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お絵かきチーチーパッパの独り言

「何のこっちゃ、どう言うこっちゃ?」と私は小さな声でつぶやいた。ここは公民館の一室。一日水彩教室の貼り紙を見てやってきた。

思った通り、花・花瓶・人形という被写体が置かれた教室に、画材も提供されていた。

私は花瓶の前に座り、ヘタヘタとデッサンした。次に色を置き始めた。水彩は小中学生以来だ。おもいだして、明るいところから色を置き始めた。上から陰になる部分に色を重ねた。もっと暗い部分を、また上に色を重ねた。油絵感覚である。

後ろから先生が声をかけた「野村さん、違いますよ。小学生の泥絵の具(不透明水彩)じゃないのだから、下が透けて見えるように透明にね。白を混ぜたらだめです。濁りますよ。一番明るいところは、紙の白で残しましょう」

「理解不能ー」意味不明のことばが後ろから流れてきた。描く順番も色の重ね方も絵の具の使い方も水の量も何から何まで違う。

「描きにくいったら、ありゃしない」私はこそこそと油絵方法で描いて、逃げ帰った。