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温泉むすめという一縷の希望:群馬の或るぽか旦那のお話し

群馬愛がちょっとおかしい人の、ちょっとしたお話しです。


「群馬によそ者と若者、それも発信力のある人を呼び込みましょう!
 実際に群馬に来てもらって、近くにいると気付けない魅力・”宝”を探してもらい、それを発信してもらいましょう!」

大勢の前で、こんなプロジェクトの提案をしたのは、何年前のことだったでしょうか。

「じゃあ、具体的には何をするんだ!」

そう詰められた私は、納得のいく答えを返すことができず。
この提案は、却下されることになりました。


群馬は、自然が豊かで食べ物も美味しく、また空気も綺麗で住む環境も良い。
草津温泉をはじめ観光地もあり、魅力いっぱいの場所です。
そのはずなんです。

しかし、ブランド力やイメージ力調査などでは必ず下位に沈み、半分ネタではありますが”秘境”といじられ。
また、若者がどんどん都内の大学に進学し、雇用も都心には敵わず、戻ってくる人も少ない。

今後を考えたときに、たくさんの不安がありました。


だから、群馬をもっと盛り上げて、魅力的な所なんだよ、ということを知ってもらいたい。
そこに、自分の好きな分野で関わりたい。

そう思った私は、自分ができる形で群馬のPRをしようとしてきました。



思い起こせば、艦これが流行し、私自身もプレイヤーとしてハマっていた2013年のこと。

「赤城山の山頂にある神社と榛名神社に赤城と榛名の立ちパネルを置こう!ついでに利根も!」
「ジブリの『風立ちぬ』も公開されているし、零戦(ゼロせん)といえばSUBARUの前身の中島飛行機じゃないか!これってPRに使えませんか?」

周りからは白けた目で見られました。
「戦争ものはあまりいい印象を持たれず、万人受けしないから・・・」と、たしなめられました。

群馬ゆかりの声優さんを群馬に呼ぼうとしたこともあります。
縁も繋がりもない私には、無謀な話でした。
何もできませんでした。


実行力不足。
色々なことを試みるも、何も成就しない。
そんな状態が何年も続き、また環境が変わった私は疲れ切ってしまい、頑張ることをやめました。
やめようと思ったのではなく、やめてしまったんです。


そんな失意の折に出会ったのが、『温泉むすめ』でした。


コンテンツのメインユニットのどセンターが群馬の草津温泉なの?
しかもキャラクターがもめちゃくちゃ可愛いぞ!
しかも「がんばるぞい!」の人じゃないか!
しかもメインキャストがナナシスの人?
しかも曲めちゃくちゃ強くない???
各キャラの特徴も細かく調べてある・・・
え、プロデューサーは群馬の人なの?
これは・・・

この時点で、コンテンツの目的と内容に魅了された私は、他のことが見えなくなりました。
雷に打たれたのに、熱に浮かされているような、そんな気分でした。

当時の私のメモには、こう書いてあります。
『ニッチかもしれないが、群馬にとってとても大きな好機だ』


群馬のキャラクターがセンターにいるということは、コンテンツ自体が盛り上がっていけば、自然と群馬にも注目が集まります。
ファンが多くなればなるほど、どのような形であっても群馬が注目され、群馬の魅力が自然と発信されていく。
これだ!と思いました。

群馬県民は、自分たちのことを低く見すぎていて、地元の良いところを言えない県民性だ、と言われています。
また、変化に敏感で、築き上げてきた『今まで』をより大事にして守る傾向がある、と私自身は感じています。

ただ、その反面で、群馬は外からの評価に非常に敏感です。
内側からは決して動かないものが、外からの話が入ると動いたりすることがよくあります。
また、『新車を売る時はまず群馬で売る』という逸話もあるくらい、”新しいもの好き”、”ハイカラ好き”という特徴もあって。


私は、「よそ者」である温泉むすめに、一筋の光を見ました。


私がしたことは、次の三つです。
ひとつは、周囲に「温泉むすめ」というとんでもないプロジェクトがあるということを宣伝して回ること。
ひとつは、群馬に群馬イベントを熱望している人がいるということを、様々な形で運営側やキャストさん、温泉の現地に届けること。
ひとつは、温泉むすめというコンテンツ自体を様々な形で盛り上げること。

この三つを、いちファンとして、いち群馬好きとしてやりたい。
これが、『祝い花企画をする群馬のぽか旦那のおじさん』が誕生した経緯です。

その後の温泉むすめの活躍は、皆さんも知ってのとおりです。
群馬の温泉むすめは増え、草津温泉でも念願のイベント開催。
温むす自体も各地域や観光庁の後援も得て、ますます社会的な立場を確立しました。

もちろん、私のやったことと温泉むすめの成果には直接の関係は一切ありません。
そんな力もなければコネもありません。
エンバウンドさんと温泉地とが目的を共有して調整を重ねた、そしてキャストさんが温泉地への思いを持ち続けた結果です。


そもそも、草津は国内トップクラスの観光地として、自ら方針を決めて、自ら実行してきた地域です。
人がどうこう言って何かを変えられる地域ではありません。
それが、『草津温泉』を現在まで支え続けてきたブランドです。

だから、半分諦めていました。
初期のころ、「草津では絶対にイベントできないと思う」と、何人かのぽか旦那に諦めがちに話したこともあります。

草津イベントが開催される、と聞いた瞬間、目を疑いました。耳を疑いました。
そんなことができるなんて、思っていなかったから。
たぶん、これは県内の人が動いたのでは何もできなかったでしょう。
温泉むすめという『黒船』が、また他の温泉地さんのプッシュがなかったら、絶対に起こり得なかった。

草津温泉が温泉むすめを実際に展開することは、本当に冗談でなく『70億分の9の奇跡』だったんです。


私自身が、何か大きなことを成し遂げたわけではありません。
意見を投げるくらいはしましたが、運営側に何か現実的な提案を持ちかけたわけでも、ましてや資金を提供したりしたわけでも、調整したわけでも、何もありません。
でも、温泉むすめが『群馬の殻』を外から打ち破ってくれたというのは、まぎれもない事実でした。


温泉むすめがなぜ、一過性にならずに地域に馴染みながら続いているかは、また別の機会に記すとしまして。
温泉むすめの成果を示すときに、私はよく、ある温泉地を例に挙げます。

「秋保温泉」

全国的にこの温泉名をちゃんと読める人は、おそらく一握りですが。
温泉むすめのファンは、これがちゃんと「あきう」だと読めます。

私たちには当たり前すぎることなんですけど、これって、じつは、ものすごいことなんです。

実際に行ったことがなくても、伊達政宗にゆかりがあって、おはぎが名物だと知っています。
なぜかずんだシェイクが飛ぶように売れます。
宮城県の温泉地を聞かれると、真っ先に『秋保』が出てきます。さらに続けて鳴子や作並が出てきます。

温泉むすめがなかったら、読めなかった人、知らなかった人、どれだけいるでしょうか。
これが、温泉むすめが2年以上取り組んできた、成果の一つです。



ということで、ここまで、温泉むすめに関連するかどうかわからない話を書き連ねてきましたが、冒頭で書いた、ごく私的な話に戻ります。

今なら、『じゃあ、具体的に何をするんだ!』というあの忌まわしき質問に、自信を持ってはっきりと答えられます。


「「「温泉むすめです!!!!!!」」」


温泉むすめは、私にとって、大事な、一つの希望の光です。

ご覧いただき、ありがとうございました。





<ご参考に>
温泉むすめ公式サイト https://onsen-musume.jp/
草津温泉ポータルサイト https://www.kusatsu-onsen.ne.jp/
「艦隊これくしょん-艦これ-」 DMM GAMES公式ページ http://www.dmm.com/netgame/feature/kancolle.html
映画『風立ちぬ』公式サイト http://www.ghibli.jp/kazetachinu/

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