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鈴木ユキオの思考 「舞踏について」
舞踏に出逢ったのは23歳の終わりの頃、確か1月か2月だった。5月で誕生日を迎えるので、実質24歳と言ってもいいのかなとも思う。年齢なんて関係ないとはいえ、「遅く始めた」という感覚は持っていて、「もっと早く始めていれば」「もっと早くに出会っていれば」とも思うのだけれど、何事も出会うべき時に出会うものなので、きっと早く出会っていたら、その時の私は見向きもしなかったのかもしれない。どんな分野でも早くから
もっとみる鈴木ユキオの思考 「ダンスの現在地」
ダンスはどこにあるのか?
私は、大人になってから踊りを始めたので「ダンス」というものに触れたことがなく、さらに初めて触れたものが「舞踏」であった。アングラ芝居を少しかじっていたが、舞踏というものがあると教えられ、見に行ったのが最初であった。
身体だけで圧倒する表現というものに強く惹かれ、アスベスト館に通うことになるのだが、それが「ダンス」などとは微塵も思ってもいなかった。ダンスというものがあり
鈴木ユキオの思考 「ソロとカンパニー」
ソロとカンパニーの違いについて
最近の作品ではソロもカンパニーも基本的には同じ方法をとっているのだけれど、目的が少し違うのかなと思うので、少しこれについて考えてみたいと思います。
基本的にはソロ(ここでは自分自身が踊るソロ作品をいいます)で試みようとしている、その時々の新しいやり方であったり、方法、或いはテーマによって身体に浮かび上がってくるものを、グループ作品としてどうやるのかということを試
【対談集 vol.4】 鈴木ユキオ「刻の花」/「moments」について
中央線芸術祭2021で初演した『刻の花』。写真家・八木咲さんとのコラボレーションは、これまでの鈴木ユキオソロ作品の感触は残しつつも、「美術」「アート」としての側面を強く感じさせ、劇場ダンス作品を「体験」するという新しい感覚を探りあてた。この作品が生まれ、育ってきた歩みを聞くと、「生きる」ということに切実に向き合い続けるふたりの人間像が浮かび上がってきた。
ユキオ「この作品が生まれた発端は、コロナ
【対談集 vol.3】 鈴木ユキオ「刻の花」/「moments」について
今回の公演の新しい試みの一つは、衣装に山下陽光氏(ファッションブランド「途中でやめる」デザイナー)を迎えたことにあるだろう。お互いの作風の違いから、一緒に舞台を創ることに驚きの声があがっているが、実は20年以上前からの付き合いの二人にとっては必然のタイミングだったとのこと。あまり知られていない二人の繋がりや、クリエイションの過程についてざっくばらんに話を聞いた。
ユキオ「知らない人も多いと思うけ
【対談集 vol.2】 鈴木ユキオ「刻の花」/「moments」について
コロナウイルスに翻弄される月日が始まるまさにその時に、上演された前作「人生を紡ぐように 時の流れを刻むように」から約2年。その間は、鈴木ユキオプロジェクトも例外なく、活動は延期や中止が続いた。その中でも、オンラインイベントや映像作品への制作、野外でのパフォーマンスなど、挑むことを続けられたのは、メンバーの存在が大きかったかもしれない。久しぶりの劇場作品制作に向かうカンパニーメンバーに、今の思いを聞
もっとみる【対談集 vol.1】 鈴木ユキオ「刻の花」/「moments」について
鈴木ユキオプロジェクト公演「刻の花」/「moments」(2022.7/1-3 @シアタートラム)では、ソロとグループ作品のダブルビル上演が予定されている。そのグループ作品「moments」では、これまでカンパニーメンバーで新作発表をする機会が多かった鈴木にとって新たな試みとして、3人のゲストダンサーを迎えての制作。それぞれのフィールドで活躍を見せるダンサー小暮香帆・中村駿・西山友貴の3名に、クリ
もっとみる言葉ノ足跡 2 -Traces of Words-
「犬の静脈に嫉妬せず」
自身は、舞踏のイメージから逃れようと、舞踏ではない何かを掴もうとあがいてきたように思う。しかしながら、未だに新しい方法論を確立させた訳ではない。
混沌とした迷宮に入り込んだまま、出口などではなく入口に戻ってしまう事の繰り返し。否定、アンチ、することで乗り越えてきた歴史も、その方法論自体が成立しにくい時代である。『何でもあり』になってしまった。本当に『何でもあり』なのか。
舞