勉強会と治験
以前トイレットペーパーの話を書きましたが、先日東京へ行った際、東京駅のトイレットペーパーがうちのよりふかふかで柔らかくてショックでした。
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コロナ禍のせいなのか、単純に売れてないからか、浪曲の仕事はあんまりありません。
まだまだ私は修行中の身です。9月で入門から2年が経過し、3年目に入りました。
ネタを増やしていかないと、もしお仕事をたくさんいただけてもネタが被ってしまうし、時間がある今だからこそ稽古に集中しなくてはいけないなと思います。
しかし「100回の稽古より1回の舞台」ということもあり、実際にお客様の前で勉強させてもらって舞台数をこなして経験値を積むことも大事です。
また、舞台の日にちが決まると新しいネタを覚える締め切りができるので、締め切りがないときよりも効率が良い気がします。
文化庁の芸術継続支援金というのが発表されたので、私も申請してみました。10月までの活動にかかった経費の一部を補助してもらえるというものです。
おかげで、勉強会を開催できることになりました。会場代など経費の一部に補助金が出るので、残りの経費をお客様からいただく木戸銭で補えればなんと赤字になりません!(生々しい!)
また、ありがたいことにお客様から食べ物のお差し入れなどいただけることも多く、今のところごはんが食べられなくて困るようなことにはなっていません。
ですが、家と稽古場(カラオケ)の往復だけしていては人と話す機会もないですし、変化のない日々では人前で喋るときのエピソードも生まれません。
そんなわけで前置きが大変長くなりましたが、「治験」に行くことにしました。
治験というと新薬の副作用を調べる人体実験みたいな怖いイメージがありますが、安全で簡単なものも多くあります。もちろん簡単なものほど謝礼金は少ないです。
以前、ニキビ治療に効果のある化粧品のテストを受けました。正直効き目はよくわかりませんでしたが、毎日サンプル品を顔に塗りたくり、詳細なアンケートの記入をし、月に一度は肌状態の撮影や水分量測定などをしに行き、終わると天神橋筋商店街をぶらぶら歩いて帰るのです。楽しかったです。
今回応募したのは、鼻がつまったりくしゃみがでる人に効果のある、飲料のテストです。
まず指定の健康診断に参加して、問題がなければ本試験に参加できます。
早速、治験会場の健康診断に行ってみましたが、最後に採血がありました。私の大大大嫌いな注射です。
目を瞑ってどうにか済ませましたが、急に気分が悪くなり視界が歪むような感じがして冷や汗が出てきました。
ベテラン風の女性看護師さんがすぐに察して
「大丈夫?横になりますか?」
と声をかけてくれました。
そのままベンチに横になり、ペットボトルのお水をもらって飲んで、血圧を計ってもらうと
「62/40、あらら…上が62しかない。これじゃあまだ帰すわけにはいきませんから、もう少し横になっててください」
帰すわけにはいかないって、なんか漫画のイケメンみたいなセリフだな…
人前で横になってる心細さと恥ずかしさのせいか、看護師さんが逞しく見えます。
他の人の採血や面談が着々と進んでいく中、青白い顔でベンチに寝転がっている私。もちろん私以外に転がってる人はいません。治験に協力してお金もらうために来たのになんか病人みたいになってる…ここで私は確信します。
不合格だな…
15分後、血圧も顔色もすっかり元に戻った私を見て看護師さんが「もう帰っていいですよ。でも貧血で倒れたら危ないので、寄り道せずまっすぐ帰ってくださいね」
朝、会場へ向かう途中「終わったら天神橋筋商店街の丸山クレープでクレープ買っちゃおうかな~、あ、奮発してランチも食べちゃおうかな~」と期待してた気持ちがしゅん…と萎んでいきました。
言われた通りまっすぐ駅に向かい、とぼとぼと帰りました。
ちなみに私は毎年、市の健康診断も受けており、血液検査の数値もまったく問題ない超健康体です。ご心配なく。
そういえば、健康診断の採血ってほんのちょっとの量しかとらないので本当は貧血にはならないけど、あ!血を抜かれた!貧血だ!貧血だ!という思い込みでフラ~っとすると聞いたことがありますが、本当でしょうか。
関係ないですが、最近師匠に、口もとのほくろが似てるから島倉千代子さんのモノマネで浪曲前の挨拶をしてはどうかとアドバイスいただいたんですが、やるかどうかは少し考えさせてもらおうと思っています。
(追記:やっぱり治験は不合格でした。)
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