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球審のゾーンの広さにアプローチする①

NPBにおける球審のレベルの低さ、あるいは特定の球団に対して贔屓な判定を行う印象が持たれた球審を〇〇パイア(※1)として揶揄するような様子が、ペナント中にはよく見られます。
しかしPitch f/xなどトラッキングデータが一般に流通していないNPBにおいては、それらは印象論・感情論でしかなく、実際に具体的な座標データを用いた非難、あるいは賛同が行われているのを私は見たことがありません。
そこで、私が日々収集しているデータから球審ごとに異なるストライクゾーンの広さ、というものにアプローチできないものかと考えてみたのですが、これってトリビアの種になりませんか?よろしくお願いします。

※1:〇〇には特定の球団名

ちなみにトラッキングデータが一般的であるMLBにおいては、Twitterなどでこんな情報が得られます。

ちなみにMLBでは「判定の精確性」というものがシーズン単位で審判員の評価に繋がり、それにより昇給・降給や進退が決まるそうです。
公平・公正なジャッジが明確な基準の下で行われる。羨ましいですねぇ。

では、本題に入りましょう。

私が普段収集しているデータというのはどーいうものかと言いますと、厳密には違いますが、スポナビの一球速報みたいなものです↓

まあ、つまり私も具体的な座標データなんて提示できません。投球コースは5×5。ストライクゾーンが3×3でその周りをボールゾーンが囲っています。具体的にどの球がヤリ玉に上がっていたかなんてわかりません。

さーて困った。

まあ、そんなことも言っていられないので、できるだけそれっぽくできるよう努力していきましょう。
早めに言っておきますが、このnoteは「なんちゃって企画」と言ってしまって問題ありません。ここでもし「この球審は質が悪い!」という結論に至っても、それは本当に質が悪いのかは断言できません。以降の文章には、それでもいいよ、という方だけお付き合いください。

それでは、不思議発見!

まずは5×5のゾーンに高め・真ん中・低め、インコース・真ん中・アウトコースの定義付けをこんな感じで行いました。左打者の例です。右打者に対しては、左右反転してお考え下さい。

つまり、(3,3)成分以外のゾーンのフレームに接している範囲を全てフレーム近辺だろう、とひっくるめてしまいます。

しかし、ありがたいことに私のデータには一球ごとに「ワンバウンド」や「すっぽぬけ」「高めの釣り球」「打者が仰け反った」などといった注釈や、「暴投」「捕逸」などといった記録が加えてあります。
それらは恐らく、明らかなボール球だったのだろう、と推測できます。
そういった球は全部除いてしまいましょう。
以上の条件から、2017年度1シーズン分のデータで今回使うのは124,796球分のレコードとなります。
そして、今回使うデータは、「見逃し」「ボール」「四球」の判定がなされた投球のみです。そこから、

「ストライクコール率」=「見逃し」÷(「見逃し」+「ボール」+「四球」)

という式で、「ストライクコール率」なるトンデモな割合を導き出し、それが大きいか、小さいか、でゾーンの広さを比較してみます。
また、4隅と真ん中を含むゾーンでは、計算に使うストライクゾーンのゾーン数が異なり、判定の割合がパッと比較しづらくなるので、それぞれに投げられた球数を用いて、いい感じになるよう重み付けを行いました。

まあ、納得できない部分もあるかとは思いますが、私が収集できるデータの限界値には近づいたと思います。
モヤッとボールはマスターの方にお投げください。

そこから導きだした各ゾーンの平均的な広さはこれだ!(CM)

これまた左打者を例にしているので、右打者はひっくり返してください。
数字で出されてもわかんねーよ、という方は左の私がフリーハンドでこんな感じって書いたゾーンをご覧ください。

・アウトローとベルトの高さのゾーンが広い
・高めはベルト以下よりゾーンが狭い傾向にある。
・インコースに比べアウトコースは広い。

私としてはいい感じに仕上がったのではないかと、割と満足しているのですがいかがでしょう?
え?数字の周りがチカチカして目に悪い?
それはMicrosoft ExcelとWindows付属のペイントでこのnoteのすべての自作画像を作っている私に酷なご意見です。。

そして、アタックチャンスの狙い目。
本題の各球審のゾーンの広さを同様に算出してみました。それが以下の表になります。

の前に、CMを挟んで表の見方を説明します。

①「全体」の列は、↑で言及した重み付けを行わなかった数値です。つまり、重み付けを行わなかった場合の上記条件での「ストライクコール率」のNPB平均は35.20%でした、ということです。

②各球審の数値は、一番上の行のNPB平均・合計の値を引いた数値になります。つまり、2行目の木内球審の全体のストライクコール率は、NPB平均よりも2.43%高い、ということです。

以上を踏まえてご覧ください。

ある程度のサンプル数は確保したいなー、ということで、今季20試合以上球審を勤めた審判員の、私の計算式から割り出された「ストライクコール率」、トップは木内球審、次いで名幸球審がストライクゾーンが大きいだろう球審ということになりました!

逆に本田球審、有隅球審あたりはストライクをコールしてくれにくい球審ということになりました。

実は既に私のTwitterでは全く同じ考察がされていまして(※2、といってもここまで丁寧にはまとめていなかったのですがw)、その際には敷田球審や白井球審は「コールのパフォーマンスしたさにゾーンが広い可能性があるのではないか」といった、慧眼な仮説を頂きました。なるほどなーwって。
私は残念ながら球審にあまり詳しくないので、よくヤリ玉に上がるような方の名前しか存じないのですが、もしじっくり見ていただけたら、何か面白い発見ができるかもしれません。その際は、Twitterへのリプライやこの記事へのコメントで教えていただけますと幸いです。

(※2)
https://twitter.com/YUKI_tigers0626/status/830338182910652416
https://twitter.com/YUKI_tigers0626/status/859004671796453377

考察は以上となります。ガッテンしていただけましたでしょうか?
ちなみにこのnoteのタイトルに①というナンバリングがされていますが、次回はカウント別のゾーンの広さや、個人的に球審にこんな傾向はあるのか?という好奇心が湧いたものについて少し深掘りをしてみました。その結果の紹介をしようかな、と思っております。(CM)

※広くご意見・ご感想・反論等を募集します。
noteのアカウントをお持ちでなければ、以下のTwitterアカウントへのリプライを頂けますと幸いです。

筆者
有希っこ(https://twitter.com/YUKI_tigers0626)
阪神ファン。地元が北海道の為、日ハムも気になる。

★使用しているレコードは、2017年度の全公式戦のものです。
主な分析参考元(50音順)
1.02 - Essence of Baseball:http://1point02.jp/op/index.aspx
FanGraphs Sabermetrics Library:http://www.fangraphs.com/library/
プロ野球 - スポーツナビ:https://baseball.yahoo.co.jp/npb/