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あの日と、それからのこと。忘れない、忘れてはいけない。

いつも通り、オフィスの席で仕事をしていた。のどかな金曜の午後だった。それは突然のことだった。

14時46分すぎ、じわっと体が揺れた。建物自体が、横にゆらゆらと揺れている感覚だ。どうやら私だけでなく、周りの人たちも異変に気付いたようだ。そこかしこで声が聞こえた。

「地震?」

その揺れは長かった。今まで経験したことのないほど長く、誰もが「なんだかおかしい」と感じていた。だけど、揺れが収まるとまたみんな仕事に戻った。ちょっとした地震だったんだな、としか思わなかった。

ことの甚大さに気付いたのは、夕方になって仕事が終わり、携帯でニュースを見たときだった。日本の出来事とは思えないような光景が、そこにはあった。

その晩、東京にいる友人にメールをした。「地震、大丈夫?」と。その子は妊婦だった。返信はだいぶ遅かったけれど「大丈夫」という知らせに、とりあえずホッとした。

翌日から、世界が一転した。

毎日、ニュースを見ていた。「ぽぽぽぽーん」というCMを何度も見た。少しの揺れに怯えていた。募金をした。懐中電灯と携帯の非常用バッテリーを買った。スーパーからどんどん物がなくなっていった。

私が住んでいる場所は震源地から遠かったけれど、日本全体が恐怖に陥っていたみたいだ。日本人の誰もが、毎日のように映像で流れる被災地の様子に胸を痛めたように思う。

* * *

あれから5年。被災地の復興はまだまだだと聞く。被害の大きかった地域にはまだ行ったことがなくて、一度行ってみようと思いながら5年が過ぎた。

被災した人々のことを思うと、私なんかがこの日に胸を痛めるのは「ぬるい」ようだけれど、やっぱり胸が締め付けられて、痛い。

忘れちゃいけないんだと思う。あの日を。そして、あの日からのことを。それぞれが、何かを感じ、誰かに想いを馳せたことを。

とても忘れられない。あの日の光景を。あの日からの日々と、あの日から変わった世界を。

震災で亡くなった人々の冥福を祈って。2016.3.11 14:46

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