時計修理職人の日常・8/29~9/7【私たちの日常オムニバス】
これは新潟県長岡市にある時計修理「スミヤウォッチサービス」の時計修理職人(30)の2016年8月29日から2016年9月7日までの日記です。
(文=角屋隆行)
2016/8/29(月)
朝起きると、昨夜BBQで食べたにんにくの臭いがする。気になるのは自分だけだと言い聞かせる。
毎週月曜日の朝はお店に展示してある時計のゼンマイを巻く。古い掛け時計のゼンマイは1週間巻きの為、この作業が欠かせない。
仕事終了後、11月にマラソン大会を控えているためランニングに出掛ける。走り始めということで40分のランニングだったが、かなりきつかった。
2016/8/30(火)
台風の影響で朝から雨風が強い。昨日のランニングの疲れがあるのか少し眠さが残る。
東京の友人から久しぶりに「時計が壊れたんだけど見てもらえない?」というメールが入る。時計修理をしているとたまにこういった連絡が来るが、友人から直接連絡をもらえるのは素直に嬉しい。相談に乗って、後日郵送で送ってもらうことになった。
夜はランニングの疲れを癒すために温泉へ行く。温泉の効能が身体の芯に効いてくる気がする。
2016/8/31(水)
長岡の隣に位置する見附市からお客さんが来店。店内に飾ってある時計を見ながら30分くらい一緒に話をする。
スミヤウオッチではこういった事がよくあって、長い人だと1時間くらい話し込むこともある。何気ないやり取りが楽しく、ただお客さんに喜んでもらえることが嬉しい。
夜は懇意にしている知人とご飯に行く。楽しみで午後からルンルン気分だった。
2016/9/1(木)
友人が「お母さんの時計を直してほしい」と持って来てくれた。この友人は大学の同級生だが、在学時はほとんど話をしたことがない。
卒業後にたまたま時計修理に来てくれたことがきっかけで急速に仲良くなった。こんな偶然のやり取りが嬉しい。
午後から鳩時計の「フイゴ修理」をした。フイゴとは鳩が「パッポー!」と鳴く音を出す部品のこと。おそらく、この部品を修理することが出来る業者は全国でもわずかだと思う。昔のものなので、試行錯誤しながら丁寧に直していく。
2016/9/3(土)
午後から少し休みをもらって、知人の企画したイベントを見に行く。イベントではフリーマーケットや、知人が手作りした薫製チーズ・ベーコンなどが販売されていた。この薫製チーズとベーコンを購入したところ、とっても美味!まるでプロが作ったかの様な味がした。
夜は、翌日に友人の結婚式2次会の幹事を任されているため2次会会場の準備へ向かう。機材や会場セッティングなどの打ち合わせをして、準備万端。明日が楽しみだ。
2016/9/4(日)
嫁と一緒に友人の結婚式に行く。会場は「和島トゥー・ル・モンド」という廃校になった小学校をリノベーションした所で、昔ながらの木造校舎と一流のデザインが組み合わさった何とも言えない素敵な雰囲気に包まれている。
結婚式を体育館で行い、披露宴はリノベーションされた教室で行われた。美味しい料理とお酒はもちろんのこと、新郎・新婦の楽しい一面が冴え渡る一日で、最初から最後までとにかく笑いの溢れる時間となった。
そして2次会には大学の仲間たちが全国各地から集まり、盛大に御祝いが行われた。音楽サークルの仲間ということもあり、ロックやデスメタルといった演奏が披露され、みんなでヘッドバンキングをする場面もあった。
2016/9/6(火)
通常業務を行う。基本的には電池交換とオーバーホールと呼ばれるメンテナンス修理を行う。
お店には毎日、多種多様なメーカーの時計が持ち込まれる。時計の年代やメーカーによって作りは全く違うが、それぞれの状態に合わせて丁寧に修理を行っていく。
そして、夜は与板にあるゲストハウスで旅人と交流するイベントを開催した。平日の夜にも関わらずたくさんの人が集まり、思い思いに楽しんでくれたようで何よりだった。全国を旅している人たちが何人も居て、とても刺激的な夜となった。
(おわり)
角屋隆行(すみやたかゆき)
1986年6月21日生まれ。時計修理職人であり、ウッドベーシストでもある。好奇心旺盛、2016年夏は佐渡まで遠泳に挑戦をした。これからの暮らしを考えるのが好き。
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