大切な、君の名前を(美しい彼妄想スピンオフ)

#美しい彼妄想スピンオフ
※ストーリーおよび清居の名前の由来については勝手な捏造です。あらかじめご了承ください。(凪良先生ごめんなさい)

智也「カズくんはどうして奏くんのこと、キヨイって呼ぶの?」
平良「え?清居は清居だからだよ」
智也「カズくんは、奏くんの、友達より大切なやつなんでしょ?それなら、家族だよね。ねえ、お母さん」
菜穂「そうね、カズくんと奏くんは家族よね」(ニコニコしながら)
智也「家族なら名前で呼ばなきゃ。奏くんもだよ」
清居「……っ」
菜穂はニコニコと見守っている。
清居「……かず……なり?」
平良「!!」
平良はガクガクと震え出した
智也「ほら、カズくんも」
平良「……そ………そ、そそっそっ……む、むむ、む無理だ……」
智也「カズくん、きつおん出ちゃったね。また明日練習しようね」

菜穂と智也が帰った後、その夜
縁側に座る2人。
平良「きよ…あ、そ、そ、」
清居「別に無理して呼ばなくていい」
平良(…清居はそう言ってるけど…推し量るべきなのか?でも、俺ごときが清居を名前で呼ぶなんて‥って思うと上手く言葉が出てこない)
清居「自分の名前、あまり好きじゃないから」
平良「え?」
清居「父親がつけた名前だから」
平良「……」
清居「父親のことほとんど覚えてないけど、俺の名前を呼ぶ声だけは時々思い出して嫌だった。まあ、新しい父さんも奏って呼んでくれるようになって、それからあまり嫌じゃなくなったけど」
平良「実のお父さんのこと、憎い?」
清居「憎いとかはないけど、思い出すたび、もっと一緒に居れなかったのかなとか1人で考えてた。母親には言えないし」
平良(清居は、お父さんと離れて寂しかったのかな 名前は、お父さんとの思い出なのかな)
清居「今はお前が…いてくれるし、いい大人だし、もう思い出すことも」
平良「奏」
清居「!」
平良「綺麗な名前。風のような美しい響き。美しい清居に…奏にぴったりの名前だね。さすが奏のお父さんだ」
平良は右手で清居の頬を優しく触る。
清居は涙ぐんでいる。
平良「奏」
清居「…平良…、っ、あ」
平良「俺のことは、奏の好きに呼んでいいよ」
清居「…カズ」
平良「!!」
清居「嫌か?」
平良「嫌なわけないよ」
平良(嫌じゃない。ただ、名前を呼んでもらっただけで、2人の距離がぐっと縮まった気がして…奏をもっと身近に感じて戸惑ってしまう)
2人の顔が近づいていく。
清居「ありがとう、カズ」
平良「奏……愛してる」
これからは、俺が呼ぶよ。
大切な人がつけてくれた、大切な、君の名前を。

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