サリーちゃんのスクリプト
サリーちゃんのスクリプト
「もうっ、やんなっちゃう」
小学生のサリーちゃんが怒っています。
なんで、隣のクラスの和生くんはわたしにちょっかいかけてくるんだろう。
それだけじゃなく、同じクラスのみゆきちゃんは、なんだか意地悪をしてくるし。
わたしはただ、みんなと普通に授業受けて、校庭を走り回ったり、遊んだりして、楽しく過ごしたいだけなのに。
仲良しのちいちゃんは、そんなこと気にしなくていいよ。って優しくしてくれるけど。
なんかやだなあ。
学校からの帰り道に、小さなお地蔵さんがあって、サリーちゃんはそこの前を通るときは、いつも自然に手を合わせます。
「いつも見守っていてくださってありがとう」
でも、その日はうざく絡んでくる和生くんや、上からバカにしたように物を言ってくるみゆきちゃんのことで、頭がいっぱいで、気もそぞろでした。
あ、お地蔵さんに失礼だったかも。。ってサリーちゃんは思いましたが、モヤモヤをどうすることもできなくて、家に帰りました。
「おかえり」
お母さんはいつもと変わらず優しく受け入れてくれてほっとします。
いつも忙しそうで家にいないお父さんも、今日は食卓で、ビールを飲みながら顔を赤くしています。
お父さんは怒るとちょっと怖いとこもあるけど、サリーちゃんを大事に思ってくれてるのはわかります。
小さい妹も、サリーちゃんのことが大好きで、とってもなついてくれています。
ああ、お家安心するなあ、、とお腹がペコペコだったサリーちゃんはお母さんが作ってくれた美味しいハンバーグをペロリとたいらげ、ご機嫌になります。
妹と仲良くお風呂に入ったあとの、ふんわりとした柔らかいパジャマの感触がとっても心地いい。妹の髪からふんわり香るシャンプーの香り。
サリーちゃんはすごく幸せな気持ちになります。
ふかふかのお布団に入って、隣にいる妹にいつものお話、それは絵本とかじゃなくサリーちゃんが作ったお話で、サリーちゃんもただ口をついて出てくる言葉を紡いでいるだけで、最後どうなるかわからないのですが。
そんなサリーオリジナルのお話をしていると、
妹は幸せそうにすやすや眠ってしまい、サリーちゃんもいつのまにか、一緒に眠ってしまいます。
あれ?
気づくとサリーちゃんは、すらっとした綺麗な大人のお姉さんになっていました。
あの、和生くんはかっこよくなって、知らない女の人と一緒にいて、あの意地悪なみゆきちゃんは和生くんに振られてくやしそうです。
あー、みゆきちゃんは和生くんが好きで、和生くんにちょっかいかけられてるわたしにヤキモチやいて意地悪をしてきたんだ。
サリーちゃんは、ふと横にすごく優しく暖かい存在を感じます。
顔とかはっきりわからないのですが、なんだかとても懐かしい、安心するような、、
と、そこで目が覚めます。
朝ごはんにおいしいトーストを食べて、サリーちゃんは学校に向かいます。
いつもだったらサリーちゃんを見かけると、ちょっかいかけてくる和生くんも、意地悪をしかけてくるみゆきちゃんも、今日はなぜかおとなしい。
サリーちゃんは、仲良しのちいちゃんと、楽しくご機嫌に過ごします。
内容も覚えていないけど、大事な妹に話してあげたお話が、サリーちゃん自身にもすごく役立っていたのです。
当のサリーちゃんはそんなことはわからなくて、
でも、なんだかすごく優しく暖かい、いつものあのお地蔵さまの感じをどこかで受け取っているのでした。
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