ウサギのスクリプト

「あー、もうお腹いっぱい」


わたしはベッドに寝ころぶ。見慣れた天井をみあげ、枕の頭に当たる感触を感じながら。


わたしは一つ深く呼吸してみます。


今日あったこと、今日会った人たち、わたしはそのことを考えているつもりが、いつのまにかまったく違うことを考えている。


なんだか頭ごちゃごちゃやな。と少しおかしくなりながらいつのまにか眠りについています。


せわしなく動きまわる白いウサギ。

「ちこく!ちこく!」と騒いでいるけど。

遅刻ってそんなにヤバいんかい、、とわりと冷静な目でみているわたし。


そんなわたしをウサギはちらっと横目で見ながらなんだかわざとらしく、その草原にある穴に飛び込みます。


いつか読んだ物語みたい。と感じながらもわたしはどんどんウサギについていきます。

だって、どうせ、夢だし。


そう思いながら、わたしは落ち着きのないウサギを追いかけ、すごく変なネコや、すごく変な卵のオジサンに会いながら、いつのまにかすごく深く大事な場所にたどり着いている。


ウサギはどこまで続くのかわからないような深く暗い渦の前に立っている。


わたしはもう戦いたくはないの、とウサギに告げると彼はまたニャっと笑ってそうっとわたしの手をとる。


そして素敵な懐中時計、それをわたしにくれた。

ウサギのくせに、、、


わたしは目を覚まして、いつもの天井、いつものベッド、いつものわたしな空間に戻ってきました。


わたしはベッドから降りて、少しひんやりする床を感じながら。

心地よく美しい水を飲みたくてキッチンに向かう。


正も偽もない、ただのわたし。水はただ純粋に、わたしの細胞に清らかにしみわたるのでした。

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