『ばいばい』
(怖い話です)
保育士をしている知人がこんな体験をしたそうです。
夕方、帰りの時間になると保護者の方が子どもたちを迎えに来るのですが、共働きのご家庭なども多く、どうしても遅くまで残ってしまう子が出てきます。その日はさとるくん(仮名)のご両親がいつもより遅くなってしまい、さとるくん1人だけ残るかたちになりました。
秋も深まる時節、日が傾くのが早く夕闇が辺りを包んでました。他の組の子は全員帰ったので、担当の先生方もすでに帰ってしまいました。施錠の確認は、最後に帰る保育士の仕事だったので、私がやることになります。
「さとるくん、ママを待ってる間に、先生と一緒に見回りに行こうか!」
私もなるべく早く帰りたかったので、今のうちに施錠確認をしておこうと思いました。子ども1人なら一緒に連れていても目は行き届きますしね。さとるくんと手を繋ぎながら、ひとつひとつ部屋を回り、誰も残っていないか、窓の鍵は掛かっているかを確認しました。最後の部屋を確認し終えて、
「よし、もうみんな帰ったし、そろそろさとるくんのママも来るでしょ!」
と、さとるくんの方を見ました。
「……え?」
さとるくんが不思議なことをしてるのです。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「 ( ・ω・) ノシ 」
・
・
・
照明も落として、真っ暗になった部屋に向かって、ずっと「ばいばい」してるのです。
「…………!!」
確かに誰もいなかったのに。
私は部屋の方を見ることができず、足早にさとるくんの手を引いてその場を離れました。さとるくんにもこのときの話は聞けずにいます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?