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勇気の推理2~裏切った海苔~を過去作と比較した感想と考察

もちもち~
(本記事では12月22日にニンテンドーeショップにて発売された『勇気の推理 海苔2 裏切った海苔』と、前作となる『勇気の推理 海苔 美味しい海苔の食べ方』と比較した感想と考察を項目別に述べていきます。

どうしても一部ネタバレを含みますので未プレイの方は自己責任でお願いします。

が、そもそも本シリーズの唯一性や面白さ、魅力は「実は真犯人は~」や「このトリックが~」といったネタバレで表せるものではなく、シリーズを通して文章から感じられる魑魅魍魎な言葉使いとそれが疾風怒濤の勢いで通り過ぎていくラスボス手前の通路のようなシナリオだと私は感じます。

本記事を読んだ後でもその味は失われないと思いますので、本記事であらすじを知った後でも購入を検討して頂ければ幸いです。


はじめに


HERO GAME様より配信されている「勇気の推理」シリーズは
『勇気の推理 海苔』
『勇気の推理123』
『勇気の推理 海苔2 裏切った海苔』
の計3作品です。このうち『勇気の推理123』については外伝的な扱いであり世界線が共有されていないため、本記事では比較対象から省き、『勇気の推理 海苔』(以後、海苔1)と『勇気の推理 海苔2 裏切った海苔』(以後、海苔2)を比較していきます。
海苔2は海苔1の3か月後の話であり世界線の共有がされています。

ユーザーインターフェース

操作

本シリーズはノベルゲームとなっていますが、操作に関してはシリーズを通して「ページを1つ進める」以外の操作が存在しません。
Aボタンを押そうが、スティックを倒そうが、マイナスボタンを押そうが、スティックを押し込もうがページを1つ進めるだけです。

また、ページ送りの今作の特徴として、ボタンを押してからページが進むまでやたらラグがあります。また連打していても先行入力が無いので、前作よりも周回に時間がかかります。

また、ページを1つ進める以外の操作が存在しないということは、巻き戻しや会話ログはおろかセーブも存在しません。そのためページを見逃すと、そのページを見るにはもう一度最初から始める必要があります。

新システム

ここまではシリーズ共通のシステムですが、海苔2からの「推理開始」という新システムが追加されました。これは前ページで問われた謎に対して、ボタンごとに対応する選択肢を選ぶことが出来ます。正解すると次のページに進むことが出来ますが、間違いの選択肢を選ぶと「バカな、そんなことがあるはずがない!」とメッセージが表示され最初の選択肢の前に飛ばされます。

うっすらと見えるGAME OVER

前述の通りセーブやログ、巻き戻しといった機能がないため、つまり後半の選択肢を間違えると大量のテキストを飛ばす羽目になります。今作はページ送りにも非常に時間がかかるため、非常に長い時間このゲームを楽しむことが出来ます。

BGM、背景

BGMや背景の画像は前作とほぼ変わりませんが、BGMはボタン連打や推理フェーズの失敗等でたまに消える時があります。(原因などの詳細不明)

前作

本記事では前作と比較する関係上海苔1のあらすじは知っている前提ですので、前作を知らない人のために3行で前作を紹介すると

  • 勇気と茜と陽気と美咲で協力して詐欺師を捕まえた。

  • 過程で勇気の父親は死亡。

  • 渡海街は海苔が有名で都成街はお米が有名。

これだけ知ってれば十分だと思います。前作につきましても、興味が湧きましたら是非購入してみてください。

メインキャラ達

海苔2でも前作の主要人物であった勇気と茜と陽気と美咲は4人とも登場はしますが、茜と陽気は途中からちょっと登場するぐらいで、最初の方は勇気と美咲がメインで進んでいきます。

勇気

勇気は前作からの主人公であり基本的な設定は変わっていませんが、前作より明らかに人間性がカスになっています。
前作から人嫌いな印象はありましたが今作では、美咲の涙を目薬と断定したり、民衆を良からぬ方向へ扇動したり、渡海水産に嫌がらせの手紙を書いたり、陽気の握ってくれたおにぎりを敗北感の味がすると表現したりと、かなり凶悪な方向へ進化しています。
ただ、これらの言動は勇気の深い渡海街の海苔への愛ゆえのものと考えると理解できなくもないような気がしなくもなくもないです。

美咲

美咲は勇気を後述する地獄七不思議へ導く役割です。前作では都成街の陽気の家で居候していましたが、今作の冒頭で渡海学校に転入しています。
渡海街と都成街の距離は、前作では新幹線で一本と描写されており、明確ではありませんがある程度は距離が離れているように感じられます。渡海街に引っ越したというエピソードも無かったので、何の理由もなしに転入するような距離ではないでしょう。

逆に考えると電車では行きにくい距離とも

この美咲の転入の理由には勇気も作中で疑問に思うシーンがありますが、明確な理由は語られませんでした。
理由はいくつか考えられますが、個人的に有力なのは前作ラストで陽気に美咲が付き合うための条件として「では陽気さんが世界で一番の探偵になって下さい。」と言っており、その為に対抗馬の勇気を探るために転入してきた説です。
この説ですと七不思議の謎を解く手伝いを勇気に依頼したことにも勇気を試すという理由が付き、その場合前述の勇気のクズシーンにもなんとなく正当性か感じられます。

茜と陽気

茜と陽気は後半で暴走する勇気の海苔愛を正しい方向に導く役割です。非常に的を絞った登場しかしていないですが、勇気が人間的に成長するきっかけをしっかりと作っています。

ストーリー

海苔2では「前編」「中編」「後編」「終章」の4チャプターによって構成されており、このうち前後編終章は勇気の視点、中編のみが陽気の視点で書かれています。
前作では第1部が勇気視点、第2部と終章が陽気視点で書かれていました。こうしてみると陽気の存在感が薄くなっていることが分かりますね。

地獄七不思議

今作の前編で勇気と美咲が立ち向かうことになるこの七不思議ですが、前作と比較しても流石にガバガバと言わざるえません。前作では船旅での遭難とダイエットゴーラの関係性の難解さに頭を抱えましたが、今作では逆の意味で頭を抱えることになるとは思いもしませんでした。

私はより多くの人により長い時間海苔を味わってほしいので推理パートに関わる説明は省きますが、七不思議の感想を順番に述べると

  1. 地獄の運動靴…見たらわかりそう

  2. 地獄の参考書…謎?

  3. 自動でご飯が炊きあがる給食室…前作で勇気のり弁を持ってくるシーンと矛盾が無いように作られていて感動

  4. ひとりでに音を奏でるピアノ…6の伏線のみ、推理無し

  5. 消える鉛筆…人災

  6. 四階の蛇口から日常…メインの謎

そして7つ目の謎に関してですが、これだけ明確にどういった謎であったのかは描写されていません。勇気自身は7つ目の謎に関して解き明かしたそうですが、内容についてはっきりと言及していないので推察することしか出来ません。

このシーンの前では「茶色い液体がものすごい勢いであふれ出し、水位が上がってくること」このシーンの後では「茶色い液体の正体が海苔出汁味噌汁であること」の描写があるので、このどちらかであるとは思うのですが、イマイチ決定打にかけます。

というのも、文脈的に言えば後者のような気がしますが、七不思議の噂に付随していた「七つ目の謎を解くと死ぬ」という情報を加味すると、直接死因になりそうな前者の気がしてきます。そもそもこの場所は4階なので窓や階段から流れていき水位は上がらない気がしますが

七不思議の原因

今作の途中で七不思議を考えた人物が登場しますが、この人物は一貫して「若い大人の男性」としか描写されず、動機も真相も人物像も分からず仕舞いでした。

この人物は中編で「まさかこんなことになるなんて」と発言しているため、軽いイタズラのつもりだったのでしょうが、それにしては悪質すぎるような気もします。そもそも公共施設の蛇口に大量の味噌汁を接続することは明らかにイタズラの範疇を超えているような気もします。

また同じ時に「七不思議を考えたのは僕なんだ。」というほぼ自供ともとれる発言した時、横に警察官の茜がいたはずですが、逮捕する描写もなくフェードアウトしています。普通に建造物損壊罪や殺人未遂とかで逮捕しろよ

時系列

七不思議が発生したのはいつなのでしょうか

普通学校にある七不思議と聞くと昔から存在する噂を想像する人が多いと思いますが、今作の七不思議はあまりにガバガバすぎるので長期間不思議として成立するとは考えにくいです。特に6の謎に関しては誰かが4階の蛇口をひねった瞬間発動してしまうので、謎が作られてから数日も経過していないと思われます。

そのため全ての謎を犯人が一人で仕込み、噂を自分で流布させたと考えられます。そうすると七不思議のガバさにも説明がつきます。

今作の冒頭、つまり美咲が転入してきた日の朝に若い大人の男性が校舎を見上げている描写があり、この時蛇口の謎を含む全ての謎を仕込んだとすると、1日目の朝に七不思議の仕込み、噂の流布をすませ、その昼休みにその噂を聞いた委員長が美咲に七不思議を解くことを命じる。という非常にタイトなスケジュールにはなるが不可能ではないことが分かります。

この場合は噂を話していた女子や3・5つ目の謎に関わっていた人間達はこの男性と内通していたと考えると自然でしょう。

おにぎり

今作では終盤のキーアイテムとしておにぎりが登場します。

この渡海街の海苔と都成街の米で構成されるいかにもな料理ですが、過去の事件のせいで都成街では米と海苔を一緒に食べること禁止されていました。海苔2の終盤でなんやかんやあって都成街でもおにぎりが食べれるようになるのですが、このおにぎりの件で前述の七不思議が大分有耶無耶にされていると感じました。

この過去の事件とは、その時都成街で大流行した牛肉を駆逐することに起因するものなのですが、都成街長はヴィーガンなのでしょうか。

サブタイトル

今作には~裏切った海苔~というサブタイトルが存在します。この裏切った海苔というサブタイトルは今作中盤において、6・7つ目の謎の事をこう呼称するシーンがあり、早めにタイトル回収がされています。

一方で、前作にもサブタイトルは存在するのですが~美味しい海苔の食べ方~というサブタイトルはストアページには文言として書かれておらず、アイコンやタイトル画面に画像として表示されるだけとなっています。

しかし、前作では結局美味しい海苔の食べ方がなんなのか分からないどころか、まともに海苔を食べているシーンすらありませんでした。海苔が少量含まれている飲み物ゴーラの方が目立っていた気さえします。

さて、海苔2までリリースされて考えられる事としては美味しい海苔の食べ方とは前述したおにぎりの事ではないのか、ということです。海苔の食べ方について言及している場所は海苔1の冒頭と海苔2のおにぎりの事ぐらいしかありませんし、やはり海苔はお米と一緒に食べることが望ましいでしょう。

あとがき

ここまで読んで下さりありがとうございます。

どうしても海苔2をプレイしている時から書きたい事がドンドン溢れ出てくるせいで、内容が紹介記事なのか感想記事なのか考察記事なのかハッキリしないまま書き進めてしまいました。

そのため内容はグチャグチャだし無駄に文字数が多いしネタバレのラインも決まって無いしで悲惨なことに……

ただ「少しでも勇気の推理に興味を持って欲しい、道連れを増やしたい」という思いは変わらないので、まだプレイしてない方は是非プレイしてみてください。

もうプレイした人は友達になりましょう
DM待ってます)



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