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「一生Aqours」していくために。 背中で伊波杏樹さんが語ったこと。

―――――― ただただ、一番最初は信じたくない気持ちで支配されていた。発表前からまことしやかに語られていた「終わり」から目を背けていたし、未だに夢なんじゃないかって思ってる。でも……


私たち9人でのワンマンライブは、最後となります。
千歌ちゃんたちは。それでも「この9人は」、どこにも行ったりしません。
沼津。大事な、大切な、内浦という場所から離れたりなんかしません!
生き続ける」んです。
そのために、私たちもこれからの活動、応援を頑張っていきたいと思います!

悲しい顔はしないでください。
なんかこう……「笑顔でいて欲しいな」と思います。

なんか、色んな想いがあります。
そんな中で……
泣かないって決めたんだけど……
そんな中で、Aqoursとして一つ一つ丁寧に、素敵な瞬間をこれからも届けていくので、応援の程よろしくお願いします。

一大決心だったと思う。
この3、4年で9人それぞれが大輪の花を咲かせていって、なかなか9人が揃わない時が増えていって。
葛藤はもちろんある。それで辛酸を舐めさせられた時だってあった。
表ではあんまりストレートに言えない、決断に至った理由があったんだろうと思う。

それでも、伊波杏樹さんは。
Aqoursの不動のリーダーとして。高海千歌という女の子の一番の味方として。
沼津を「この9人で」守り続けていくと宣言した。

「浦の星の思い出は…笑顔の思い出にするんだ…」
「泣くもんか…泣いてたまるか……!」

ラブライブ!サンシャイン!!(2期)13話
「私たちだけの輝き」


伊波さんは、絶対泣くもんかと心に決めていた。
私たちの知らないところで、ひょっとしたら9人で泣いてたのかな。
それでも溢れ出す感情を噛み潰しながら、朱夏ちゃんに背中をさすられながら、約束を伝えた。
あの時、背中を震わせ涙を必死にこらえながら浦の星の門を閉めた千歌ちゃんと、全く同じ気持ちで言葉を振り絞った。

―――――― そうやってその姿を見せて、「笑顔でFinaleを迎えよう」と言ってくれたのならば、私らは下を向いて泣いてられるわけが無い……!!




ラブライブ優勝を決めて、優勝旗を砂浜に立てて独り佇んでいた千歌。
決勝で、「浦の星の、Aqoursのかけがえのない輝き」で「浦の星の名を刻んできた」後でも、守りきれなかった悔しさ、さよならしなきゃいけない寂しさは、千歌の心の中を支配していた。

―――――― 改めて見たら、6月30日の夜、Finaleの文字を見た時の私らの心境と一緒じゃないか。こんな気持ちはなるべく味合わない方が幸せなんだろうけど、”物事のいずれ終わりが来る運命”から目を背けることなどできない。

でも、こらえきれずに涙を流したあの子は、こうやって気持ちを切り替えたんだよ。

大丈夫、なくならないよ。ぜんぶぜんぶぜんぶここにある。ここに残っている。ゼロには絶対ならないんだよ。

ラブライブ!サンシャイン!!
The School Idol Movie Over the Rainbow

 
千歌ちゃんのこの言葉に救われたって人も多いと思うし、実際に「未体験HORIZON」から始まった”Aqours・第二章”はそれを合言葉で走り出したものだ。
キャスト9人が、Finaleこそするけど「ずっとAqoursとして沼津に寄り添う」ことに踏み切れたのは、この言葉のおかげなのかもしれない。

我々ライバーはもちろんのこと、沼津に住んだり沼津で働いている人からも「Aqoursが0から1へ踏み進めた」功績をとても理解している。

 
伊波杏樹さんが6月26日、NPNLのリリースを記念してYouTube Liveをやった時のお話。
そこで飛び出したのは、「松月さん」と「安田屋旅館さん」への感謝の言葉だった。

沼津で育ててもらったので。
安田屋旅館と松月のお父さんお母さん(女将さん達一同)に感謝を伝えたくって。

2024年6月26日 【伊波杏樹 YouTube Live】
2nd Single『NPNL』リリース記念配信♪

伊波杏樹さんが「NPNL」リリースの報告に、いの一番に訪れたのが「内浦」。
安田屋旅館 ―――――― 千歌ちゃんの実家の『十千万』である以上に、伊波杏樹さんにとっては「役者として、アーティストとして」歩みを進める原点となった場所。
Aqoursとは別で伊波さん個人のお仕事のことであったとしても、女将さん達はいつでも温かく見守ってくださっていて、何より我々が伊波さんの話を切り出すと「とても嬉しそうな顔をする」。

この出来事をきっかけに、私は確信したのだ。


Aqoursが「0から1へ」歩んだことで、
決して消えない財産がこれだけ生まれた。
たとえAqoursが区切りを迎えたとしても、
内浦を取り巻く熱い気持ちはゼロにならない。
これからも内浦という街は、
Aqours9人の心のふるさとで在り続ける。




「僕らの海でまた会おう」のジャケットイラストは、ご存知の通り三津浜での9人の姿を写し出したもの。
Aqoursの9人が「僕らの海」で愛してくれている皆を迎え入れているとするならば、伊波杏樹さんのこの写真は――――――


「僕らの海」から「大切な場所」へ歩み始めて、
やり残したことをすべて果たしに行く覚悟。



―――――― いや、伊波さんの背中が語ってくれることは、この言葉では到底表現出来ないほど色々な気持ちがこもっている。

だから伊波さんが背中で「悲しい顔をせずに、笑顔でいて欲しい」と言っているのならば、私は必ずやこの約束をFinaleの時まで持ち続ける覚悟でいる。

少しだけ自分自身の話をば。
私は、父が心筋梗塞で倒れて口も利けなくなってしまって以降、私の追い求める「強き人物像」に伊波杏樹さんが加わった。
父は「次にお前が泣く時はオカンが死んだ時じゃ、それまで絶対泣くな。」と私が小3の時に言ったのを、今でも鮮明に覚えている。それから何度か泣いたけど、派手には泣かなくなった。

―――――― その言葉を伊波杏樹さんから、父親が言って以来初めて受け取ったのだ。


 
私の父親に次いで、Aqours、伊波杏樹さんは私の人生形成に多大なる影響を及ぼした人たちであるからこそ、「永久hours」という言葉は私にとって物凄く重く尊いものである。

こんなにも弱っちぃ自分が生まれ変われたのも「高海千歌役・伊波杏樹さん」がいたから。そして、Aqoursの9人……いや、18人がいたから、前途多難と思ってた青春時代を乗り切れた。

この18人がこの地球にいる限り、沼津という街に寄り添い続ける限りは「Aqoursは消えて無くなったりしない」と約束してくれた。
9人の真っ直ぐ前を見つめている瞳に嘘はないと、心の奥底でスッと浸透していった。


本当に、ありがとう。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「一生Aqoursします」と宣言したキッカケ。


さて、私は「永久hoursプロジェクト」という名前が発表されたとき、この言葉がフッと降りてきた。


この言葉自体は勿論パロディなんだけれども。
聞き覚えのある言葉なんだろうと思う。
元ネタは勿論、水曜どうでしょうで大泉洋が言い放った「一生どうでしょうします」である。

奇しくもこの発表から2週間ほど前の6月16日。
TBS系列で放映されていた「日曜日の初耳学」。林修がMCを務めるあの番組である。


しかし、同番組ではディレクターが2人だけで企画から制作まで全てを行うため「彼らは『水曜どうでしょう』をやっちゃうとそれ以外の仕事が何もできない」という状況。人気番組ではあるが他の仕事もしたい、という葛藤をスタッフが抱えていたという。

大泉洋「水曜どうでしょう」レギュラー放送時の焦りを告白「もっと面白いことしなきゃ」
モデルプレス 2024年6月17日

 
絶大な人気を誇るコンテンツだからこその苦悩。
それが、自分自身の向上心と”コンテンツ”を守っていくこととのジレンマである。

そもそもの話、ミスター(鈴井貴之)と洋ちゃん(大泉洋)は役者で、藤やん(藤村忠寿)とうれしー(嬉野雅道)はHTBのディレクター。
数ある仕事と並行して「水曜どうでしょう」をやってきたわけであるが、他の仕事が軌道に乗ってきたことで「どうでしょうが疎かになるのではないか」と洋ちゃんは危惧していた。

―――――― TLでチラ見しただけの記憶だが、Aqoursでも同じようなことが議論されていたことが思い出される。何が踏み台だよ。その時は本当に悔しかった想いばかりだった。

とはいえ、熱烈なファンの存在に制作陣はなかなか「辞めるとも言えなかった」という状況だったと話した大泉。そんな中、ロケの最中に偶然大泉が口にした「『一生どうでしょう』します」という言葉がうまく当時の状況と重なったと明かした。その言葉をきっかけに「番組は辞めません。『一生どうでしょう』します。でも一旦ここでレギュラーは終わらせます」と、レギュラー放送は終了するながら番組は続くという打開策の道が開け、現在の新企画を数年に1度放送するという形態に移行したと話した。

大泉洋「水曜どうでしょう」レギュラー放送時の焦りを告白「もっと面白いことしなきゃ」
モデルプレス 2024年6月17日

 
―――――― この経緯を、私は生放送終了後に思い出したわけで。
実際のところ9人で集まってやる生放送は3年ぶりのことで、スケジュールを抑えるのも極めて困難だったことが明らかになってしまったのだ。

それでも沼津の街は変わらずにAqoursの9人のことを応援してくれている上に、決して失ってはいけない「輝き」になっている。

小林愛香さんが生放送で発した「Aqoursのことは私が守ります!!」という宣言も、現状に対する危機感とAqoursを愛する純粋な気持ちが交錯していたのかな……と今更ながらに想うのである。


9人が思い描いた夢は昇り龍のように!!!

 
―――――― それでも、「Aqours」が続いていくことがとにかく嬉しくって。
18人が、この9年間1人たりとも欠けることなく走り続けてきたことの尊さは言うまでもないが、それを踏まえて「18人でAqoursを一生続ける」約束を結んでくれたことがとても嬉しかった。

そのうえで。伊波さん、逢田さん、おすわさん、有紗ちゃん、朱夏ちゃん、きゃんさん、きんちゃん、にゃーちゃん、ふりさん。
彼女たちが更に自由に羽ばたいて、更なる高みへと行ける可能性が高まっていく。

なぜそう言い切れるのか。
先人たち ―――――― 「水曜どうでしょう」で花開いた洋ちゃんとヤスケン(安田顕)は今や日本を代表する俳優として巣立っていき、その後ナックスのメンバーも追随する形でそれぞれの夢を叶えていって。
こうやって大きくなっても、ナックスの5人は「ハナタレナックス」を続けるなどして北海道を大事にしていて。

そう考えたら、将来のAqoursちゃんたちは想像を軽々と超えてくるぐらいの「大きな存在」になっているのかもしれない。
今よりさらに自由な形でAqoursを表現してみたり、個をさらに磨いていったり。
そうなると……Aqoursの9人の未来、めちゃくちゃ楽しみじゃね??


日本一の富士の山ァ!!のように!!
高みに立つAqoursが見たいんだ!!

 
―――――― ここまで気持ちを書き殴ってきて、かなり気持ちが楽になっている。
ワンマンライブとしての最後のパフォーマンス、なんとしてでもこの目に焼き付けたい!という気持ちは煮えくり返って爆発しそうなんだけど、それ以外の気持ちは至って冷静。


だからこそ「なんどだって約束!」を、Aqoursのみんなと結びたい。


もっともっと輝きたいっ!!
誰も知らない高い高い空の上で……!!


 
これで終わりなんて、そんなこと言わせない。
まだ何十年も残ってる。彼女らが輝き続ける余地は。
その想いを、沼津から世界へ……!!


2024年7月2日
中井みこと


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