パスタを主食とし、鶏ハム、卵、カッテージチーズでタンパク質を摂り、フルーツやアボカド、トマトでビタミンを補給しています。毎朝の朝食は、ホットコーヒーとオートミールパンケーキにフルーツをトッピングし、カッテージチーズとGI値が低いアガベシロップをかけたものです。ヘルシーでありながらも、非常に美味しそうな朝食です。時には、アボカドと卵をカッテージチーズを塗ったトーストにのせて食べることもあり、これがまた格別です。私もこの食べ方にすっかり魅了されました。

オートミールパンケーキ:オートミールをミキサーで粉末状にし、卵と無脂肪牛乳を混ぜて焼いたもの。見た目はクレープに似ています。詳しいレシピをご希望の方は、コメントでお知らせください。

クレアが作ってくれた朝食🥞

ここで、タイトルの伏線回収ですが、妻が三種のチーズ牛丼を食べている時、クレアはカッテージチーズを塗ったフランスパンを食べます。甘いチョコレートよりもカカオ88%、幸せが詰まったプルップルの生クリームたっぷりのパンケーキよりも、アガベシロップをかけてフルーツを添えたオートミールパンケーキ、パルムよりもオイコスヨーグルトを好みます。

彼女の食事管理の徹底ぶりは見事です。

我が家に滞在中もクレアは、柔術、グラップリング、MMA、クロスフィットと体を動かしながら、息子さんとの観光も楽しんでいました。

普段の生活スタイルについて尋ねたところ、クレアは4週間、子どもと離れてロンドンのジムで1日2〜3部練の厳しい格闘技トレーニングに励んでおり、その後1週間はフランスの自宅でストレングストレーニングやランニングを含むリカバリーを行い、息子との大切な時間を過ごしていると話していました。寂しさはあるものの、MMAで戦いながら生計を立てており、体が動く限りこの道を続けたいという強い願いがあるそうです。そして、息子に寂しい思いをさせている分、年に数回は試合が終わったタイミングで旅行に行くとも言っていました。本来ならば試合後に予定されていた日本への旅行は、試合が中止となったため、その予定通りに来たそうです。

母親として

私と妻がそれぞれトレーニングや用事で家を空ける際、「リラックスして自由に休んでていいからね」と伝えていると、一通りキッチンがピカピカに掃除されていました。そして私の部屋のベッドを貸しているため、私の服などを取りに行くと、いつもベッドメイキングが完璧にされています。

クレアとの出会いを通じて、彼女のストイックなアスリートとしての姿勢と母親としての優しさから、自分の甘さを痛感させられると同時に、大きな刺激を受けて身が引き締まる思いになります。彼女からは、自分にはまだまだ成長できる余地があることを気づかされます。

理解することと実際にできることは違う

海外の文化との触れ合いは、言葉の壁を超えたコミュニケーションの重要性を教えてくれます。翻訳機に頼ることなく、自分の言葉で心を伝えることの大切さを学びました。また、この経験は英語の学習にもなりました。

柔道でよく言われる「理解することと実際にできることは違う」という言葉を、言語学習を通じて改めて実感しました。理解していると思っていた英語を実際の会話で使うことは、全く新しい挑戦であり、この経験がいかに貴重であるかを学びました。

何事も、実際に自分で使ってみなければ身につかないものです。わかっていると思っていたことも、いざ実践してみるとできないことが多いのです。この経験は柔道にも当てはまり、柔道と英語学習には共通する点が多くありました。実際に体を動かし、技を磨くこと。言葉を使い、コミュニケーションを取ること。どちらも理論だけではなく、実践を通じて学ぶべきものです。

この経験は、私たちに多くのことを教えてくれました。スポーツを通じて築かれる絆は、国境や文化の壁を越え、深い友情を生む力があります。クレアとその息子さんとの時間は、対戦相手としての厳しさと、友人としての温かさを同時に感じさせてくれました。柔道や英語学習のように、理解することと実際にできることは異なり、実践を通じて初めて本当に身につくものです。この貴重な経験を胸に、これからも多くのことを学び続けたいと思います。スポーツがもたらす素晴らしい絆に感謝し、これからの挑戦にも前向きに取り組んでいきます。

対戦相手から友達への変化は、人生の予期せぬ贈り物です。数日前、アメリカでの試合を終えた妻が帰国し、彼女からの意外な告白に私は驚かされましたが、クレア・ロペス選手との出会いは、ただの試合を超えたものでした。彼女の言葉「女性として、母親として、ファイターとして、私たちはお互いを応援し、友達になれる」という言葉は、スポーツの枠を超えた深い絆を示しています。

彼女の訪問は、私たち家族にとっても非常に有意義な経験となりました。まだ、数日滞在予定が残っているので、残りわずかな時間を大切にし、彼女らに最高のおもてなしをしたいと思います。おもてなしをする側ですが、いつも、おもてなしをされてばかりです。

*このnoteの下書きを書いたのは先週です。noteを出す頃には別れた後でしょう。最後まで彼女は美味しい手料理で家族をもてなしてくれました。私や妻が用意した食事は食べ終わるのに時間がかかる次女も、クレアが作るパスタやミートボールが大好きで、真っ先に完食していました。本当にありがとう。

最後に

このブログを読んでくださった皆さんに心からの感謝を込めて。皆さんと共有したこの経験が、何かの形で皆さんの日々に役立つことを願っています。

もしこのnoteを楽しんでいただけたなら、ぜひシェアしていただけると嬉しいです。

それでは土曜日の更新でまたお会いしましょう!

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