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結局、新型コロナウイルスの何が問題なのか?

7月も終わろうとしているこの時期になっても、一向に終息の気配がない。
緊急事態宣言が功を奏したように見え、かすかな期待を持っていた頃もあったけれど、ここに至ってようやく「あ、これは簡単には終わらないんだ。」と諦めがついた。

そんな中で、

「日本で被害が少ないのはBCG接種のおかげ」「日本に来たウイルスは弱毒化したタイプ」「日本での致死率は低い」

こんな記事を引用して、「政府/地方自治体の対策はやり過ぎだ」「経済を回していかなければいけない」という意見を目にする機会が増えた。

その根拠は、重症者数が増えてきていないとか、死者数が増えてきていないとか、インフルエンザと比べて脅威でないとか、そういうところにあるようだ。

「結論を出さない態度」が大事

2月頃からこれまでメディアやSNSを通じて、こういったタイプのものも含めて多くの情報に触れてきた。その結果、個人として「情報」とのある向き合い方を求められていると感じる。それは、

「よくわからないことには、安易に結論を出さない」

という態度だ。

冒頭の話で言えば、最近見かける記事ではBCG接種はあまり関係ないかもしれないし、ウイルスは弱毒化していないかもしれないし、致死率も低くはないかもしれないらしい。

いずれにしてもどちらとも言えない状態だとするならば、一番怖いのは、答えを「決めつける」態度ではないか。

新型コロナ自体、どんどん変異をしている可能性も言われている。だとしたらなおさら、今日仕入れた情報が翌月には違う解釈がでていることも起きてくるだろう。

「布マスクはウイルスを通すから意味がない」と聞けば、しばらくすると「ウイルスは防がないが、飛沫感染を防ぐためには話す時に布マスクが有効」という情報が入ってきたり、「抗体を持てば大丈夫」かと思えば、しばらくして「抗体は数ヶ月しか持たない」という情報が入ってくる。そんな5ヶ月だった。

だから常に認識をアップデートさせていかなければならない。正直めんどくさい、非常に知的負荷のかかる作業だ。その結果、面倒になった人はある行動を取り始める。

安易に答えを求める心と向き合う

それは自分にとって都合の良い記事(情報)を見て、考えを決めつけてしまうというものだ。正解を求めると、すぐに結論づけたくなる。
曖昧な状態に耐えられない。

それは恐らく自分の中に不安な気持ちが大きいからなのだろうか。
というのも、決めつける傾向が強い人ほど、違う考えの人を強い言葉でけなしているように見える。
本当に自分の考えが正しいと思うなら、そして世の中が良くなって欲しいと思うなら、異論を持つ相手に届くコミュニケーションをするのではないだろうか。

専門家ではないわたしが新型コロナで問われているのは、正解がわからない不安な状況を、わからないまま受け止めて対処していく力だと感じる。

「新型コロナ」は登場したばかりの未知のウイルスという事実

いまSNSでは、色々な解釈を目にする。

例えば「交通事故の方が死者数は多い」という意見。
でも、交通事故は感染拡大しない。被害はその現場で完結する。現時点の数の大小を比較しているのでなくて、今後の拡大を恐れている。

あるいは「去年までインフルエンザをそれほど怖がっていなかったのに、なぜ同じようなリスク(に見えると解釈しているようだ)の新型コロナにそんな過剰な反応をするのか?」というもの。

それはまだ正体がわかっていないから、としか言いようがない気がする。去年までのインフルエンザと同じようなリスクかどうかすらもまだわかっていない。

一方、新型コロナに比べてインフルエンザの歴史は長い。その長い月日を経て、「過剰に恐れなくても、だいたいこれぐらいの怖さの病気なのね」というところに落ち着いたのではないだろうか。

でも、新型コロナは登場したばかりだ。まだわからないことばかりで、これを毎年のインフルエンザ程度の警戒心で付き合って良いものなのか。何しろ去年までとは桁違いの警戒態勢で臨んでいてもこの状況なのだから。

ちなみに一口にインフルエンザと言っても、都度都度ヤバいタイプが登場している。過去の歴史でいえば、インフルエンザパンデミックの例として「スペイン風邪」がある。たとえば、このサイトで見ると、

図録▽インフルエンザによる死亡数の推移
https://honkawa2.sakura.ne.jp/1955.html

1918〜21年にかけて日本で流行したスペイン風邪は3年間で、人口の約半数(2380万人)が罹患し、約39万人が死亡したという。1920年の1年間で約11万人が死亡している。昨年のインフルエンザ死者数3,571人とは比べ物にならない。

もし新型コロナがこのクラスのインフルエンザウイルスだったらどうするのか。
厳重警戒下でありながら既に1000名近く亡くなっているのに、「たかがインフルエンザだ」と、毎年と変わらない無防備さで対処していたら、1000名どころかすでに何万人も死ぬ大災害になっていたかもしれない。

もちろん、それほどの被害になっていない理由の一つには、当時とは比べ物にならないくらい公衆衛生も進歩しているし、医療技術も発達している。何より、インターネットの登場で社会全体に対策が迅速に共有されてその拡散防止に貢献していることもあるのだろう。

けれども、一番効果を発揮しているのは、「新型コロナは大したことない」と決めつけずに、「未知のウイルスを恐れて対処しているから」ではないのだろうか。

結局、新型コロナの何が問題なのか?

新型コロナに対する評価を急ぐのは良くないとして、その問題点は何なのか。なぜここまで警戒されているのか。ここをもう一度シンプルに確認しておきたい。

それは社会の基盤である医療システムを崩壊させる可能性があるからだ。インフルエンザと比べて、急性症状が長く続き、その対応には大量の医療リソースを消費してしまうという難しさがある。一方でこれまで私が経験した中では、インフルエンザはどれだけひどく流行しても、医療崩壊が懸念されることはなかった。

もし崩壊してしまえば、新型コロナ患者を助けることは難しくなるだろうし、交通事故で大怪我をした人が病院をたらい回しされる、あるいは手術を待つ人の予定がどんどん延期になるなど、様々なところにしわ寄せが行き、大きな社会混乱につながってしまう。
これが新型コロナの問題点だ。

「経済を回す事が大事だ!」という意見を横目に見ながら、「これからもっと酷くなる!」という意見も見つつ、どちらにも与しない。

一番大事なのは、

三密を避け、会話をする際はマスクをつけ、手洗いをしっかりすること。
オフィスに出社しなくても仕事ができる人は、できるだけテレワークをすること。

これ以外に、私たちが新型コロナの拡散を防ぐ手立ては無いのだから。

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