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僕はゴリラが好き。

「キミ、ゴリラっぽいね」
といきなり言ったら「どゆこと?」って
険悪なムードになるリスクがある。
いくら僕でも女の子には言わない。

でも僕は言われたら喜んじゃうね。

なぜって、ほら。
オデコに親近感を感じるから。

僕はホリが深いんじゃなくてオデコが出てる。
目を守るために神様がくれたヒサシだと思ってる。

さて、ゴリラへの愛着を紹介したところで。

野崎家特例、近所で大会食。

ゴリ友の中でも屈指のゴリラ友達が、ステキな奥様と一緒に、近所まで来てくれるという。それならばと、野崎家と友達ご夫婦と6人でビュッフェに行く事にした。ゴリラ4頭(特大、大、中、小)と飼育員さん2人というわけ。

リトル麦わらくんは最初、特大のゴリラが怖くて
視界に入らないよう、自分の目を手で覆ってた。わかるよ。痛いほどわかるよ。素直でよろしい。

何度もフォークを床に落とすリトル麦わらくんに
3本持ってきてくれて「あと3回落とせるよ」って
ニコッと笑う特大のゴリラ。

2人の間の氷が溶けた。

飲み物を取りに行く特大ゴリラの後を追って
中ゴリラ(麦わらくん)も
小ゴリラ(リトル麦わらくん)
くっついてまわってた。

「純ちゃーん!」
麦わらくんたちの声が弾んでる。
もうすっかり友達。

そろそろ帰ろうかとした時、なんと麦わらくん達に天体望遠鏡をプレゼントしてくれた。

麦わらくんは
「おつきさまのまわりが、あわぶくみたいになってる!」と、目をまんまるくさせている。

リトル麦わらくんは
「もっと純ちゃんとあそびたかった…」
涙ぐんで、なかなか寝付けなかった。


少年の目を輝かせて、涙ぐませて
やっぱりアーティストって、罪な職業ですね。

麦わらくん達を笑わせてる時
子供達より純ちゃんの目がキラキラしてた。

「ゴリラ同士、波長が合うね!」
と言ってくれたけど
純ちゃんが麦わらくんたちの心の機微を
全部掬い上げてくれたおかげ。

和菓子を持ってても
ギターを持ってても
オモチャを持ってても
菓道家三堀純一さんはエンターテナー。

純ちゃんとバイバイして
家に向かう車の中で麦わらくんが言った。

「いいひとだなぁ」

違うよ、麦わらくん。そうじゃない。
良いゴリラなんだ。

「おとうさんの友達の中でイッチバンだね」

それも違うよ、麦わらくん。全然違う。
もうキミの友達なんだ。

純ちゃん、ありがとう。

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