【カンヅメ・アンド・キャット】
【カンヅメ・アンド・キャット】 フロム 【ハウ・キュート・マイ・キャット・イズ】 シリーズ!
【ハウ・キュート・マイ・キャット・イズ】 シリーズ とは:
yulou_headzによるニンジャスレイヤー二次創作、つまりテキストカラテのカテゴリーの一つ。グラスキャットのカワイイなワンシーン、日常風景、観察日記、彼女が愛用するヘッドホン端末のデータの一部など。ショートムービーめいた記録。文体は忍殺に準ずるものから箇条書きまで様々である。
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気難しげに寄せられた眉、食事を催促する猫の声、忙しなく揺れるサイバネ尻尾、重金属酸性雨が生み出すホワイトノイズ、今週も雨模様が続くと報じる天気予報、食事を催促する猫の声、そして猫用カンヅメ。
カツカツとカンヅメの蓋を爪で数回小突いたのちに、グラスキャットは深々とため息をついた。愛用するヘッドホン端末はラックに掛けられ、充電コードに接続されている。代わりに、グラスキャットの手には汎用のIRC端末があった。
グラスキャットは目線を目の前のテーブルに向ける。そこには、見事に壊れたカンヅメ・オープナーがあった。「ミャオーウー」「ミャオーウー」「安物にしたのが間違いだったかな……」「ンー」「待ってね……開けられないから……ナンデよりによって……」
ブツブツ呟きながら、グラスキャットは端末に目線を戻した。……暗くなった画面が背後を映す。グリーンに光る瞳が一対。「やあ」「ウナーッ!」「グワーッ!?」反射的に尻尾を稼働させ、瞳の主に巻きつける!「グワーッ!私だ!私!」「ウナーッ!」「グワーッ!」
サイバネ尻尾が日頃の恨みを込め締め上げる!「誰だい、言ってみなよ!」「私だよ!トラベラーだ!」「知ってる!!」「お前ーッ!!」トラベラーは手をばたつかせようとしたが、まとめて巻きつかれているため叶わなかった。
「買ってきたよ……」「ああ」グラスキャットは来客用クッションの上にトラベラーを降ろした。トラベラーはげんなりしたうめき声を漏らしながら鞄を開け、中から新しいカンヅメ・オープナーを取り出してテーブルに置いた。そして突っ伏した。「アリガト、これでご飯あげられるよ」
トラベラーの前に代金と駄賃のクッキーを置き、グラスキャットはいそいそと包装を解いていく。「「ミャオーウー!」」「ハイハイ、今開け……」そして手に取り、カンヅメを確認して、絶句した。
「……これ、プルタブついてるやつだ……」
「締められ損だ……」トラベラーが呻く。「ゴメン……」グラスキャットは素直に謝った。そしてカンヅメを小気味良い音とともに開封した。「「ミャオーウー!」」猫が待ちきれないと言わんばかりに催促する。
これからは早とちりしないように、色々しっかり確認しようとグラスキャットは思った。
【カンヅメ・アンド・キャット】 終わり
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(yulou_headz コメント)
落ち着いて行動しような。
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