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8. すべての人に場を開く

秋田市文化創造館が発行するニューズレター「そうする?」に、テキストを書きました。
秋田市文化創造館のほか、秋田県内外の文化施設等に順次配架されるはず。見かけたら、ぜひ手にとってみてください。

文化創造館の基本理念には「すべての人に場を開く」という一節があり、指定管理者である私たちはそれを実践しようと試行錯誤している。6月頃から注目されているスケボーの事例は、その一つである。

公共の場で禁止されることの多いスケボーだが、文化創造館では利用を禁じていない。実は、これまでに2度禁止しようとしたことがあったが、その時に思い止まらせたのは「すべての人に場を開く」とした理念であり、「文化創造」というミッションであった。

旧県立美術館から文化創造館に改築される際に、敷地を取り囲む柵が取り払われた。柵の向こうには、多様な人が行き来するまちがある。まちと地続きとなった文化創造館は、しかるに種々雑多が入り混じることを受入れ、その混合や交流の中から未来の文化を創造していく。「何かを禁止するということは、それに類する、連鎖する、あらゆる可能性を抑圧するということ」と、藤館長は指摘する。そして、何かを禁止するということは、誰かに対して場を閉じるということでもある。だからこそ、スケボーがうるさく、危ないと感じる人がいるのであれば、その声も排除しないし実害があれば対策を検討して講じることも私たちの責務である。

この数ヵ月頭を悩ませているのは、すべての人に場を開くときに必要なルールとは一体何なのかということ。スケボーに関しては市役所と協議し、警察に道交法の解釈を尋ね、弁護士に法律相談もしたが、本当に探るべきは明文化されたルールではなく、まちを形成する多様な人々の体験共有や対話から生み出されるエンパシー(共感)ではないだろうか。それをどうやって紡いでいくかが、これからの文化創造館に問われているし、文化創造館を取り囲むまちに対しても同様に問われているのではないだろうか。みなさんの考えを聞かせてください。

秋田市文化創造館ニューズレター「そうする?」3号

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