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便利さに毒されて。

一眼レフの望遠レンズを使っていると、ついつい被写体に寄った写真を撮ってしまう。アップの写真は、分かりやすいからだ。何を撮りたいのかはっきりするし、背景がボケるので綺麗な写真に見えやすい。

そのような写真には、当たり前だけれど、その被写体しか写らない。「それでいいじゃないか」と言われそうだが、「それだけではダメなのだ」と言いたい。

写真には、その場の「雰囲気」や「空気感」といった言葉にできないものを写すことができる。さらには「自分の感情」さえも写し出すことができるのだ。

そのためには、被写体だけでなく、周囲のものも写っている必要がある。それらを全てひっくるめて、伝えたいものが伝えられる写真になるからだ。

しかし全体を写すとなると、今度は構図を考えなくてはならない。どこを切り取るか、どんな配置で撮るか、何にピントを合わせるか…。被写体をアップで撮る時より考えることは増える。

それが難しいからアップで撮ってしまうというのもある。だけどそこでしっかり考えて、何度も撮り直しながら納得いく写真を撮ることで、写真の技術も上がるし、あとで写真を見たときにたくさんの情報を思い出せるのだ。

これは写真に限った話ではない。世の中はどんどん便利になっている。その便利さに毒されて、私たちは考える機会が減っているのだ。

自分の頭で考えて、持ちうる道具で工夫することで生まれるものもある。むしろ、そうすることでしか得られないものもあるはずだ。

便利なものに頼ってばかりでは、貧相な人生になってしまいそうだな、と思う。

* * *

しかし望遠レンズは良い。遠くのパンダも、こんなにくっきりと撮れる。いやはや、望遠レンズを持っていて良かった。

たまには便利な道具に頼るのも悪くない。

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