【声劇フリー台本】どうしようもない
陰鬱台本です。
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配信でのご利用も可能です。
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台本のアレンジは自由ですが、台本の意味合いが大きく変わるような改変(大幅にカットするなど)は不可とします。
便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。
【台本】
大丈夫、心配いらないよ。
なんともないよ。
ありがとう。
どうしようもない痛みを引きずったまま、息を吐くように嘯いた。
きっと疲れからくるものだ、と適当に結論付けて、それ以外はなんともないのだと虚勢を張る。
いつものこと。
ありふれたこと。
ごちゃごちゃと煩い薄暗い感情に蓋をして、見ないフリをして。
物分かりのいい人間を演じて、納得したことにして。
一つ吐露すれば次から次へと出て来るであろうことを予測して口を噤む。
きっと直視すれば縋ってしまうことを自覚して、目を塞いで見えないことにする。
それは僕のものではない。
それは僕に与えられるものではない。
わかってる。分かってる。
何度も何度も頭の中で繰り返して自分に言い聞かせて、願望を口にすることすらないように諦める。
本当のことを言ってしまえば、どうしようもなく寂しい。
きっと、寂しいという言葉が一番近いのだろう。
痛くて、寒くて、苦しくて。
あたたかいものを求めてしまいたくなる。
けれど求めたところでそれがないのも分かっている。
求めてはいけないこともわかっている。
願望を口にしたところで、誰かを困らせるだけ。
わかっているんだ。
理解できているくせに、感情が別のところにいるだけなんだ。
だったら感情など無視してしまった方が早い。
どこかへ置き去りにして、二度と出会わなければいい。
耳障りのいい言葉が僕に向けられていないことも分かっている。
僕に向けられているように見えるそれは、実のところ言葉を放った本人に向いている。
その言葉を受け取った僕が、何かを返すことを期待して向けられた言葉。
この手には何も残らない。
むしろ失うばかりだ。
だったら最初からそんな言葉いらない。
聞きたくもない。
くだらない。
本当にくだらない。
『寂しい』だなんていう子どもじみた感情をいつまでも引きずっている自分がくだらない。
『助けて』などと訳もわからず叫んで何かに縋ろうとする甘ったれた思考がくだらない。
思考を二分化して、ただただ沈みゆく自分を俯瞰して嘲笑って。
片側の思考を侵食しようとすれば容赦なく叩き落としてなんでもないふりをする。
自分を追い詰めているつもりはない。
ただ、求めたところで得られないと分かっているのだから、最初から求めない方がいいと自分に厳しいふりをしているだけ。
くだらない、ただの意地だ。
自分がそれに値する人間でないと認めたくがない故の苦肉の策だ。
ああ、ほら。
思考がバラバラなおかげでひどくまとまりがない。
どうしたいのか。
どうすればいいのか。
なにをしたら満足なのか。
そんなもの、僕が一番知りたい。
あるならおしえてくれよ。
僕一人じゃ無理なんだ。
……なんてね。
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