無料でEAを配っている人のちょっとブラックな話
今日はFX自動売買ソフト(EA)開発者でもある私が、EA業界のウラ話を書いていきます。
現在「双龍」というEAをリリースしており、2/15には新作EAのリリースも決まっています。
さて、私も含めてですが「無料でEAをあげちゃいます!」という(自称)トレーダーや開発者という人がわんさか湧いていますよね。
あれって、ただのボランティアなんでしょうか?
それとも、何か儲けのカラクリでもあるんでしょうか?
不思議に思う人も多いと思います。
作者自身はそのEAでがっつり稼いでいるから、みんなにもおすそわけだぜ!と気前よくばら撒いていると本気で思っているなら、きっとあなたは心が綺麗な素敵な人です。
実際のところ、ボランティアでやっている人はほとんどおらず、もしボランティアだとしたらこんなに流行らないでしょう。
IB報酬という収益源
「無料EA配布」の実情はというと、しっかり開発者側も利益を得られる仕組みがあります。
ユーザーには無償でEAを提供する代わりに、運用する証券会社を指定するという方法を取ることで、証券会社からの紹介報酬が入るのです。
シンプルにいうと、お金の出処がユーザーではなく証券会社ということです。
FXを少しでもやってみたことがある人は、チャートの価格が2つあることに気づいたと思います。この価格差を「スプレッド」というのもご存知でしょう。
たとえば上の写真の瞬間に買いと売りをほぼ同時に行うと、148.291円で買ったドルを148.280円で売るわけなので、0.011円の損失が出ますね。
つまり、スプレッドの正体は証券会社にとっての取引手数料というわけ。
証券会社にとっては自社でトレードしてくれる人が多くなればなるほど利益が出ますので、スプレッドの収益の一部を紹介報酬として支払ってでも顧客を獲得したいですよね。
もうおわかりかと思いますが、この紹介報酬が無料配布の理由です。
IB狙いのEA開発者には2パターンいる
これまでの内容を素直な心で受け止めれば
ユーザーは無料でEAで稼げて嬉しい
証券会社は取引手数料が稼げて嬉しい
開発者は紹介報酬が稼げて嬉しい
ということで、Win&Win&Winの関係が成り立ちますし、みんな嬉しい、みんな幸せになりそうですよね。
ところが…必ずしも「みんな幸せ」とは限らないのです。
EAの開発者がどういう理念を持っているかによって、ユーザーは幸せにも不幸にもなります。
パターン1:ユーザーにとってプラスを生む開発者
IB報酬は、ほとんどの証券会社ではユーザーに口座開設をしてもらっただけでは1円も発生しません。
紹介したトレーダーが1ロット取引するごとにいくら、というふうに継続的な報酬システムになっています。
これをライフタイムコミッション(LTC)といいます。
当然ユーザーがEAを使うことで資金を増やし続けることができれば、運用をやめる理由もないので1人のユーザーから末永く報酬が発生し続けますよね。
この「みんなでハッピー」を叶えるために開発者はより良いEAを目指して全力で開発します。
これが1つ目のパターン。
めでたしめでたし、ですね。
パターン2:ユーザーにとってマイナスを生む開発者
先ほども書きましたが、IB報酬は紹介したトレーダーの取引ロットによって決まるという側面がありますので
「ユーザーが勝てること」よりも「IB報酬をたくさん発生させること」に重きを置く開発者も、実はかなり多いです。
というのも、EA開発には「FXのトレードロジック」と「EAのプログラミング言語」の両方に精通していなければいけませんし、その上で継続的に勝てるEAを開発するのはなかなか難しいのです。
※実際にはどんな優秀なEAでも負け越す可能性はありますが、説明の便宜上「勝てるEA」と表現しています」
なるべくたくさんトレードさせて、短期間で大量にIB報酬を得られるようなEAを作る
なるべく今の相場の地合いやロジックの優位性を考慮して長期的に勝てるEAを作る
この2つを天秤にかけたとき、開発コストは前者のほうが圧倒的に少なくて済むし、何よりラクなんですよ。
圧倒的にパターン2の開発者が多いというのはお察しの通りですね。
良いEA(開発者)の見分け方
先日アップしたYouTubeの動画で「絶対に破綻する詐欺EAの特徴」というちょっと刺激的なタイトルのものがあるんですが、ここまでの記事の内容を踏まえて動画を見ていただけるとより理解が深まるかな、と思います。
基本的にこの動画で語っていることを意識するだけで、結構な確率で粗悪品を除外することができると思います。
双龍開発者のひとりごと
ちなみに、EAが破綻することが悪、というわけではないと思っています。
当然、100%儲かる話なんてないですし、負けるときは負けるのがFXです。負け続くと残高がゼロになるのは小学生でもわかります。
でも、明らかに勝たせる気のないEAをコストをケチって開発して、実際より遥かに良く見せてユーザーを釣る行為は、多くのユーザーに金銭的な実害をもたらします。
ちなみに、本当に終わってる自称開発者は、適当な海外サイトからソースコードを引っ張ってきてコピペして、パラメータの調整だけして配布するという「もうそれ開発じゃないでしょ」っていうことを平気でやったりします。
つまり既製品をタダで仕入れて著作権フル無視でIB報酬をがっぽり稼ぐ、ということに他なりません(ごく稀に二次配布OKで公開しているEAもありますが)。
ユーザーを踏み台に荒稼ぎしたお金で食うメシはウマいのでしょうか。
できることなら、戸別訪問してアンケートして回りたいです。
…閑話休題。
最近は双龍の申し込み用LINEでも「以前使用していたEAでは稼働して2週間で30万円溶かしてしまって、それから配布元の人とも音信不通になった」などとEAで失敗した体験を話してくださる方もいらっしゃいます。
私のリアルの知り合いでも、1年ほど前に一夜にして100万円をEAで溶かした方がいらっしゃいます。
私としては彼らと同列には見られたくないなと思いますし、しっかり利益を残して長く使ってもらえるようなEAを開発しようと改めて心に決めました。
そして、FXやEAについてよく知らないという方のリテラシーを高められるような情報発信を続けていきたいです。
おまけ:私のEA運用ポリシー
最後に私が実践しているEAの運用ポリシーを書いておきます。
元本回収までは出金最優先
元本さえ回収すれば、あとは破綻しようが何しようが、絶対に損失は発生しません。
だから何よりも出金最優先。
複利は元本回収してから。
「お酒はハタチになってから」と同じくらい基本です。
破綻リスクの大きいEAは、リターンで考える
EAはローリスクからハイリスク、ローリターンからハイリターンまで千差万別です。
私自身、破綻リスク高めの動きをするEAも使っていますが、リターンがいいので気に入っています。
既に何度か破綻を経験していますが、それ以上に利益が残るので無問題。
極論ですが、1年に1回破綻するとしても1年で200%稼いでくれるなら年間100%の利益なのです(だからこまめな出金は大事)
大して利益率も良くないのにバンバン破綻してしまうようなEAは、長い目で見ても損失が膨らむばかりなので切り捨てるのが吉だと思います。(私の知り合いはこのパターンに嵌ってました)
EAの動きにむやみに手出ししない
EA選びこそ慎重になるべきですが、これだと決めて運用をスタートしたのならEAを信頼するべきです。
実際、どれだけ含み損が出ようとも完全に放置して、ただEAの意向のままにトレードさせた結果がバックテストやフォワードテストです。
EAの本来のパフォーマンスを引き出すために、手動で損切りしたり、含み損をなんとか相殺しようと自分でポジションを取ったり、そういう余計なことはしないほうがいい。
経済指標前後での稼働停止が必要なEAや、そもそも手動で決済することを想定して作られたEAもあるから、一概には言えないんですけどね。
あくまで私の方針ですが、誰かの参考になれば嬉しいです。
ということで「無料でEAを配っている人のウラ話」からは変に飛躍した気がしますが、今回は書きたいことを思うがままに書けてよかったです。
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ではでは。
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