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石川県能登町・能登町役場のホームページの情報を活用した災害支援情報の生成AIチャットボットを個人で開発

【石川県能登町】利用者の質問に対して、能登町役場のホームページ上で発信される災害支援情報を活用し、生成AIが自動回答してくれるチャットボットを個人で開発したので、その内容を説明したいと思います。
2024年2月20日(火)に日本語対応が発表されたMicrosoft Copilot Studioを使って開発したサービスで、約1時間程度で開発・リリースまでを行いました。

開発したチャットボットでは、「罹災証明の申請方法を教えて」「災害ゴミの処理方法を教えて」などと利用者が話をするように問いかけることで、能登町役場のホームページ情報から適切な情報を選択し、会話に応えるように回答をしてくれるようになっています。

チャットボットの画面

開発したチャットボットサイトはこちら


能登のために何ができるか?

じつは、生成AIを活用した地域活性化は令和6年能登半島地震の前から考えていました。その当時は、能登町の観光情報やその魅力をちゃんと発信したり、ガイダンスすることに生成AIが活用できないかと考えていました。
しかし、その当時にサービスとして利用できる生成AIは、広く一般的に学習したモデルが主流であり、地域のあまり情報量が多くないローカルな観光情報を正しく答えてくれることが難しく、誤った情報を回答してしまうことばかりでした。その為、一旦は開発を断念しました。

石川県能登町の田園風景

その後、生成AIのサービスの進化も目まぐるしく、独自データを追加することでより限定された情報からも適切に回答可能な機能などもリリースされましたが、なかなか時間を確保することができず、考えていたアイデアは実現することはなかったです。

そんな中で発生した令和6年能登半島地震。
自分自身も父親が能登町出身であることから、能登町に空き家があるのですが、家の状態が心配であるとともに、不要不急であると考え、実際に現地に訪問したのが地震後約50日経過したころ。家自体が建っていることは事前に確認が出来ていたのですが、実際に室内の様子を見ると、天井が落ちてきていたり、ガラスの多くも飛散し、壁はひび割れ、言葉を失いました。

その日は確認だけして帰宅しようと考えていたので、片づけや整理などは行わず、現地の知り合いと少し話をしながら金沢に帰ってきました。

ガラスが飛散した室内

そんな中で、何ができるだろうかと考えながら、ちょうど情報を得たのが、2024年2月20日のMicrosoft AI Tour - Tokyoで発表された、Microsoft Copilot Studioの日本語対応。従来は、Azure Open AIのモデルに独自のデータを使用する為には、「On your data」という機能を使って、データを個別で組み込む必要がありました。
しかし、Microsoft Copilot Studioでは、データソースとして公開WEBサイトを指定することが出来る為、そのサイト上にあるデータを参考に生成AIが回答を導き出してくれ、それが日本語に対応したとのこと。

アイデアから実際のサービスリリースまで

「これは、災害支援情報の問合せに使えるのでは?」
そう思ってからは早かったです。Microsoft Copilot Studioは通常は有償での機能ですが、一定期間は無料で試すことが可能であり、実際に試してみると、能登町役場のホームページのURLを指定することで、そのサイトに掲載されている情報を元に、質問に対して応答してくれることがすぐに確認できた。また、チャットボットの連携の方法としては、デモ用WEB画面やTeams・Slack・LINEなどがあるほか、WEBサイト上の埋め込みコードで公開できるということが分かりました。

Microsoft Copilot Studioの設定画面

これをいち早く公開するにはどうしたら良いか。
そう考えた時にたどり着いたのが、ノーコードでサイト構築を行うことが出来るSTUDIOというツールです。STUDIOは以前から使っていて、埋め込みコードを使用した経験もあり、もしかしたら使えるのかもと思い、実際に試してみると、Microsoft Copilot Studioが生成した埋め込みコードをSTUDIO上で埋め込み、実際にチャットボットが利用できるところまで確認できました。ここまでに掛かった時間は約1時間程度。技術がどんどん進化する中で、上手く組み合わせることで新しいサービスを最短で生むことが出来ました。

実現されたアイデアをヒントにその先へ

今回開発したチャットボットは、従来のホームページが良くないとか、地震後に早期に立上げが行われた能登町公式アカウントが良くないとか、そういったものではないと考えています。そもそも、WEBサイトというある程度構造化された状態のホームページがあり、それを一種のオープンデータをして活用することで、人間が窓口で問合せを行うように、生成AIがホームページ上の情報を参考に回答してくれる。別な体験を生んでいるものだと思っています。
生成AIを上手く活用することで、人と人が会話するように教えてくれるという別な切り口でのサービスを提供していて、いままでのサービスを補完するものかなと思っています。

また、今回は、災害支援情報に着目して開発しましたが、以前のアイデアのような観光情報をデータソースとしたチャットボットも同じ仕組みで、あっという間に作成することも可能です。
何か1つでも具体的に実現できることで、また新たなアイデアや発想に繋がることもあると思います。今回の開発を通してリリースされたサービスをヒントに、また別な切り口で能登の復興支援のアイデアや活動が生まれることを願っています。

能登町の松波酒造の隣にて



技術的なことに興味がある人はこちらも参考にしてください。

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