サイダー

ライオンキングを観に来ていた子どもたちがいた。映画館へ行く道の途中、物乞いをする子どもがいた。

映画館は冷房が効いていた。ハエなんて1匹もいなかった。
外はとても暑かった。コンクリートの照り返しが強く、サングラスをかけないと目が焼けてしまいそうになるぐらい熱い。
そこに座る子ども。映画館の椅子に座る子ども。

映画館の帰り。その子どもはまだ地べたに座っていた。こちらをニコニコしながら見つめ、手を差し出してきた。「サイダー」と言いながら。