博士課程の過ごし方 (備忘録~メンタル編~ )

前置き
この記事はStatsML Symposium'21『日本の博士課程〜若手シンポジウム’21 カウントダウンカレンダー〜』という企画で書いています.執筆者は2021年3月に博士課程を修了し,4月から国立大学の教員(助教)をやっています.日本でこれから博士課程を歩む方に向けてのエールということで,詳しい研究内容や詳細な事情は触れずに今回はメンタルを保つ上でよかったなと思うことを共有します.内容は主にストレートで博士に進学される方向けかもしれません.


思いっきり研究から離れられる時間の確保
博士学生こそ研究から離れるアクティビティや時間は超必須.例えば自分は博士進学直前の春休みは,結婚式披露宴のウェイターの短期アルバイトをやっていた.小さめの会場であれば,初出勤日から乾杯のシャンパンを注いだり,パンを配り歩いたり,コーヒーを淹れたり,少し慣れればテーブルを一卓担当させてもらえて,「こちら鎌倉野菜を用いた前菜です」「こちら幸せのフォアグラです」など言いながら料理のサーブもさせてもらっていた.結婚式披露宴ともなるとゲストはみんなhappyな感じで, 非常にやりやすく,また新郎新婦とご家族を眺めるとこちらも幸せで,博士進学前の良い心休めになった.これはコロナ的に現状難しいかもしれないですが,特にD進直前のM2の方は何かゆっくり休む時間もぜひ大切にして.
D1になってからは息抜きのために囲碁を新しく始めた.ただ没頭しすぎると時間がなくなってしまうので, オンラインゲームのuser nameに自分の研究トピックであったbanditの文字を入れて,対戦が終わったら研究に戻れるようにしていた.

普段の過ごし方
D1の年の4月1日になって, そこから大体平日は毎日研究室で過ごし,土日もどちらか一方はキャンパスに来て研究室か図書館で研究していた.ただ6月くらいの土日にたまたま教授が忘れ物を取りにきたかで学生室にいらして,「休日に作業するのは良くない」「学生時代はメリハリをつけて平日にしっかり研究するべき」というような趣旨の注意を受けたので,次の週からはきちんと反省して…としたかったが,結局どうしても休日もやはりどちらかは作業していた.  (早起きするなり, SNSを見ないなり, 時間を作る方法は数多にあるので,皆さんは頑張って休日はお休みできると良いです.)
D2になってからは某研究所の日本橋オフィスで作業することも可能になったので,気分を変えたりポスドク以上の研究者と交流するため日本橋にもよく行っていた (休日の閑散とした日本橋にはよく出没していた).研究室では頻繁にみんなでご飯に行ったり,たまにスポーツしたり,気軽に質問議論ができて遊びにも行っていた.研究はマラソンなので棄権するくらいなら止まって休んで,また歩き出せば良いのかなと思う.

メンタルがブレた時の対処法
正直なところD1の間ずっと研究テーマの模索と結果を出すのに超苦戦していた.D1の冬に何とか投稿した論文の採択に向けて論文のリバイズなどを進めながら,2本目の論文投稿もD2夏には完了し,ただその頃になっても一本目がなかなか通らず,夏の再投稿でまたリジェクト通知を受け取った時は,さすがにショックでかなり落ち込んでしまった.でも相当の時間を使って議論をしてくれた共同研究者の皆様にも申し訳ないのと,幸運にも査読者が非常に的確な指摘をくれていたので,なんとかめげずに手を動かせた. 周りのみんなも同じようにリジェクトの辛さを味わっていたので,そういう辛い経験の共有みたいなのも,メンタル的には大事だったのかな,と今になると思う.あとはそういうリジェクトが続いたりで追い込まれてくると,自分の時間を研究に全振りしたい時期ももちろんあるけれど,分野全体の研究を知るまとまった時間として,分野の主要会議 (ICML, NeurIPSなど) には現地参加した.結局少し負荷をかけてでも,そういった機会に,色々な研究者と繋がれて,著名な研究者の講演を聞けたり,海外のPhD学生とも仲良くなれて,その後のモチベーションになった.また機械学習分野であればMLSS(Machine Learning Summer School)やWiML (Women in Machine Learning) WorkshopなどPhD学生や若手向けのイベントやマイノリティのためのワークショップも活用できると思う.

コロナ禍での研究生活
自分の場合はD3で本格的にコロナ禍開始で,研究室は突然に封鎖された.急に友人たちに会えなくなって,国際会議発表もオンラインで,また結構落ち込んでしまった.結局D3で立て続けに論文採択に至ったものの,メンタルは一番厳しい状態に.予定していた北京でのインターンも無くなってしまった.ただ救いだったのは,インターンはできなくとも,日本と北京間の時差は1時間しかなく,完全リモートの共同研究をスムーズに進めることができたこと. 9, 10月くらいに少しおさまってgo to キャンペーンなどあったときには,旧友や研究室のメンバーに久々に会えたりで元気を取り戻してからは,博士論文の完成だけを考えて提出と1月末のディフェンスも何とかバタバタと乗り越えた.コロナの影響は悪いこともあったものの,久しぶりに家族と過ごす時間も増えて良かったと思えたのと,人と話すより自分の中で思考して作業する時間がたっぷり取れたことなど,良い面も結構あった.


最後に.1番の薬は...


ここまで読んで元気を出す記事というより,論文通らないしんどさとか滲み出てるじゃないかと思わせてしまったら申し訳ないです.
「博士学生にとっての1番の薬は論文Accept」とどなたかに聞きました(出典は忘れました).ただアクセプトされてる時点でそれは過去の結果についての評価なので,それが1番の薬にはならない方も多くいると思います.やはり今の研究がまさに進んでいる時間が1番のストレス解消だったと思います.といっても研究なんてずっと0で長い時間をかけて1になるものなので目に見える結果が出るまでは辛抱する必要があります.ということで少しでも心休めに役立ちそうなグッズを紹介して記事を終わりにさせていただきます.どれももっと早く導入したかったものです:研究遂行といえど人とのコミュニケーションなり, その他細かなことはついてくるもので,何かの拍子にイライラして自分も周りも不幸にするのは避けたいものです.大人なら自分のご機嫌は自分で取りましょう.

  1. エトヴォス アロマリミテッドボックス
    https://etvos.com/shop/g/gGC20411-000/
    檜の香りとアロマオイルの優しい匂いで頭がスッキリします.緊張してる発表前とか,やる気が出ない時,ミーティングが終わって疲れた時など,とりあえず3,4滴出すだけでふんわりした香りでリラックスできます.自宅の作業デスクに置いています.とにかく香りが素敵なので気に入っています.香水が苦手な旦那にも好評だったので,男性の方も良いかもしれません.エトヴォスは他にもコスメが気に入っていて,リップとかカラーアイテムも気分を上げさせてくれます.

  2.   KEYUCA アロマウッドディフューザー ひのき
    こちらもアロマ用品です.本当はエトヴォスのをオフィスにも置きたかったのですがいいお値段なので,こちらのアイテムで代用です.KEYUCAはお値段も気軽でいろんな種類のアロマオイルやお香,アロマディフューザーを取り扱っているので,他にも試したいものがいっぱいあります.アロマオイルはRose Garaniumを選んで置いていますが,すごく落ち着く香りです.ものによってはキツイ匂いもあったので,お店に買いに行った方が良さそうです.

  3.  ミルクホイッパー 
    まずコーヒーを豆から挽いて淹れて(淹れてもらう)ようになって,コーヒーをはじめとした家で作るドリンクに興味が出てきました.緑茶,ほうじ茶,ココア,紅茶,ホットチョコなど色々飲んでいますが,よりカフェをもっと楽しみたいということでリンクにあるミルクホイッパーを購入しました.簡単にミルクを泡にすることができ,手軽なおうちカフェができます.お菓子との相性も広がって良かったです.ただ,三國シェフの『カフェ・クレーム』の動画を見たら100均のホイッパーでも十分なようでした.

他の具体的なことはnoteの別の記事に書けたら良いなと思います.ここまで読んでいただきありがとうございました.


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