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「海からの贈り物」アン・モロウ・リンドバーグ

p96
自分の今まで無視してきた面を拡充し、外での活動のためにやる暇がなかった内省の習慣を身につけるとか、あまり味わう機会がなかった他の人間との個人的な関係を楽しむことを覚えるとか、忙しくてそのままにしていた芸術とか、感情とか、文化とか、精神とか、そういういわば、女性的なものに関心を向けるべきではないだろうか。
我々の物質的で活動的な、外部に向けられた男性的な文化で、心とか、精神とか、そういういわゆる、女性的なものに飢えているのかもしれなくて、それは実際は男性的でも、女性的でもなくて、単に我々が今まで無視してきた人間的なものに過ぎないのである。そういう線に沿って成長することが我々を人間的に完全にし、各個人に自足した一つの世界になることを得させる。

p114
なぜなら回りに空間があって初めて美しいものは生きるからである。事件や、ものや、人物はそうして初めて意味があるので、だからまた美しくもある。一本の木は空を背景にして意味を生じ、音楽でも、一つの音はその前後の沈黙によって生かされる。ろうそくの光は夜に包まれて花を咲かせる

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「海からの贈り物」 アン・モロウ・リンドバーグ
"Gift from the sea" by Anne Morrow Lindbergh

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