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「田園に死す」からサビアンシンボル射手座18度を考える

この太陽を持つ有名人は寺山修司です。(お昼12時で取った場合)
劇作家・映画監督・俳人・小説家など様々な分野で天才性を発揮した人でした。それまでの芸術のあり方を壊して新しいものを生み出す力は強烈です。そして母親との強い関係性の中で生きた人でもありましたね。


力強い星の配置 ホロスコープ概略

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ぱっと見グランドクロスがわかります。詳細に見ていくと火星金星天王星のTスクエアに冥王星蟹座がサイン違いでグランドクロスを構成していることがわかります。

金星火星で恋愛や芸術表現での既存のものを壊して新しいものを入れたい価値、それに向かって変わった理念を掲げ突然行動する力があります。そこには蟹座冥王星という家族のような仲間との関わりをつくるためだったのかもしれません。

さらに135度多いですね。135度は困難さや障害を乗り越えて新しい展望を生み出す角度になります。さらにはあまりお見かけしない「トールハンマー」と言われる配置もあります。これは90度と135度でできる三角形です。北欧神話のトールとい雷神のハンマーだそうです。

一つのトールハンマーの中身は
・太陽水星135度天王星:射手座の教育や言論活動における斬新さ
・海王星135度天王星:理想を新しい形で提示する
・太陽水星90度海王星:現実離れした夢のようなビジョンをもとに考える

寺山修司の言論活動における旺盛な活動はこのトールハンマーが効いてそうですね。さらにトールハンマーは他にも3つありますからね!

そして射手座太陽水星の乙女座海王星のスクエアには双子座月も関わりTスクエア。双子座の月は出生時間が不明なので脇に置いておきますが、カイロンと近いのも気になりますね。


サビアンシンボルで考えてみる
太陽 射手座 18度:日除け帽をかぶっている子供たち

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このシンボル単独で考えると、太陽の強すぎる光があり、それをカバーする帽子を子供に被せるという「保護」の意味がでてきます。太陽は直接見ると目を痛めます。ギリシア神話では「神そのもの」をみてしまったことで自分が燃えてなくなってしまうような話も多いですね。それだけ危険で訓練を積んでいないと相手にできないような強大な世界を相手にしているのが射手座なのだと思います。その危険な状況でも活動できるように手を差し伸べるシンボル。あるいはその保護下で子供らしいチャレンジをしていくシンボルではないかと思います。



16度から20度の流れで考える

射手座16度 船を見ているカモメ
射手座17度 復活祭の日の出の礼拝
射手座18度 日除け帽をかぶっている子供たち
射手座19度 住処を移動するペリカン
射手座20度  氷を切り出す男たち

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16度は使える相手を選んで戦いでなく共存を目指しています。双子座の意味がはいってくるシンボルです。射手座の火は一旦クールダウンして冷静に現実的な相手を遠くから見つめています。17度では大いなるものを信じる力が復活。現実の世界でなく神聖で遠き憧れを求めることが射手座の醍醐味ですね。その力が復活しています。18度ではその神聖だけど、人間にとって危険かもしれないものから弱い立場を守ろうとしています。19度はさらにその弱い存在のために最適な環境に変えていこうとするチャレンジがあります。20度では行った先がどんなに厳しくても柔軟に対応し良きものを環境から引き出しています。

この16度から20度はどのサインでも「再調整や癒し」みたいなところだと思います。

寺山修司の「田園に死す」を参考に、魂の形をサビアンで考える

寺山修司の「田園に死す」はのんびりした田園の農村の中で繰り広げられる、母・女の情念のぶつかりあい・そこから逃げようとしても逃げられない主人公の話でした。

寺山修司は実際の「母親」とも関係が濃かったのですが、「母のシンボル」を太陽のサビアンシンボルから考えられることはあるでしょうか。

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ドデカテモリーだとこの度数は蟹座です。これは母や養育についての関連が強いことを示します。ローカル集団の中でどう生きるのかがテーマになります。

このシンボルは太陽光を防ぐ保護帽子をかぶっていますけど、ではこの太陽って何?と考えた時、寺山修司の場合は、父なる神ではなく、母なる「アマテラス」かもしれないと考えました。

アマテラスは毎朝ごとに、夜の世界を終わらせ生きるエネルギーを満たす生命を与える女神です。この世の様々なものが成長し豊かになるように見守る神だとも言えるでしょう。スサノオの所業によっていったんは天岩戸に隠れますが、隠れたことによってそのパワーを周囲に知らしめることになり、「あなたがいなければだめなんだ」となだめすかして復活したという話でした。アマテラス=太陽は「あなたがいなければだめなんだ」という存在でもあります。

射手座18度のサビアンシンボルは太陽の強すぎる影響に燃やされないように、知恵を使って適度に距離を持とうとします。頭部は思考の場所ですから自分の考えが影響されないようなんとかして自衛します。

しかし太陽はいつも頭の上に輝いているし、本当には離れることができない。そこから恵みを得ているということも実は知っている。

射手座太陽のサビアンを射手座内の対抗の度数で考えます。18度の対抗は3度。

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この2枚で考えるとどうでしょうか?3度のチェスは戦争を盤上で再現しています。でもゲームですから安全です。18度の日除け帽子も危険なものから保護される意味になります。二つ合わせて考えると「保護下で擬似体験」のシンボルだと思います。

「田園に死す」では主人公の現代の自分と少年時代の自分が虚構である映画の中で母親殺しを企てていました。

サビアン研究会 谷間・オブ・サビアンのSUGARさんの言葉で18度に「可能性の家に暮らしていく」というキーワードがありました。

ちょっと拡大解釈かもしれないけど、寺山修司も映画の中が「可能性の家」だったのではと思いました。母を殺して自由になった後の可能性を夢見てそれによって自分を救済しようとしていましたがそれは可能性にすぎなかった。それはあらゆる戯曲、詩、短歌などのすべてが可能性の家でそこに住み続けていたという意味のように感じました。

生きる環境が厳しい時、未来に希望を見出し生きていくには、現実に対する鈍感力が必要なのだと思います。それは瑣末なことに目を向けず、まだ見ぬ未来を心の中で沸き立たせそのビジョンと生きることです。それが射手座の世界なのだと改めて感じます。

寺山修司の太陽を他のアスペクトで見ていきましょう。太陽と海王星スクエアのサビアンですよ。

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乙女座16度のサビアンシンボルは地下からどうしようもなく溢れ出てくる激しいエネルギー。海王星は情念の深い蠢きです。火山ですからとても原初的な激しい情念が吹き荒れています。

この2枚で見ると太陽サビアンシンボルの日除け帽は、単に神聖で強烈なものから守るということではなく、このホロスコープの場合、海王星の強い影響からも自分自身を守る大事な砦に感じます。

以下ネタバレ・・・・

最後、母親を殺しに大人になった自分が草刈り鎌を持って母に会いにいきます。しかしそこでは母親が勧められるままに親子二人でご飯を食べ始めてしまう!!

食べちゃったらだめだよ!!!再び母の魔法に入ることになる!!!!・・ということを寺山修司も知っていたのでしょう。太陽からの影響からは逃れられないということを。しかしその存在が創作のエネルギーとなっていたことも。

「田園に死す」では、強烈に抑圧された、日本の女の情念の濃さを見せつけらました。大昔、光り輝いていた母たちは、実りをもたらすの田園で、恨みの血を流し続けていた。それは多分今も続いている。

寺山修司は本来の女性の力を、偏った母親像を通して、世の中に取り戻そうと「可能性の家」で様々な企てをしてきた表現者ではないかと思いました。


心に残った映画の中の寺山修司の短歌

売りに行く柱時計がふいに鳴る横抱きにして枯野行くとき

寺山修司のサビアンシンボル

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SUGARさんの主宰するサビアン研究会に入っています。この記事はサビアン研究会の歌会で発表したものに加筆しました。



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