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「暴力性モテ」を構成する要素とその重要性

先日このようなツイートをしたところ、随所で反響を呼ぶこととなりました。

https://twitter.com/6yhsdsiswmcd/status/1716433291748704653 より引用

ツイート自体はそこまで炎上したわけではないのですが、このツイートの後から男女論界隈のそこかしこで火の手が上がり始め、最終的にはかなりの大火となってしまいました。

「恋愛において暴力性は重要」
「暴力的な男はモテる」

このような言説は、昨今ネット上では多く目にします。
実際は「昨今」というより、ずっと前から論じられてはいたようなのですが、私自身がツイッター男女論界隈に来着したのが約一年半前のことですので、それ以前のことをあまり把握できていない点についてはご容赦ください。

しかし、一見するとギョッとするような話ではあります。
暴力性が重要?女性を殴ったり蹴ったり、あるいは粗暴な振る舞いをすればモテる、とでもいうのでしょうか?
しかし、よくよく話を聞いてみると、この「暴力性」という言葉は、必ずしも字面通りの意味で述べられているわけではないようです。ただ一方で、文字通りに近い意味で語られている場合もあるように見受けられます。
従って、暴力性は必要だ・不要だ、と議論している人達も、そのあたりの認識がかみ合わないまま論争し、混乱していることが少なくないように思われます。
そこで今回は、恋愛における男性の「暴力性」について整理してみましょう。その上で、あらためて「暴力性は必要か否か」を考えてみたいと思います。

ツイッター上で語られる「暴力性」を理解する上で重要な要素が2つあると考えられます。ひとつは「暴力性の度合い」もう一つは「暴力性の方向」です。
まず「暴力性の度合い」についてですが、ネット上では「自分の意思を通そうとする行為全般」を「暴力性」を表現していることに留意する必要があります。ですので、度合いが強いものから述べていくと、殴る蹴るなどの物理的暴力や、恫喝するなどの精神的暴力はもちろん、セックスを求めたり、手をつないだり、デートに誘ったり、果ては話しかけることまでが、全て「暴力性」に含まれるとのことです。これはいくら何でも「暴力」の原義から逸脱しているとは思いますが、他に適当な言葉も思い当たりませんので、とりあえず専門用語の一種とみなして使うことにしましょう。
次に「暴力性の方向」についてですが、簡単に言えば「相手の女性を対象とする場合」と「第三者や社会を対象とする場合」に分類できると考えられます。

以上をまとめたものがこちらの図です。

図1 恋愛における「暴力性」の概念

ご覧の通り、かなり広い概念を意味していることになりますね。
縦軸は5段階になっており、上に行くほど攻撃性が強い要素を示しています。

それでは、ネットで語られる「暴力性」というのは、これらのうちどれを意味しているのでしょうか?

ここ2日ほどのツイッターを見る限り、人々が使う「暴力性」の意味は、大雑把に分けて4通りあるのではないかと思われました。

まずは「狭義の暴力性」
図1の区分で言うと5A, 5B, 4A, 4B に該当する部分ですね。
女性を殴る、蹴る、反社会的な攻撃性を発揮する、などの行為がこれにあたります。「暴力性」という単語を初めて聞いた場合、最初にイメージするのがこれらになるでしょう。
これはほとんどの人が否定するだろうと思っていたのですが、驚くべきことに「これこそモテのためには重要である」と述べる男性アカウントも見受けられました。

https://twitter.com/6yhsdsiswmcd/status/1716433291748704653 より引用

男女論界隈の著名人 rei さんも、この意味での暴力性について肯定的な見解を示しています。

https://twitter.com/Shanice79540635/status/1716728935864770635 より引用
https://twitter.com/Shanice79540635/status/1716748308927103342 より引用
https://note.com/beatangel/n/nf3843d01d603 より引用

犯罪行為すら肯定的に見られる、という見解があるのはなかなかの衝撃です。


次に「頼もしさの暴力性」
図1の区分では5B, 4B, 3B, 2B の反社会的な要素を除いた部分です。
これは言うなれば「オスとしての強さ」ということになるでしょうか。
リーダーシップを発揮し、勝負に勝ち、悪に屈しないという、いわゆる「男らしさ」とオーバーラップする部分ですね。場合によっては物理的な暴力をも発揮して外敵を排除するという、脅威を排除する、しかし粗暴ではない力強さがこれにあたります。この意味で「暴力性」という単語を使われるケースもしばしば見られます。

https://twitter.com/imraddish/status/1716440454114525692 より引用
https://twitter.com/imraddish/status/1716447022893695469 より引用

次に「恋愛の暴力性」
図1の区分では3Aと2Aがこれにあたります。
女性と仲を深めていく過程では、性的資本の非対称性から、多くの場合男性側からのアプローチが必須となります。
デートに行く、告白する、といった段階はもちろん、手をつなぐ、キスをする、セックスをする、といったことを求めることもこれにあたります。
小山晃弘氏などはこの「恋愛の暴力性」を持つことの重要性を強調しているように思われます。

https://twitter.com/iikagenni_siro_/status/1716710093658702184 より引用

最後は「バイタリティ」
図1の区分では2Bと1にあたります。
これはいくら何でも暴力性ではないろうと思ったのですが、仕事や生活をハキハキとこなすエネルギーを「暴力性」の概念に含めていると思われるケースも見受けられましたので、一応含めておきます。

さて、これで「暴力性」の全体像が見えた形になったかと思います。
では、このうちどれが必要で、どれが不要なのでしょうか?

身も蓋もないことを言うようですが、結論としては「人それぞれ」であると思っています。

「狭義の暴力性」などは明らかに不要というか、マイナスですらあると思えますが、世の中にはこの手の暴力性を持つ男性に惹かれてしまう女性も少なからずいるようです。
具体的に言えば、ホストに貢いでしまう女性ですね。不思議なことに、ホストは女性を徹底的に甘やかしてチヤホヤするのかと思いきや、むしろ多くの場合、暴力的に「支配」の空気を作り、女性を「調教」してしまうようです。それでも一定数の女性が誘蛾灯のように彼らに惹かれていくのを見ると、世の中には色々な需要があるのだなと思わざるを得ません。

このように、特殊なケースを挙げていけば「千差万別」としか言えないのですが、一般論として多くの人に当てはまると思われることを論じることはできるかもしれません。

私個人としては「恋愛の暴力性」は基本的に必須であり「バイタリティ」はあればあるほど良く、「頼もしさの暴力性」はあれば良いがなくても可、「狭義の暴力性」は基本的に不要と考えています。

恋愛経験の浅い人にとって、最もつまずきやすいのは「恋愛の暴力性」だと思います。特に経験のない人にとって、これは非常にハードルが高いのではないでしょうか。
デートに誘うくらいならともかく、それ以降の身体的な接触行為は、いきなり行えば犯罪にあたるわけですから。
それでは、どの程度仲良くなっていればそれらの行為が許されるのか?
それも単純には言えないでしょう。相手の思想や距離感の認識、はては気分によっても変わってくるわけですから。
では、言葉で同意をとれば良いのか?
昨今は「性交同意」の重要性がさかんに強調されていますので、教科書的にはこれが正解ということになるでしょう。
ただ、言葉で同意をとろうとすることでかえって雰囲気を損ねることもあるでしょうし、何より「相手に責任を負わせようとしている」感が出てしまうという問題があります。
それを含めて、どう行動するかは男性側の判断と責任にかかってくると言えるでしょう。
もちろん、デートの回数やつきあった期間、相手の機嫌などにとって、拒否される確率が低いという推定はできるでしょうが、それでも絶対ではない。
しかしそれでも、相手との仲を深めたいのなら進まなければいけない。
恋愛未経験の男性にとって、特に相手の気持ちを察するのが苦手な人にとって、ここが最大のハードルだと私は思っています。
例外として、相手から求めてくるのを待つ、というパターンもありますが、このルートは基本的にないと思っておいた方が良いでしょう

「バイタリティ」と「頼もしさの暴力性」については、基本的にスペックの問題として位置付けられるでしょうから、できる範囲でできるだけ身につければ良いと思います。「狭義の暴力性」については、基本的には不要だと思いますが、自分がそれに適していると思われるのであれば、あるいは自分が好む女性がそれを求めていそうであれば、身につければいいと思います。

繰り返しになりますが、私はどの暴力性が必要か不要かについては、最終的には「人それぞれ」「千差万別」だと思っています。

その上でですが、ツイッターで散見される「狭義の暴力性」の過剰な信奉については、私は危うさを覚えています。rei さんをはじめとした著名人が述べているように、統計的には犯罪傾向を含む暴力性を身に着けることで、女性にモテやすくなることはありえなくはないと思います。
しかし(狭義の)暴力性や暴力行為に手を染めることで得るモテは、あなたにとってどれほどの意味があるのか?という点は考慮する価値があると思います。極論を言えば「山上ガールズ」のような女性にモテるために首相を殺害しようとはまず思わないでしょう。程度の差こそあれ「狭義の暴力性」を求めることは、それに類する行為であると私は考えています。

https://twitter.com/6yhsdsiswmcd/status/1716813707626635464 より引用

あらためて冒頭のツイートに戻ってみましょう。

https://twitter.com/6yhsdsiswmcd/status/1716433291748704653 より引用

男性の好みも、女性の好みも、男性の性格や能力も、人それぞれ、千差万別です。例えば世の中には「狭義の暴力性」を好まない女性も少なからずいるでしょうし、忌避する人さえ少なくないと思います。「恋愛の暴力性」のように、必須に近い要素はあるものの、パートナー探しをする上では、盲目的に特定の説を信奉するのではなく、自分の特性を把握し、目的を吟味した上で行動計画を立案するのが良いのではないでしょうか。


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