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AGAIN.(第3話・第4話・最終話)

第3話 シナリオ

1頁
 表紙 タイトル

2~6頁
 街灯の灯る夜桜咲く公園、春美と対峙する吾平の腕に掴まる伊奈は、春美には視えない
 小汗をかきつつ、取り繕った笑顔を作る
吾平「(——髪 切ったんだ……)」
  「あは 久しぶり
   どうしたの?こんな遅くに危ないよ」
春美「ゼミの帰りよ 発表が近いの」
吾平「——そっか」

春美「吾平は?」
吾平「あ…俺?
   ——散歩」ヘラヘラ

 吾平に背を向け、桜を見上げる
春美「良いわね 風が気持ち好いもの
   夜桜が 月に映える……」
 風にあおられ春美のスカートが棚引く

 不安そうな伊奈は黙ったまま

 振り返り微笑む
春美「私も一緒に散歩して良いかしら」
吾平「えっ!? あ…」狼狽

吾平「今は ちょっと…」
 二人を見守っていた伊奈は、そっと離れて行く
伊奈「吾平」

 ニコッと笑い掛けて
伊奈「あたし 先帰るね♡」
吾平「伊…」焦り

 顔を伏せ吾平の腕を掴む
春美「吾平」
吾平「!!!?」

 紅潮した頬、潤んだ瞳で顔を上げる
春美「私……」

7~11頁
 月夜に伊奈の遠吠えが響く
伊奈「吾平の馬鹿っ!」

 独り吾平宅に戻った伊奈は、激情に任せて罵倒しまくる
伊奈「あたしのこと好きだって言っておきながら 元カノにヘラヘラしちゃって!」
  「最っ悪!!!」

 ゴゴゴゴと高まる怨念が爆発する
伊奈「許さないんだからぁ!」
 割れる窓ガラス、破裂する電子レンジ

 徐々に静まる怨念
伊奈「——でも」

 ペタンとしゃがみ込む
伊奈「あたしもう 死んでるしなぁ」

 膝に顔を埋め、泣く
伊奈「吾平ぁ…」

12~17頁
 走り書かれたメモ用紙に芯の出たボールペン
<メモ>レンジこわして ごめんなさい 伊奈

 息を切らし帰宅した吾平は、ちゃぶ台の上の書付を拾い上げる
吾平「伊奈!」

 伊奈を探しに駆け出す吾平、壁の隅で立ち尽くす伊奈の姿は視えない
 吾平に追従しながら
<伊奈>アタシハ死ンデイルカラ
    生キテイル人二
    勝テル訳 無イジャナイ
    生キテイル人二…

 夜道を呼び掛け駆けずり伊奈を探す
吾平「伊奈ー!!」

 表情は無い
<伊奈>死ンダラ?

 伊奈を中心に黒い空間が広がって行く
<伊奈>吾平モ死ンダラ?

18頁
 歩行者用信号の青色が点滅する、四車線の横断歩道を渡ろうとする
吾平「伊奈ぁ!!」

 口パク
伊奈「(シ)」
  「(ン)」
  「(デ)」

19~20頁
 直線でブレーキを踏まない迫り来るトラックに、吾平は気付かない

 正気に戻る
伊奈「吾平ー!!」
 漸くトラックの運転席を見上げる吾平

第4話に続く——

第4話 シナリオ(2024/4/30追加)

1頁
 表紙

2頁~5頁
 夕日・海
伊奈「何コレ!???」
 自身に起きた事象に狼狽

 真冬の海岸、白い息の浮かぶ日没
春美「吾平 誰にでも優しいから」
 人の話し声に思わず隠れる
伊奈「!?」

春美「一緒に居ると どんどん惨めになっちゃう」
 防波堤を貫通する
伊奈(嫌ぁああああッ!!?)

 春美と吾平を下から見上げ、吾平に注視
伊奈(——あれ? この人、どこかで…)

6頁~10頁
 伊奈回想、バイト先の居酒屋にて飲み物の乗ったトレーを掲げ、春美と来店トイレに立った吾平と擦れ違いざま
伊奈「お足元、段差がございますのでご注意くださ~い」

 伊奈と吾平、目が合う
伊奈(あ、この人ちょっとイケメンかも…)

 段差を踏み外し、盛大にこける
伊奈「ぎゃん!!?」
吾平「え!? ちょっと君、大丈夫!?」
伊奈(いやだ、注意促しといて自分がやらかすとか、めっちゃ恥ずかしい)赤面

 伊奈を引き起こして
吾平「怪我したりしてない?」
伊奈「うう、あ、あたしは大丈夫…」
  (だけどグラスも床も大丈ばない)号泣

 伊奈の叫びにホールスタッフ(店長)が駆け付けて来る
店長「わわわ、お客様、お怪我はございませんか!?」
吾平「俺は大丈夫なんですが…」
店長「うわー、伊奈ちゃん、盛大にやったね~」汗
伊奈「ううう、ごめんなさい、ごめんなさい、店長~!」涙

 床を片付ける伊奈、そっと店長に耳打つ
吾平「僕がよそ見してぶつかっちゃって、あの、割れたグラスと飲み物代、僕のテーブルに付けて下さい」
店長「いえ、お客様にはそこまでは…」
吾平「僕の不注意ですので、叱らないであげて下さい」

店長「てな事があってね」
伊奈「いやいや、あたしが段差踏み外したんですよ! あのお客様関係無い!」
店長「だよね」
伊奈「ああ~もう! スッキリしない! 店長、割れたグラス代、お給料から天引きしてくださいね!」

11頁~15頁
春美「あなたと これ以上やっていける自信が無いの」
 吾平沈黙
伊奈(な、なんか、大変な現場に遭遇しちゃった…)

春美「さよなら」
 取り残された吾平と立ち去る春美を交互に見詰める
伊奈(こんないいひと振るなんて… なんか欠陥でもあったのかしら)

 興味本位で吾平に取り憑く

 吾平の大学
伊奈(授業中は眼鏡なのね)

吾平「はああぁあ…」屍
友A 「どした、魂が抜けてんぞ」
友B 「コイツ、加藤にフラれたんだってよ」
友A 「マジか! ホラー映画でビビり過ぎて加藤に泣いてすがって震えてたから、呆れられたか!」
吾平「…違う …と思う…」
伊奈(あらまぁ、ホラー苦手なのね。あたしが取り憑いてるって知ったら、どうなっちゃうのかしら)wkwk

友A 「何てフラれたんだよ」
吾平「…なんか、優しいから、だって」
友AB「「あぁ~…」」
吾平「え!? 納得するとこ!? 俺全然分かんないんだけど!!」

友A 「女心と秋の空…」
吾平「上手いこと言わないでよ」号泣
友B 「あ~ぁあ。折角の逆玉物件だったのに…」
吾平「そういう目で見てないから!」号泣

友A 「まぁまぁ、俺がとっておきのAV貸してやっから、独り身、楽しめよ」
吾平「おひとりさまの慰めなんか、要らない」
 友A、AVをひけらかして
友A 「要らないのか~、抜けるのになぁ~」
吾平「…要る」
伊奈(あらまぁ)

16頁~20頁
 日に日にやつれて行く吾平の後に憑いて
  吾平のバイト先・学校・自宅内食事、AVはちゃんと観た

伊奈「カリをつくったままだから成仏できないのかしら。この人、どうにかして元気付けてあげたいなぁ…」

 床に置かれたAVのパッケージを覗き込んで
伊奈「そうだ!」

 バスタオル一丁で吾平を待ち構える
伊奈「うふふ、驚くかしら~」wkwk

からの走馬灯

衝突音
 ドン!

最終話 シナリオ(2024/4/30追加)

1頁
 表紙

2頁~8頁
吾平[自身の死に直面した時、世界がスローになると言うのは本当で、]
伊奈「吾平ーッ!!!」
 呼び掛けに振り向く吾平、飛び込んでくる伊奈、トラックの車幅から弾かれる吾平

 空中で伊奈を抱き締める(吾平仰臥)
吾平[やっと、やっと、見付けた]

 歩道の縁石に背中を強打し、意識が遠のく
 トラックは中央分離帯に乗り上げ横転
伊奈「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、あたしの所為で…!!!」号泣
吾平[なんで泣いてるの?]
  「ケガは無い?」
伊奈「何で、何で何で、あたしなんかかばって… 幽霊なんだからケガしないのに!」
吾平「つい」エヘラ
 病院から職員が出て来て騒がしくなる中、意識潰える

9頁~14頁
 入院病棟6人部屋、4日目
吾平[俺はいつの間にか病院に運び込まれていて、
   (右肩)の骨折、肩甲骨のヒビ、頭部打撲で全治3週間
   警察の話だとトラック運転手も軽傷を負っていて、お互いの主張が不明瞭で若干混乱させてしまっている。

   食い違ってはいないが両者とも『突然、目の前に居た』と発言
   (…俺は伊奈がやったんだろうな、とは思うんだけど、
    霊障だなんて、どう説明して良いやら)
   伊奈は、再び姿を消してしまった。
   (あの時確かに、この腕に伊奈を…)感触を確かめるように

   そして、何故も無いが、春美がここに居る]
 訝しむ吾平に剥いた林檎を差し出す
春美「はい、あーん」
吾平(まぁ、春美の実家の目の前で事故に遭った俺が悪いんだけど)ぱくっ
  「はあぁ…」

吾平[トラック運転手の保険会社の担当も早々に挨拶に来てくれたが、
   状況から言って10:0は難しいと言う。
   歩行者側の信号無視がネックになり、俺にも支払い義務が発生しそうだ。
   トラックの修理費・運転手の治療費を差っ引いた上での計算になる。
   検査に治療費、入院費どうしよう… 分割とか出来んのかな、バイトも休まないといけないし… 学費に、家賃…]

春美「難しい顔して、入院費の事なら心配しないで、私からお父様にお願いしてあげる」
吾平(…元カノにカリをつくるとか、スゲー嫌だ。遠慮したい、したい… が…)
   でも、テレビカード頂いちゃった
   
 溜息混じりに立ち上がる
吾平「…売店」
春美「一人で大丈夫?」コクリ

15頁~
 買い物後エレベータに乗り込み閉まり掛けに人が来たので開く、飛び込んで来た人影を正面から見て
吾平「何階ですか——伊奈!?」
女性「あら?」
吾平(空似…)
女性「伊奈のお友達?」

女性「私の娘も交通事故なのよ、よかったら会って行ってくれる?」
  「半年経つのに意識が戻らなくて…この子ったら今頃どこほっつき歩いてんだか」

吾平「生きてた… 伊奈 やっと、見付けた…」
 手を取る
吾平(温かい)
  「君が居なくなって、凄く不安だった。凄く、寂しかった。
   やっと君に触れられたのに、本当のキスも出来るのに、今どこにいるんだよ…
   俺、伊奈無しじゃ生きて行けない!!」

 握る手を軽く握り返し、薄っすら目が開く
伊奈「あ…」
吾平「!!!」
   お母さん、伊奈が! ナ、ナースコール!

ハッピーエンド

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