見出し画像

AGAIN.(第1話)

登場人物

天城 吾平

(あまぎ あいら)男性
現役大学生(理工学部)、農業を営む両親の反対を押し切り上京。
笑顔にあどけなさの残る19歳。他人には受け身だが、両親には反発有り。幽霊怖い、超怖い。
八方美人なところが有るが、想い人には一途。一度想いが断ち切れると、とことん嫌になる型人間。
バイトを掛け持ちし、学費と生活費を捻出する苦学生。
>以下、吾平

綾瀬 伊奈

(あやせ いな)女性
元気な18歳の幽霊。基本ふよふよ浮いている。
素直で奔放だが、本心は見えない。さっぱり感が同姓に人気有り。
レトロジャージ好き。好きな衣装にチェンジ可。
高卒後、学生時代から務めていた飲食系でバイト、シフトマネージャーだった。
>以下、伊奈

加藤 春美

(かとう はるみ)女性
いいとこのお嬢様。吾平と同じ大学の語学部、同い年の元カノ。
容姿以外は何処にでも居る勘違い夢見る少女。同姓には嫌われがちだが、異性人気は高い。
ワンピースにシースルーのカーデ等、肌触りの良さそうな服を着ている。多分バイトなんかした事無い。
>以下、春美

第一話 シナリオ

1頁
 真冬の海岸、白い息の浮かぶ日没
春美「吾平 誰にでも優しいから
   一緒に居ると どんどん惨めになっちゃう」

  「あなたと これ以上やっていける自信が無いの」

2頁
 表紙 タイトル

3頁
 大学敷地内から2階建てアパートへ帰宅する吾平

<吾平>両親の反対を押し切って東京の大学を受けてから、二度目の季節が巡って来た
吾平「(寒ッ…)」

<吾平>三か月前、バイト先に近いこのアパートに越してきたが
 最近、特に現実の厳しさを痛感する
吾平「(階段キツイな…)」

4頁
 ドアノブに手を掛け、自室の扉を開ける。手にはコンビニのレジ袋。

<吾平>先日、彼女にフラれた 帰っても、誰も居ない
吾平「ただいまー」

5頁
 タオルを被った全裸の伊奈がお出迎え。
伊奈「おかえりなさーい♡
   おつかれさま♡
   今日 遅かったんだねぇー」

 無表情から、バシンと扉を閉める吾平

6頁
 バッと振り返り表札の入っていない部屋番号を確認
吾平「俺ん家…」

吾平「ははは、疲れてるのさ吾平ー
   現実に負けちゃダメだぞー」
  「俺もお下劣なマボロシ視るなぁ…」

 6畳一間1K、収納は押入れ一間
 部屋の中には、ちゃぶ台の前で煎餅を手にしながら横寝でテレビを観つつ「アハハハハハ☆」と爆笑しているバスタオル一枚の伊奈、フッと気の遠くなる吾平
伊奈「あ 吾平 これ超面白いよっ 一緒に観よーよ」

7頁
 リモコンを片手に、ピッとテレビを消灯する
吾平「き… 君ィー
 勝手に人の家に上がり込んで 一体何をやっているのかね」
伊奈「あっ!
   ちょっと!観てるんだから消さないでよねッ!」

 伊奈が煎餅をテレビに向けると、ブウンと再び点灯する
吾平「?」
 プチッと消灯

8頁
 再再び点灯するテレビに、驚愕する吾平「!!!!」
吾平「なッ…なッ…なッ…」

 だばだばだばだば号泣する
吾平「俺 オカルト系ダメなんだよぉ…」
伊奈「知ってるわよぅ
   ホラー映画観てるとき 彼女に抱き着いてたじゃない」

吾平「!!?」震撼
  「何で知ってんの??? 流行りのストーカーだよねッ!? ねッッ!!?」
伊奈「違ぇよ」

9頁
 伊奈ふわりと浮き上がり、天井付近から震え慄く吾平を見下ろす
伊奈「ストーカーよりぃ」
  「もっと陰湿かも」
  「幽霊だもん♪」

10頁
伊奈「ンーふーふー♡」
 怖がる吾平の額にちゅっと口付ける伊奈
吾平「ひゃッ?」
  「……」

 きょとんと見上げる吾平に「ニコッ」と微笑む伊奈

11頁
 吾平、シュビッと腕を十字に組む
吾平「おのれ悪霊!! 魂を吸い取るつもりか!!」
  「くらえ 十字架ビーム!!」
伊奈「呪い殺すぞ コラ」

 伊奈、自己紹介
伊奈「あたし 綾瀬伊奈
   しばらく厄介になるから
   ヨロシクネ♡」

吾平「さっさと成仏しやがれ」キッパリ
伊奈「厄介になるんだってば」

12頁
吾平「そんな事 いきなり現れて いきなり言われても困るよ…
   俺 霊…とか そういうの苦手だし…」
伊奈「何言ってんのよー いきなり現れたのは確かだけど あたしは結構 前から居たのよー」
吾平「大体」

伊奈「それにねー」
吾平「君は 女のコじゃないか」

13頁
 にこやかだった伊奈は真顔になる
伊奈「はぁ?」
吾平「困るんだよ…」

 一息に言う
伊奈「それは彼女にフラれはしたものの折角独り暮らしなのだから開放的かつ淫らに少年紙面上ではとても説明しきれないほど色々な事を試してみたいにも関わらずたとえ幽霊でも女のあたしが居ると思うと恥ずかしくてシコシコオ〇ニーも出来ないということ」
  「か」
吾平「ちッ 違ッッ」

伊奈「あたしなんか もともと居ても居なくても同じような存在なんだから
   気にせずやってくれて良いんだよぉ?」
  「目の前で」
 何気に否定しきれず小声になる
吾平「違うっつってんのにー…」

14頁
 布団を敷く吾平を邪魔しないよう、天井付近から眺める伊奈
吾平「交通事故!!?」
  「病死も嫌だけど事故死も嫌だな
   辛そうで… 痛くなかった?」
伊奈「それがぁ よく覚えてないのよぅ
   車が目の前まで迫って来た記憶はあるんだけど——」
  「気付いたら ここに居たの」

吾平「だからって 何で俺ん家なのさ…」震え
伊奈「あははー
   エンマ様もオツな事してくれるわね♡」

15頁
吾平「とろでさ 君」
伊奈「ヤダー 伊奈って呼んでぇ」
吾平「じゃあ 伊奈」

吾平「俺 寝たいんだけど
   その辺でフワフワされてんのも気味悪いし
   どっかに落ち着いてくんない?」

 押入れのふすまを少し開き中から「ヒュードロドロドロ」と片手を出す
伊奈「こんな感じ?」
吾平「ギャーッ!? いやーだいやーだ お母さーん!!」震撼

 土下座して許しを請う
吾平「ごめんなさい ごめんなさい マジ勘弁して下さい もうナマ言いません」
 ふわりと枕を抱いて浮き転がる
伊奈「じゃあ 一緒に寝よォー♪」

16頁
 割箸を交差した十字架を構え、及び腰で伊奈に突き付ける
吾平「貴様!やはり とり殺す気だな!!?」
  「去ね!!!」
  「アーメン ソーメン ボンソワーレ!」
伊奈「お前は隠れキリシタンか」

伊奈「大丈夫よぅ『一緒に』たって あたしは布団に入れないんだし」
吾平「本当に…?」

 片手を差し出す伊奈、見上げる吾平

17頁
 枕を抱き、恐々と手を伸ばす
吾平「——何もしない?」
伊奈「大丈夫よ♡」

 伊奈と吾平の手は触れず、スカッと貫通する
吾平「わッ」
  「……冷たい」
 少し寂しそうに立ち尽くす
伊奈「……」

18頁
吾平「?」
  「さっき煎餅 持ってたよね?」
伊奈「ああ アレ?」きょとん
  「何て言うんだっけ? ほらー あのー」

 閃き両手を打つ
伊奈「ポルターガイスト!!」

伊奈「ポルターガイスト現象を応用したもので」
  「あ ポルターガイストって知ってる?
   テレビ点けたやつが代表的(?)
   他にも椅子を動かしたり扉を閉めたりも出来るよ 触れないけど」

19頁
 片手を上げる
吾平「ややこしくて良く分かりません先生」

 のうのうと布団に入っている
伊奈「あたしにも良く分かんないからぁ テキトーに考えといてくんない?」
吾平「コラ(怒)」

吾平「なんか 話の流れで不自然な箇所が有ると思わない?」
伊奈「あ(閃)」
 プチッと照明が落ちる
伊奈「電気ね♡」
吾平「違ッ… つーか俺まだ布団入ってないし!」

 わちゃわちゃ台詞から暗転
「何よー寝る時は電気消すものでしょー? あ オバケが怖くて暗いと眠れないとか?」「お前がオバケだろうが!」「痛ッ!足踏んだあ!」「ご…ゴメン…」「キャハハハ☆アンタ馬鹿? 幽霊が踏まれるわけ無いじゃない」「だましたな!」「(爆笑)」「そんなに笑うなよー」等々

20頁
 供に布団に入り寝息を立てる伊奈を、まじまじと見詰める
<吾平>伊奈は幽霊で 怖い筈なのに 怖くない
吾平「(幽霊も眠るんだ)」

<吾平>そして——ちょっとかわいい……

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?