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13. キックアウトか否か

2月下旬になって、雪はほぼ解けた。
そして、スケーターたちが戻ってきた。
敷地内で滑ることはさほど多くなかったものの、敷地に隣接する歩道と車道で、縦横無尽に滑る様が頻繁に見られるようになった。
 
2月の末には、閉館後や休館日を狙って敷地内を滑走している様子が、建物に残された痕跡から伺え、屋外に向いた監視カメラの記録をみると、見慣れた風貌の何名かが滑っている様子が確認できた。
デッキの一部が大きく欠けていることもあった。雪が解ける前から、デッキが傷つかないようにするための策を職場内で話し合っていたが、そのアイデアの実装が追い付く間もなく、傷が広がり、深くなっていった。

デッキに残された痕跡


正直なところ、見知ったスケーターたちが、閉館後や休館日を狙って滑りにきていることが、残念だった。ある晩には、巡回中のパトカーの姿を見かけて、一目散に建物の影に隠れるということもあったと、その様子を見かけたスタッフから聞いた。なんだかダサい。
一方の私たちは、無意識ながらもスケーターを囲い込み、多少言葉を交わせる関係性を築いたことで悦に入っていただけなのだろうか。そうであるならば、とてつもなくダサい。

3月の頭には、市役所とも協議の上、新たなサインを掲示するに至った。

文化創造館をご利用の皆さまへ

これまで文化創造館敷地内でのスケートボードの利用につきましては、利用者との話し合いを重ねながら、さまざまな方法を模索してまいりましたが、デッキの破損や車道への飛び出しなどの危険行為が散見される状況であったことから、文化創造館の利用許可のないスケートボードの利用を禁止としております。
また、周辺の歩道や車道におけるスケートボードの利用もお控えくださいますよう、ご理解とご協力をお願いいたします。

周辺の歩道や車道については、私たちには法律や制度上では何の権限もないのだが、配慮を呼びかけるメッセージとして記した。
これはスケーターにとっては「キックアウト」、つまりはスケートボードができる場所から追い出されるということと受け止められただろう。
 
ですが、文化創造館の対話と施設利用相談の窓口は開いています。
営業時間中なら、いつでもどうぞ。

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