烈火の炎がトレンドに入ったのが「なんか幸せ」

烈火の炎がTwitterのトレンドに入ったので想い出を書いてみる。

安西信行先生が1995年から2002年に連載していた漫画「烈火の炎」。週刊少年サンデーで第一話から読んでいた作品なだけに、非常に印象深い作品だ。

僕も安西信行先生作品の出会いは連載デビュー作である「R・PRINCESS(ロケット・プリンセス)」。可愛く魅力的なヒロインと熱血感なメンズ陣。ギャグとシリアスを織り交ぜた作風は「烈火の炎」の原点と言っても過言ではないだろう。

そんな「R・PRINCESS」の連載が終了し、スタートした「烈火の炎」。忍者を目指す主人公、花菱烈火が“姫”佐古下柳と出会うシーンから物語ははじまる。

友情、努力、勝利という“王道”を踏襲しつつも、作者が師匠から引き継いだ味を存分に加えた本作は、ラブコメが軸にある週刊少年サンデーでバトル漫画として異例のヒットを実現した。

今でも色あせることのない「烈火の炎」が急にTwitterトレンドに現れたことに驚きつつ、筆を進めていきたい

秀逸すぎるタイトル

安西信行先生は「うしおととら」、「からくりサーカス」、「双亡亭壊すべし」を生み出した巨匠・藤田和日郎先生のアシスタントとしてキャリアを積んでいる。

藤田和日郎先生の作品の魅力は語り尽くすことはできないほどにあるのだが、ここではタイトルの秀逸さに着目したい。

連載終了から10年以上が経った作品のため、多少のネタバレが入ることをご了承いただきたい。今から読むという方はここでお別れしていただければと思う。


僕は「うしおととら」は最初から最後まで「うしお」と「とら」の物語だと思っている。人間と妖怪。相容れないはずの存在が心を通わしたことで、変化が生まれた。作中でとらが最後に発した言葉もそう。「もう腹いっぱいだ」多くの読者の胸を打ったのは、物語を通じてこの言葉の裏にある美しさを追体験したからだろう。

続いて「からくりサーカス」。物語の風呂敷をとことん広げたのが「からくりサーカス」だと藤田和日郎先生は語っている。

「からくり編」と「サーカス編」がやがて「からくりサーカス編」へとつながっていく。数百年にもおよぶ時代を股にかけたストーリーは多くのファンを生んだ。

タイトルに込められた意味。これが「烈火の炎」にも受け継がれている。

烈火の“炎”

「烈火の炎」というタイトルの意味が明らかになるのは原作でも最終章にあたる。最後のボスと戦っているクライマックス。絶体絶命の状況で主人公・花菱烈火に迫られる究極の選択。それが烈火の“炎”だった。

あるキャラクターが「○○が烈火の炎だよ」と口にした時、タイトルの重さを理解し、思わず感情的になったことは今でもよく覚えている。更にこの伏線は物語の序盤から示されていたことも相まって大きすぎる感動を生んだ。

「烈火の炎」がいわゆるバトル漫画の域に留まらず、名作と語り継がれるのには、タイトルが持つ真の意味をクライマックスで知ることにあると思うのだ。

また、漫画のタイトルだけではなく、初回と最終回のタイトルも素晴らしい。第一話「姫と忍者」 、最終話「烈火と柳」。物語を通じて変化し、成長したことをここでも表現していることが分かる。

物語を通じて主人公とヒロインが成長する。そんな瑞々しさの詰まった33冊をもう一度読みたい。

そう、もう一度「烈火の炎」を読みたいと令和の時代に思った。それってなんか幸せなことではないだろうか。


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