見出し画像

夜空に光る"オンリーワン"の星。伊波杏樹 ~An seule étoile~ 220,284 ライブレポ【最終話】

だいぶおまたせしました。⬇のリンクから第1話・第2話が読めます。


怪獣の花唄


「最愛の戦友。普通怪獣・高海千歌へ、

伊波杏樹さんからのメッセージ。」


そう捉えても構いませんよね。
いや、歌詞を見ていたらそうとしか思えなくなる。

思い出すのは君の歌 歌い合う顔が鮮明だ
君に似合うんだよ ずっと見ていたいよ

怪獣の花唄 / Vaundy  作詞:Vaundy

もっと 騒げ怪獣の歌 まだ消えない 夢の歌唱えて
君がいつも 歌う怪獣の歌 まだ消えない
口ずさんでしまうよ

怪獣の花唄 / Vaundy  作詞:Vaundy


皆さんご存知、TVアニメ・ラブライブ!サンシャイン!!。この作品の主人公にして、Aqoursの(自称一応)リーダーの高海千歌。
愚直に、がむしゃらに、しぶとく、そして朗らかに。浦の星を守ることは出来なくとも、浦の星の名前を刻みに行く、その一心で駆け抜けていった千歌の勇姿。

伊波杏樹さんとはかれこれ8年連れ添ってきた最高の相棒。憧れの舞台に立てた喜びを分かち合った反面、辛くて苦しくて胸が張り裂けそうな時間も共に過ごしてきました。
あの時伊波さんが「もう役者辞めよう」と思って俯いてる時に、もし傍に千歌ちゃんが居たらこう言うに違いありません。


『がおー!!!!』


普通怪獣。

「歌うことが大好きだった」あの頃への原点回帰を促すかのような「普通怪獣の咆哮」。
時たまラジオで伊波さんの幼少期や学生時代の頃の話を聴くと、「拍子抜けするレベルで普通の女の子」だったことに気付かされてきた私ですが、ようやく伊波さんが「高海千歌」という普通の女の子に引き寄せられた理由がわかりました。

千歌ちゃんも、伊波さんも、元をたどれば

歌うことが大好きな普通の女の子だった。


無邪気に、ただ大好きという感情だけで2人で歌い合ってる、そんな光景が「怪獣の花唄」のサビを聞いていると鮮明に浮かんできます。
この純粋無垢な感情が、千歌ちゃんと伊波さんをこの上ない輝きに導いてくれたと、8年間走ってきた2人の姿を見て思います。

落ちてく過去は鮮明で
見せたい未来は繊細で
すぎてく日々には鈍感な君へ

怪獣の花唄 / Vaundy  作詞:Vaundy

ラスサビ後、多田さんと恭平さんがこのフレーズを歌ってるのを見てると、"つい口ずさんでしまう"んです。年齢的に「大人の仲間入りを果たした」いな民にとってとにかく刺さって、無味乾燥に思えてしまう「大人としての暮らし」に抗うように。

日々のプレッシャーの中で押し潰されそうになる「幼い頃の歌に対する大好きの感情」は鮮明に映り、その時に描いた夢は「27歳になった今でも険しく見える」ほど繊細。それでも、赤色や青色に怯えて疲れきって「あの時の感情」は無意識のうちに鈍感になっていく。

原点に帰って「普通怪獣」として騒ぐ伊波さんの姿。これほどの"大好きの感情"を臆することなくアピールできているのも、いな民と伊波さんとで築いてきた信頼があってこそ。同じような感情を共有して、1つホールの屋根の下で一緒に歌い合えたこの空間は、忘れることは無いと思います。


"杏"コール


ただのアンコールじゃないんです。"杏コール"なんです。

時は遡り2020年10月2日。
Inamin Townの会員限定生配信「An seule étoile ~Rythme d'été~ オーディオコメンタリー付きライブ鑑賞会」での出来事。
アンコールのところに差し掛かると、コメント欄では「杏コール」という文字が。

天才か。


これまでは、伊波さんのソロイベでアンコールがある時は舞台の時と全く一緒の「カーテンコール」をやっていたんです。

カーテン‐コール

〘名〙(curtain call) 演劇・音楽会などで、幕切れに観客が盛大な拍手を送り、いったん退場した出演者を舞台や幕の前に呼びもどすこと。

コトバンク - カーテンコール

これが「杏コール」に明確に変わっていったのは、声出しが可能になった2023年のメルボヤの時からでした。
最初はカーテンコールに慣れていたいな民の間でも少々困惑気味でしたが、本公演では完全に浸透してきた気はします。

皆の声に応え、多田さん、恭平さん、圭子さん、涼子さんが先に登壇。
そして伊波さんも登壇。
さあ、ここからサプライズだらけの"杏コール"のはじまりです。


にゃんにゃんにゃん


冒頭からそれは反則やろがい!!!!


すごい。すごい。私らは凄いものを見てしまったかもしれない。
誰しも一度は想像したであろう、「にゃんにゃん云ってる伊波さんの姿」。
破壊力やばい。

……正気に戻って。この曲、歌っているのは伊波さんが以前から好きなアーティストとして挙げていた「コレサワ」さん。2019年のリトムデテの時には、「死ぬこと以外かすり傷」をセトリに上げていました。

君は猫で僕は人間 何言ってるのかわからないけど
今日もニャーニャーないている君の
小さいおでこにキスをして そのモフモフ触っていいかな
愛しているよ 君はどうだろう

にゃんにゃんにゃん / コレサワ  作詞:コレサワ


猫に限らず、そういう「家族の一員」がいるということ。家に帰れば家族が待っているという幸せ。そんな些細な幸せが自分の心を救う。間違いなく伊波さんが歌っている時の感情の中に、最愛の"弟"の姿が思い浮かんでいるはず……。
それにしたって伊波さんが表現する「ご主人への甘えっぷり」が上手すぎる。こんな声で「おやつくれ」って言われたら普通にヤバい。


MC&告知つぶつぶ


再び壇上に現れた「1000本のかすみ草」をあしらった純白のステージ。
すると、伊波さんはどうやら不満気な表情を浮かべ……

誰だよ〜?「杏樹!杏樹!」って言ってたのは〜?
今日だけだぞ?今日だけだかんな?!

下の名前呼び捨てで呼ばれるのが苦手な伊波さん。まさかの「杏樹コール」にビックリしていました。

私はそのこと苦手なの知ってたから口に出せなかったけどな……

そんなこんなで告知タイム。


告知で語っていた"DisGOONie"のお話。伊波さんがディスグーニーという"海賊船"で、西田大輔さんと出逢ってから早3年。伊波さんの役者として抱く想いが共鳴した大切な場所で、「十三夜」の座長を務めるという歴史的瞬間。
この告知をしている伊波さんの表情は、臨戦態勢そのものの凛とした顔をしつつも、主演が久々に舞い込んできたことへの喜びも見せていました。


ここから衝撃の告知。


2023年は東名阪ツアーを皮切りに1stシングル「Killer Bee」のリリースと、プレッシャーで気が張り詰めっ放しだったとはいえ、伊波さんにとっては大きく突き進んだ年でした。
そして2024年。伊波さんの更なる躍進の足がかりとなる告知その1。それが……


2024年4月~5月
一般発売解禁の上での
「東名阪福ツアー」、開催決定。



これまでは、Inamin Town限定で開催してきたライブイベント。今回は、伊波さんたっての希望で「外の世界の人たちにも、歌を届けていきたい」と宣言。

正直怖いと思うかもしれません。「伊波さんがInamin Townの中だけで語ってくれたこと」が沢山あるがために、外部からの"赤色や青色"に伊波さんも我々いな民も敏感になっていたかもしれません。

それでも勇気を振り絞って決断してくれたのは、他でもない、伊波杏樹さん御本人。これまでに伊波さんの勇気ある行動で大いに救われてきたのだから、この勇気ある決断を讃えたい。そう思えると、不安な気持ちはスッと消えていきました。

そしてInamin Townとしては初の福岡での公演も決定。福岡に住むいな民の知り合いも多数いるため、大阪に住む私でも自分の事のように嬉しく想いました。
小倉かな?博多かな?まだ詳細も出ていないので分かりませんが、美味しいご飯も一緒に楽しみながら伊波さんに逢えるのはきっと幸せなんだろう。楽しみで仕方ありません。


しかしこれだけじゃなかった。伊波さんが言いたくて言いたくてウズウズしていた時点で、「更にとんでもないものが来る」と確信。そして伊波さんの口から明かされた、衝撃の告知その2。それは……


2024年
伊波杏樹 2ndシングル
制作決定。



やってくれると信じてた。伊波さんならやってくれるとずっと信じてた。
一発なんかじゃ終わらせない。永く長く"紡ぎ出し続ける"その覚悟を強く感じた瞬間です。
すると伊波さん。

『新曲のイメージ、どんなんがいい?かわいい系?しっとり系?』
『……じゃあカッコイイ系?』
\ウェーーーーイ/
『……ヤンキー系??』
\ウェーーーーイ/
『それ好きだな!!!』

……どうやら我々いな民の好みは、伊波さんには見透かされていたようで。ご名答。
でもね、それ以上に大好きなのは、「伊波杏樹さんの愛が詰まった"繊細な言葉"」。
紡ぎ出された数少ない言葉――――――歌詞の中に込められている伊波さんの想いに浸れるだけでも、とても幸せに感じられる。そう思います。


Mille tendresses


今や説明不要のInamin Townのクリスマスの定番。
去年のクリスマスに誓った「千の優しさに包まれた、"Inamin Town"という街を守り抜く」という約束。
その一年後、再び"Mille tendresses"でその優しさを再確認して、答え合わせをする。
伊波さんにとってもきっと大切な歌になったことでしょう。想いを噛み締めるように、ややしっとり目に歌い上げていました。

期待した僕の声 とくとくしてる
はじまって動き出す 届けて愛して

Mille tendresses - 伊波杏樹  作詞:伊波杏樹


最後の方。最後の1小節手前で結構強めにrit.(リタルダンド)をかけています。
日々の忙しさに身体も心も冷えきった私たちがやっとの想いでヒューリックホールに集い、その想いに応えるかのように「愛と想いやり」の言葉を贈り続ける……。
最後まで丁寧に丁寧に、想いを届けきった伊波さんの安堵の表情は、スポットライトに照らされて温もりに満ちていました。




世界に一つだけの花




でも、これで終わりではなかった。
伊波杏樹さんが一番伝えたかったこと。
この曲を歌うために最後まで秘めていた想い。
それは、我々の幼い頃の記憶に遡ってまで、
克明に訴えかけてきた。


2003年。槇原敬之さんが作詞作曲で、SMAPがリリースした"誰の脳裏にも強く刻み込まれている曲"。
1998年度生まれの私基準で行くと、少なくとも小学校の時に「世界に一つだけの花を手話付きで歌った経験」があります。
それほどDNAに強く刻まれている曲を、あえて杏コールのラストに持っていく伊波さんのサプライズ。
よもやこの曲でしか伝わらない、伊波さんの想い。それは……


ナンバーワンにこだわる役者にはなりたくないんです。オンリーワンの役者・伊波杏樹でありたい!!
いな民のみんなも、ずっとオンリーワンで居ててほしい!!

他と較べられることで、この10年間は傷つき傷つけられる日々だった。
立場的に上の人間からだったり、そして世間からだったり。
心も身体も傷だらけで、逆境だらけの10年間だったに違いない。

「ちんちくりんで弱い自分」をここまで"強く、逞しく、頼れる背中"に成長させたのは、間違いなく「オンリーワンであり続ける努力」がそうさせたのかもしれない。
傷だらけでボロボロになっても、努力することを決して諦めなかった伊波さんの姿を見続けてきている私たちだからこそ、胸を張って言える。

そして。オンリーワンであり続けることは、いな民としてこの街に生きていくことで、とても大切であることに気付かされる。


自分のことを人と比べることで、
傷ついていく人を沢山見てきたからこそ、
この街で生きてるってこと自体が
素晴らしいことであると気付かされた。

いな民でも"この人凄い"って
思える人は沢山いるけども、
そのことで自分のことを傷つけることは、
一番悲しいこと。
伊波さんだってそんなこと
起こって欲しくないと思ってる。
自分を卑下するのはもうやめよう。

1人1人がオンリーワンだから
羨ましくなるのは当たり前。
だからこそ、自分の何か誇れるもの、
大好きなものをずっとずっと大切にする。
それが伊波杏樹さんと結んだ
"オンリーワン"であるための約束。


この世界に飛び込んできた時、引っ込み思案で界隈の隅っこの方で細々とやっていた私。
それでも、こんなちっぽけな私を"Inamin Townの大きな広場"に連れ出してくれたのは、紛れもなくいな民の皆さん。
その大きな広場の中で、いな民の間で繰り返し共有されていた「不文律」こそが、



オンリーワンであり続けること。



人には必ずなにか個性的なものを1つは持っているはずで、それは同志を見つけるのすら難しいほどバラバラ。
でもそれは、承認欲求を満たすための道具では決してない。言い換えれば、「普段の生活で変に目立つ必要も無い」ということ。
それでも、周りに負けてると思い込んで気が滅入ることはどうしても出てくる。そういった時に「比較することをキッパリと辞める」ことができれば、人はもう1段階強くなれる。
これは、私がInamin Townに身を置いて5年弱かけて学んだ大切なことと言えよう。そして、「世界に一つだけの花」がその感情を呼び覚ました。


本稿では繰り返し「答え合わせ」という
言葉を多用し続けているが、
伊波杏樹さんが1年間追い求めてきたモノの
「答え」こそがこの曲かもしれない。





伊波さんは、セトリに組み込む曲に必ず「いな民に向けた大切なメッセージ」を織り込んで選曲しているとされている。
本公演「~An seule étoile~ 220,284」に込められた想い。今回は特に「伊波杏樹さんが2023年に、思い悩んで自問自答して導き出した結論」が如実に表れた公演だったと言えるのではあるまいか。

イエスタデイ。歌うたいのバラッド。華奢なリップ。怪獣の花唄。そして、世界に一つだけの花。
これら選曲の原点には、間違いなく「2022年12月25日」の記憶と誓いがあると見た。

人目をはばからず弱音と涙を零したのは最初で最後と信じたい。
こんなにも胸が締め付けられるような想いは、できれば二度とない方がいい。
それでも、何が起こるかわからないのが世間の残酷なところである。
……だからこそ。


人を想うは身を想う。


2023年12月27日 
THANKS PARTY 〜2023年語り尽くすよSP〜 より



自分のこのちっぽけな命が尽きる時まで、「愛と想いやりの言葉」を紡ぐ努力は決して弛まない。
忠誠とかそんな大袈裟なことでは無いけど、それに似た感情が私の脳内を席巻しているうちは、伊波杏樹さんに向けて自分の出来る最大限のムーヴメントを実行していこうと心に誓った。
それが、「オンリーワン」であり続けるための秘訣と信じているから……。



あとがき


有楽町からガンダして、なんとか新大阪行きの最終には
間に合いました。でめたしでめたし


このレポ、ディスグーニーとか白骨船長とかが重なって、最終話書くのが大幅に遅れてしまいまして、お待ちいただいた皆さんには心からお詫び申し上げます。

夜公演終了後、急いで新幹線に乗ったためにかなりアッサリとした2泊3日の旅の幕切れになりました。
それでも、三津浜キャンドルナイト、あげつちクリパと続いたイベントづくしの3日間はとても充実した日々だったと思っています。

さあ、2024年は東名阪福ツアーが待ってます。
より一層伊波さんへの想いを深めて、愛と想いやりの言葉を紡げるように頑張ります。

ありがとうございました。


2024年2月1日
中井みこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?